−きつ(kitu)−
・乞骸(きつがい) → 骸骨を乞う
・切っ掛け(きっかけ) 1.「切り付けようとする勢い」という意味から、気勢のこと。体面。心意気。意地。 用例:甲陽軍鑑−品一六「諸侍、男道のきっかけをはづし」 2.ものごとを始める時の手掛かりや機会。 類:●手始め●弾み 用例:滑・八笑人−初「ちっとはきっかけを付けて置うと、是より稽古にかかる」 例:「話の切っ掛けを掴む」 3.ものごとが始まる原因、理由、動機。 用例:雑俳・柳多留拾遺−巻八下「こしもとはきっかけの有威をふるひ」 例:「つけ込まれるきっかけはない」 4.歌舞伎などの演出で、俳優の演技、大道具の移動や変化、音楽照明効果など、舞台の進行上の合図(あいず)となるものごと。 用例:伎・名歌徳三舛玉垣−五立「きっかけにて御簾降りる」 ★「キッカケを渡す」は、動作の合図をすること、「キッカケを外す」は、合図が悪くて舞台の進行を妨げること。 ★普通「キッカケ」と書く<大辞林(三)> 5.転じて、一般に、合図。符号。印(しるし)。 用例:滑・浮世床−初「けいこ本のところどころへ、○(まるいもの)や、△(うろこ)や、いろいろな切(キッ)かけをして覚えたという奴だ」
・吉凶は人に依りて日に依らず(きっきょうはひとによりてひによらず) 運不運や成功失敗は、人の行動によるものであって、暦(こやみ)の日柄(ひがら)や占(うらな)いによるものではないということ。 出典:「徒然草−九一」「吉日に悪をなすに必ず凶なり。悪日に善を行ふに、必ず吉なりといへり。吉凶は人によりて日によらず」
・詰屈牙(きっくつごうが) 文章や字句が、ごつごつしていて、難解で読み難いこと。 出典:韓愈の詩
・切っ先を折る(きっさきをおる) 刃物の尖(とが)った最先端部を折るという意味から転じて、議論を仕掛けてきた人の言葉の鋭い矛先を挫(くじ)く、また、ものごとの出端(でばな)を挫くこと。 類:●出端を挫く
・生粋(きっすい) 1.混じり気がなく、優れていること。特に、家柄などに混じり気がないこと。 類:●純粋●ちゃきちゃき●生え抜き 例:「生粋の江戸っ子」 2.ものごとが純粋で、雑なものが混じっていないこと。 ★「きすい(生粋)」の変化<国語大辞典(小)>
・切った張った(きったはった) 切ったり殴ったり、乱暴なことをする。 ★「きったり張ったり」「きっつ張っつ」とも<国語大辞典(小)>
・橘中の仙(きっちゅうのせん) 1.囲碁の楽しみ。時に、将棋の楽しみについても言う。 類:●橘中の楽しみ 故事:「幽怪録」 中国の巴廰(はきょう)で、三斗の甕(かめ)ほどの大きな橘(たちばな)の実を割ったら、どの実の中でも、二人の白髪の翁が碁を楽しんでいた。 2.狭い所で楽しみを持つこと。また、そのような楽しみを持つ人。
・橘中の楽しみ(きっちゅうのたのしみ) 囲碁の楽しみ。時に、将棋の楽しみについても言う。 類:●橘中の仙 出典:「幽怪録」「皆相対象戯、談笑自若。一叟曰、橘中之楽、不減商山」 出典:幽怪録(ゆうかいろく) 異聞集。唐代(中唐)。牛僧孺(もしくは李復言)撰。3巻。「玄怪録」とも。・・・調査中。
・切って落とす(きっておとす) 1.勢いよく切って下へ落とす。さっと切り落とす。2.歌舞伎で、舞台に掛かっている幕の上部を外して一度に落とす。3.「〜の幕が切って落とされる」の形で、ある期間継続して行なわれる興業などが始まること。
・切って捨てる(きってすてる) 勢いよく切って放置すること。また、思い切ってものごとを見捨てること。
