−けい2(kei2)−
・傾城買いの糠味噌汁(けいせいがいのぬかみそじる) 傾城買いで多額の金銭を使う者が、他方では、糠味噌汁のような粗末な食事を取っているということ。無駄金使いの者は、えてして必要なことへの費用を惜しむものだということ。また、豪遊をした後に、必要最低限の小銭も残っていないこと。 類:●女郎買いの尻切れ草履
・傾城に誠なし(けいせいにまことなし) 遊女が客に対して、誠意を以って接する筈などない。
・傾城の巷(けいせいのちまた) 遊郭、娯楽場、飲食店などの並ぶ歓楽街。 類:●紅燈の巷
・蛍雪(けいせつ)
・蛍雪の功(けいせつのこう) 苦学した成果。 類:●蛍雪 用例:米沢本沙石集−一・八「蛍雪の功、年つもりて碩学の聞へありけり」 出典:「晋書−車胤伝」、「蒙求−中・孫康映雪」 用例の出典:沙石集(しゃせきしゅう・させきしゅう) 鎌倉時代の仏教説話集。10巻。無住著。弘安六年(1283)成立。のち、作者により改訂が繰り返された。庶民を教化・啓蒙するために、説話を随所にまじえながら仏法の趣旨を説いたもの。和歌説話、笑話、動物説話なども多く、内容は多彩をきわめる。
・蛍雪勤め(けいせつづとめ) 苦心して勉強すること。勉学すること。 用例:平家−二「教輩の学侶、蛍雪のつとめおこたらむ事心うかるべし」
・螢窓雪案(けいそうせつあん) →蛍雪 類:●頭(かしら)を掛け股●錐を引いて自ら刺す●壁を穿って光を引く●蛍窓●蛍の光窓の雪●錐股(すいこ)の勉●股を刺して書を読む
・継続は力なり(けいぞくはちからなり) 小さなことでも、続けていれば、いつかは大きな力となり、大事業を成し遂げられる。 類:●千里の行も足下に始まる●涓滴岩を穿つ ★出典は「念願は人格を決定す」と共に、住岡夜晃(すみおかやこう)の法話かという。法話『若人よ』。
・兄たり難く弟たり難し(けいたりがたくていたりがたし)
・兄弟牆に鬩ぐ(けいていかきにせめぐ) 兄弟で内輪喧嘩をする。仲間どうしが喧嘩をする。 類:●仲間割れ
・兄弟牆に鬩げども、外その務を禦ぐ(けいていかきにせめげども、そとそのあなどりをふせぐ) 兄弟は、仮令(たとえ)内輪喧嘩をしていても、外から侮辱を受けたら、一緒になってそれを防ぐものである。 出典:「詩経−小雅・棠棣」
・兄弟には美を致す(けいていにはびをいたす) 自分の兄弟に対しては、できるだけ善い行ないをすべきである。 出典:「春秋左氏伝−文公十五年」「史佚有言曰、兄弟致美、救乏、賀善、弔[ウ/火]、祭敬、喪哀」<乏を救い、善を賀し、[ウ/火](わざわい)を弔い、祭りには敬し、喪には哀しむ>
・兄弟は左右の手なり(けいていはさゆうのてなり) 兄弟は左右の手のように、お互いに助け合うべき関係にある。 出典:「魏書−王脩伝」
・兄弟は手足なり(けいていはしゅそくなり) 兄弟は人間の手と足のように、お互いに助け合うべきである。 出典:「宋史−張存伝」
・刑の疑わしきをば軽んぜよ(けいのうたがわしきをばかろんぜよ) 罪の疑わしい者を処分する時は、軽い方の刑に従って処罰するべきである。 出典:「書経−大禹謨」「罪疑惟軽、功疑惟重、与其殺不辜、寧失不軽」
・刑は軽きを厭わず(けいはかるきをいとわず) 刑罰というものは重いよりも、むしろ軽過ぎるくらいの方が結果的には良いものだということ。 出典:「世説新語」
・啓発(けいはつ) 弟子や子供を教え導き、関心を抱かせ、より高い知識を与えること。また、一般の人が気付かないような点について、専門の観点から教えること。 類:●啓蒙 出典:「論語−述而」「不憤不啓、不團不発」<教えを受けんとする者は、発憤の気持ちが表に出るくらいでなければ、私はこれを啓き教えようとはしない。分かっていながらどう言えば良いのか分からず口をもぐもぐさせているのでなければ、私は端緒を発して導きはしない>
・芸は道によって賢し(げいはみちによってかしこし) 専門の事柄はその道その道で精通しているものである。商売柄その分野のことは良く分かっている。専門のことは専門家に任せるべきだということ。 類:●餅は餅屋
・芸は身の仇(げいはみのあだ) 習い覚えた技芸のために、却って身を誤ることがあるということ。
・芸は身を助ける(げいはみをたすける) 一つの技芸に優れていると、困窮した時など、それが生計の頼りになる。
・掲斧入淵(けいふにゅうえん) 《四熟》 斧は山林でこそ役立つもので、それを川の深い所へ持って行っても役に立たない。適材適所でないこと。才能を発揮すべき所を誤まることの喩え。
・桂馬の高上がり(けいまのたかあがり)[=高飛び] 1.将棋を指(さ)す時に言う口遊び。桂馬は前にしか進めないため、無闇に進み過ぎると戻るに戻れなくなって、結局歩に取られてしまうということ。 ★あとに「歩(ふ)の餌食(えじき)」と続けていう<国語大辞典(小)> 2.身分や実力に相応(ふさわ)しくない高い地位に上(のぼ)って失敗を招くことの喩え。 類:●高木は風に折らる●出る杭は打たれる
・鶏鳴狗盗(けいめいくとう)
・桂林の一枝(けいりんのいっし) 僅かばかりの出世という意味。自分の地位が十分でないことの喩え。また、非凡でない、なんということもないということ。 出典:「晋書−郤幀伝」「幀対日、臣挙賢良、対策為天下第一、猶桂林之一枝、崑山之片玉、帝笑」
・毛色が変わる(けいろがかわる)・違う 性質や種類が違う。異質のものである。 類:●毛並みが違う 例:「毛色が変わった客」 ★髪の色が違うことから。
・鶏肋(けいろく) 1.鶏(にわとり)の肋(あばら)骨には食べるほどの肉はないが、少しは肉が付いているので、捨てるには忍びないところから、たいして役に立たないが捨てるには惜しいもののこと。 出典:「後漢書−楊修伝」「修独曰、夫鶏肋食之則無所得、棄之則如可惜」 ★曹操が蜀との漢中争奪の戦で不利になったとき、命令して「鶏肋」とだけ言ったとされる。 2.身体が鶏の骨のように貧弱な者のこと。 出典:「晋書−劉伶伝」「嘗酔与俗人相忤、其人攘袂奮拳而往、伶徐曰、鶏肋不足以安尊拳、其人笑而止」