−こころ(ま)(kokoro7)−
・心も心ならず(こころもこころならず) 1.落ち着きを失って、そわそわする。 類:●気が気でない 2.上気して我を忘れる。うっとりする。
・心も詞も及ばれず(こころもことばもおよばれず) 思案の範疇を越えており、形容の言葉もない。想像もつかないし、言葉で言い尽くすこともできない。
・心持ちより搗いた餅(こころもちよりついたもち) 情けを掛けてくれる心はありがたいが、今の逼迫(ひっぱく)した状況には、それよりも腹の足しになるものの方が欲しい。厚意よりも実利の方がありがたい。 類:●情けのさけより酒屋の酒●思し召しより米の飯●挨拶より円札●同情するなら金を呉れ ★「持ち」と「餅」を掛けた洒落(しゃれ)。
・心許ない(こころもとない) 1.思うことを叶えることができないで心が落ち着かない様子。気持ちが焦って落ち着かない。待ち遠しい。じれったい。 類:●もどかしい 用例:源氏−末摘花「八月廿余日、宵過ぐるまで待たるる月の心もとなきに」 2.確信が持てないで不安である。気掛かりである。頼りにならない。 用例:栄花−日蔭のかづら「御露顕(ところあらはし)など、こころもとなからずせさせ給へり」 例:「懐具合が心許ない」 3.はっきりそれと決め兼ねるような状態である。はっきりしない。ぼんやりしている。 類:●覚束(おぼつか)ない 用例:枕草子−三七「花びらのはしに、をかしき匂ひこそ、心もとなうつきためれ」 ★上代の「うら(心)もとなし」と同構成。「もとなし」は「もと(根元・根拠)無し」で、むやみ、無性なさま、自己の制御のきかないさまをいい、副詞「もとな」の同類という<国語大辞典(小)>