−こけ(koke)−
・虚仮威し(こけおどし) 見せ掛けだけで中身がない手段や方法での威し。見え透いた威し。また、現代では、実質はないのにちょっと見ると圧倒されるほど立派に見える物の外見や、そう見せることにも言う。 類:●見掛け倒し●虚仮威かし 例:「そんな虚仮威しに乗るか」 ★「こけ」は接頭語<国語大辞典(小)>
・虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)
・転け徳利(こけどくり・どっくり) 口から出任(でまか)せに、よく喋(しゃべ)ること。また、その人。 類:●欠け徳利 例:「転徳利で出放題」 ★倒れた徳利から酒が流れ出るようであるところから<国語大辞典(小)>
・虚仮にする(こけにする)[=踏(ふ)む・回す] 馬鹿にする。踏み付けにする。侮(あなど)る。 例:「まったく人を虚仮にして」 用例:人情・清談若緑−三「余(あんま)り人を白癡(コケ)にした、仕打ぢゃアあるめえか」 用例の出典:清談若緑(せいだんわかみどり) 人情本。曲山人。・・・詳細調査中。
・虚仮の後思案(こけのあとじあん) 愚かな者は、必要な時に名案を出せず、事が終わった後になって役に立たない知恵を出すものだ。 類:●虚仮の後分別●下種(げす)の後知恵
・虚仮の一念(こけのいちねん) 愚かな者でも、一つの事をひたすらにやれば、他の人より立派なことができるということ。 類:●虚仮も一心
・虚仮の一心(こけのいっしん) 愚かな者がただ一つの事を心に掛けて遣り遂げようとすること。
・苔の下(こけのした) 苔生(む)した地面の下という意味。墓の下。死んだ後。 類:●黄泉●草葉の陰 用例:更級「埋もれぬかばねをなにに尋ねけむこけのしたには身こそなりけれ」 用例の出典:更級日記(さらしなにっき) 日記。1巻。菅原孝標女(たかすえのむすめ)著。13歳の寛仁4年(1020)9月、父の任国上総(千葉県)から帰京した旅に筆を起こし、夫、橘俊通と死別した翌年52歳の頃までの回想記。物語への憧れと夢の記事が多い。さらしなのにき。
・苔生す(こけむす) 「生す」は生える。長い年月が経過して苔が生える。また、一面が苔で覆(おお)われる。多く、古めかしくなる、永久である、などの喩えとして使われる。 用例:古今−三四三「さざれいしのいはほとなりてこけのむすまで」
・虚仮も一心(こけもいっしん) 愚かな者もただ一つの事を心に込めてやれば、他の人より立派なこともできるということ。 類:●虚仮の一念
・柿落とし(こけらおとし) 新築、改築工事の最後に屋根や足組みなどの柿(こけら)を払い落としたところから、 新築または改築された劇場で行なわれる初めての興行のこと。新築落成を祝う最初の興行。 参考:柿(こけら)・ 材木を削るときにできる木の細片。軌を斧で削ったときの細片。削り屑。木片。木っ端。 ★本来の文字は木偏に「市」ではなく、「沛」の旁[一+巾](4画)とする。または「」を使う。常用漢字ではないので「肺」と同様に「柿」で置き換えて使う。
・沽券が下がる(こけんがさがる) 品位・値打ちが下がる。
・沽券に関わる(こけんにかかわる) 品位や体面に差し障(さわ)りがある。放っておくと品位や体面が保てないとか、傷付けられるとかという場合に用いる。 類:●沽券が下がる●沽券が泣く ★「沽券」は、土地や家屋の売り渡し証文のこと。