−けし(kesi)−
・怪しからない(けしからない) 1.不都合である。非難すべきことである。 用例:洒・世説新語茶「ヲヤけしからねへ、今にお出なせいす」 2.副詞的に、酷く〜。大層〜。本当に〜。 用例:滑・旧観帖−初「ほんにけしからねへ御丈夫な」 ★「けしからず」の「ず」の代わりに東国風の「ない」を用いたもの。明和初期からの江戸の流行語<国語大辞典(小)> 用例の出典:旧観帖(きゅうかんちょう) 滑稽本。感和亭鬼武(2篇下巻のみ十返舎一九)。歌川美丸画。3冊。文化2年(1805)〜6年刊。奥州人の江戸見物を浮世物真似の手法を借りて綴り、婆の偏屈な性格を滑稽に描いたもの。人気が高く再版本も出た。
・怪しからん(けしからん)・怪しからぬ 1.道理や礼儀に外れていて、非難すべきものである。不都合だ。良くない。憤慨した感情を表出する言葉。 類:●とんでもない 例:「実に怪しからん話だ」 2.江戸後期の用法。副詞的に、酷く〜である。大層〜である。 用例:滑・浮世床−初「けしからん御寒い事でございます」 ★本来は「怪(け)しかる」の意。強い否定の意を表すために、誤って打ち消しの助動詞「ぬ」を加えたもの<大辞林(三)>
・気色覚ゆ(けしきおぼゆ) 1.趣(おもむき)が感じられる。面白い風情(ふぜい)が感じられる。 用例:徒然草−一四「古き歌どものやうに、いかにぞや、ことばの外に、あはれにけしきおぼゆるはなし」 2.嫌な気がする。不気味な感じがする。 用例:大鏡−五「かく人がちなるにだに、けしきおぼゆ」
・気色ばむ(けしきばむ) 1.気持ちを外に表わす。心の内を仄(ほの)めかす。 用例:宇津保−嵯峨院「時々けしきばめる事はあれど」 2. むっとして怒った表情になる。憤慨する。 類:●色をなす●色めき立つ 用例:蜻蛉−中「人のけしきばみ、くせぐせしきをなん、あやしと思ふ」
・消し口を取る(けしくちをとる・けしぐちを〜) ある火消しの組が他に先んじて消し口を作る。消し口に組の旗印を立てる。 参考:消し口 火事を消すために取り掛かる所。転じて、そこに立てる火消しの組の旗印。
・けじめを食う(けじめをくう)[=食らう] 人から差別待遇を受ける。人から疎外され卑(はずか)しめられる。 ★「差別」「区別」などの字を当てる場合もある<国語大辞典(小)>
・けじめを付ける(けじめをつける) 「けじめ」とは、区別という意味で、それを付けるということから、きちんと筋道を通すこと。
・けじめを取る(けじめをとる) 1.機先を制して、優劣、強弱の差をはっきりと付ける。2.動きが取れないように念を押す。駄目を押して決め付ける。