−けん(は)(ken6)−
・剣は一人の敵、学ぶに足らず(けんはいちにんのてき、まなぶにたらず) 剣術は一人を相手にする技能であるから、殊更に学ぶほどの価値はない。天下に望みを抱く者は、万人を相手とする兵法を学ぶべきであるということ。 出典:「史記−項羽本紀」「書足以記名姓而已、剣一人敵、不足学」・・・項羽の言葉。
・堅白同異(けんぱくどうい) 1.中国、戦国時代に、公孫竜が説いた一種の詭弁。 参考:例えば「堅く白い石は二であって一ではない。なぜなら、目で見たときは白いことは分かるが堅いことは分からない。手で触れたときは堅いことが分かるだけで色のことは分からない。ゆえに堅と白とは二であって、同一のものではない」と説く類。 類:●堅石白馬 2.詭弁を弄(もてあそ)ぶ議論。 類:●白を黒と言いくるめる 出典:「荀子−修身篇」 参照:「公孫竜子−堅白論」 人物:公孫竜(こうそんりゅう) 中国、戦国時代趙の思想家。字は子秉(しへい)。生没年不詳(前320−前250頃)。平原君(へいげんくん)の食客。堅白同異や白馬は馬に非ずなどの弁によって知られる。著に、観念論的な論理学の書「公孫竜子」がある。
・賢は愚にかえる(けんはぐにかえる) 賢者も、時として、愚か者のように装う。
・犬馬の心(けんばのこころ) 犬馬が主に仕えるように、臣下の者が、主君のために忠義を尽くし、その恩に報いようとする心。 出典:「史記−三王世家」
・犬馬の年(けんばのとし)[=齢(よわい)] 犬や馬が無駄に年を取るように、なすこともなく徒(いたずら)に年齢を重ねるということで、自分の年齢を遜(へりくだ)っていう言葉。 類:●馬歯●馬齢●馬齢(ばれい)を重ねる 出典・人物:曹植(そうしょく・そうち) 中国、三国時代の魏の詩人。192〜232。字は子建。魏の武帝曹操の子。文帝曹丕の弟。陳王に封ぜられ陳思王ともいう。筆をとればたちどころに文章ができたという「七歩詩」の故事は著名。魚山(ぎょざん)の地で、空中に聞いた梵天の音律を模して梵唄(ぼんばい)=声明(しょうみょう)を作ったと伝えられる。詩文集に「曹子建集」がある。→七歩の才
・犬馬の養い(けんばのやしない) 父母を養うのに、ただ衣食を与えるだけで、敬う気持ちがないこと。 出典:「論語−為政」「今之孝者、是謂能養、至犬馬皆能有養、不敬何以別乎」
・犬馬の労(けんばのろう) 犬や馬程度の働きの意味で、主君または他人のために力を尽くすこと。謙遜の言葉。 用例:読・弓張月−続「臣等柱石の才なしといへども、犬馬(ケンバ)の労(ロウ)を竭(つく)し候ひなん」 出典:「三国志演義−第三十八回」
・権謀術数(けんぼうじゅっすう) 相手を巧みに欺(あざむ)く謀(はかりごと)。種々の計略を巡らすこと。 類:●権謀術策(じゅっさく) 出典:「宋史」