・切って継いだ(きってついだように)[=付けたように] 前と後とで様子が全然違うこと。また、あれとこれとでまったく不揃いで、不調和であること。 類:●取って付けたよう
・切って回す(きってまわす) 中心になってものごとを処置する。 類:●切り回す
・切っても切れない(きってもきれない)[=ぬ] いくら切ろうとしても切ることができない。人と人などで、強い繋(つな)がり、深い関係があることにいう。
・狐が落ちる(きつねがおちる) 狐憑(つ)きが治るという意味で、狐の霊が取り付いたといわれる一種の精神病が治り、普通の状態に返る。
・狐これを埋め、狐これを[手偏+骨]く(きつねこれをうずめ、きつねこれをあばく) 狐の性質は疑い深く、一度埋めたものをまた発(あば)く。色々と変更し過ぎて、事が成功しないことの喩え。 出典:「国語−呉」
・狐死して兎泣く(きつねししてうさぎなく) 同類の不幸をその縁者が悲しむこと。 類:●兎死すれば狐これを悲しむ
・狐死して丘に首す(きつねししてきゅうにしゅす・かしらす) 丘の穴に住む狐は、死ぬときも首を丘の方に向けて死ぬということ。家を忘れないことの喩え。また、故郷を思うことの喩え。 類:●首丘(しゅきゅう) 出典:「礼記−檀弓・上」
・狐虎の威を藉る(きつねとらのいをかる) 他の権勢や威光を借りて威張り散らすこと。 類:●虎の威を借る狐
・狐に小豆飯(きつねにあずきめし) 好物を前に置くとすぐ手を出すから油断ができないということ。また、みすみす損をするような愚を犯すこと。 類:●猫に鰹節
・狐に抓まれる(きつねにつままれる) 1.狐に化(ば)かされること。 例:「狐につままれたんじゃないか」 2.前後の事情をさっぱり理解できずにぼんやりすること。 例:「狐につままれたような顔をしているよ」 ★「抓む」は、「良いように人を弄(なぶ)る。愚弄する。また、人を嘲(あざけ)る。」などの意味。多く「抓まれる」という受身の形で用い、狐や狸などに化かされること。
・狐の子は頬白(きつねのこはつらじろ) 子は親に似る。
・狐の嫁入り(きつねのよめいり) 1.夜、山野で狐火(きつねび)が連なっているのを、狐が嫁入りする行列の提灯と見て言ったもの。 類:●狐の嫁入り行列 出典:民間伝承 2.日が照っているのに小雨が降ること。 類:●日照り雨 ★当初は1.のことのみを言ったが、不可思議な出来事として、2.のことも言うようになったと考えられる。
・狐を馬に乗せたよう(きつねをうまにのせたよう) 1.きょろきょろして落ち着きがないこと。2.曖昧(あいまい)で掴みどころがないこと。言動に信用が置けないこと。 例:「あいつはいつも狐を馬に乗せたようなことを言う」
・きっぱり 1.明確に決定・決断する様子を表わす言葉。はっきり。 類:●断然●決然 用例:浮・好色万金丹−五「きっぱりと水際が立て見ゆるもうるさし」 例:「彼女のことはきっぱりと諦(あきら)めろ」 2.歌舞伎で、俳優の動作や台詞(せりふ)を際立たせて効果を上げるため、合方(あいかた)を一段と高く強めること。 用例:伎・勧善懲悪覗機関−六幕「『御免下さりませ』ト合方きっぱりとなり」 ★「きっぱ」は「際やか(きはやか)」の「きは」の急呼(きゅうこ)で、「り」は状態を示す助詞。
・気風が良い(きっぷがいい) 1.気質・性格が良い。2.けちけちしないで、さっぱりしている。 類:●気前が良い ★「きふう(気風)」の変化した語<国語大辞典(小)>
・気褄を合わす(きづまをあわす) 相手が気に入るように調子を合わせる。 類:●機嫌を取る