−こく(koku)−
・刻一刻(こくいっこく) 時間が次第に経過する様子。時間が経(た)つに従って。 類:●次第次第に●刻々●一瞬一瞬 例:「天候は刻一刻と悪化していく」
・虚空者(こくうもの) 思慮分別がない者。
・虚空を掴む(こくうをつかむ) 苦しさのために、手を上に突き上げて、指を固く握り締める。断末魔(だんまつま)に苦しみもがく様子。
・告朔の羊(こくさくのきよう) 虚礼であっても害がなければこれを廃止すべきではないということ。また、その実を失って形式ばかり残っていること。 故事:「論語−八」 魯の国で、告朔の儀式が廃(すた)れ、ただ祖廟に羊を供える形式だけが残っていたのに対して、孔子が儀礼の記憶だけでも留めたいとした。
・国士無双(こくしむそう) 1.国士の中で並ぶ者のない優れた人物。 故事:「史記−淮陰侯列伝」 漢の丞相蕭何(しょうか)は韓信の才能を見抜き、「韓信を漢軍の大元帥に」と推挙した。「何処の馬の骨とも判らぬ雑兵を大元帥になどできぬ」と拒(こば)む劉邦に、「韓信は国士無双。用いなければ漢は滅ぶ」と説得した。 参照:韓信の又潜り 2.麻雀の役満貫の一つ。 人物:韓信(かんしん) 中国、前漢初頭の武将。淮陰(わいいん)の人。?〜前196。張良、蕭何とともに漢の三傑といわれる。高祖に従い、蕭何の推薦で大将となり、趙・魏・燕・斉を滅ぼし、項羽を攻撃して大功を上げる。漢の統一後、斉王から楚王になったが、淮陰侯に左遷され、呂后(りょこう)によって殺された。
・刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん) 《四熟》時勢の推移を知らず、旧習を固守する愚か者の喩え。 類:●舟に刻みて剣を求む●落剣刻舟
・穀潰し(ごくつぶし) 飯は一人前に食うが、何の働きも収入もない者のこと。働かずに遊び暮らす者のこと。多く、人を罵(ののし)るときに使う。 類:●穀盗人(ごくぬすびと)●無駄飯食い●役立たず●米食い虫
・極道者(ごくどうもの) 悪行を重ねる者。放蕩、道楽に耽(ふけ)る者。また、そのような者を罵(ののし)る言葉。 類:●道楽者●放蕩者
・鵠は日に浴せずして白く、烏は日に黔めずして黒し(こくはひによくせずしてしろく、からすはひにくろめずしてくろし) 白鳥は毎日水浴びしなくても常に白く、烏は毎日身体を染めなくても常に黒い。 1.生まれながらにして善なる者は教えられなくとも善良である。同様に、品性の卑(いや)しい者は何度教えても低俗である。 出典:「荘子−外篇・天運」「夫鵠不日浴而白、烏不日黔而黒、黒白之朴、不足以為弁」 2.生まれ付きの容姿や性質は、後から変えようとしてもできるものではないということの喩え。
・黒白の違い(こくびゃくのちがい)[=差] 正反対であること。非常に掛け離れていること。
・黒白を明らかにする(こくびゃくをあきあかにする)[=付ける] 正と邪、曲と直、善と悪など、ものごとの道理をはっきりとさせる。 類:●白黒付ける
・黒白を争う(こくびゃくのちがい) どちらが良いか、正しいかをはっきりとさせる。
・黒白を弁う(こくびゃくをわきまう) ものごとの正邪善悪を識別する。 類:●道理を弁える
・小首を傾ける(こくびをかたむける)[=かたぶける・かしげる・かたげる] 首をちょっと傾(かし)げて考えを巡らす。また、不審がったり不思議に思ったりする。
・小首を投ぐ(こくびをなぐ) 首を前に垂れる。思案に暮れた様子や、疲れ果てた様子を表わす。
・極楽蜻蛉(ごくらくとんぼ) 1.いつまでも親の保護を受けている、だらしない息子のこと。2.職を持たないでぶらぶら遊び暮らしている者。浮(うわ)ついた、のらくら者などを罵(ののし)り嘲(あざけ)って言う言葉。 類:●根無し草●糸の切れた凧のよう 3.楽天的で、現実生活にあまり拘(こだわ)らない、飄々(ひょうひょう)とした人。 ★「とんぼ」は、「鈍坊(どんぼう)」からの転で、愚鈍な倅(せがれ)の意味か。或いは、蜻蛉のように気楽で何もしない人からか。 
・極楽願わんより地獄作るな(ごくらくねがわんよりじごくつくるな) 死んで後極楽に往生することを願うよりも、まず地獄に落ちるような悪業をしないように心掛けることだ。
・極楽の台(ごくらくのうてな)[=玉の台] 極楽浄土にあるという蓮の花の台。
・極楽の東門(ごくらくのとうもん)[=浄土(じょうど)の東門] 極楽浄土にあるという東の門。四天王寺(大阪市天王寺区元町にある寺)の西門から真っ直ぐ西方を目指して行けば行き着くと信じられていた。
・極楽の西風(ごくらくのにしかぜ)[=余り風] 極楽浄土があると言われる、西の方から吹いてくる風のこと。気持ち良い、涼しい風のこと。
・極楽の願い(ごくらくのねがい)[=望み] 極楽に往生したいという願い。安らかに死に、死後も安らかでありたいという希望。
・極楽の迎え(ごくらくのむかえ) 極楽に往生したいと願う人の臨終に、阿弥陀、観音、勢至などが極楽から迎えに来ること。また、臨終、死などを指す。 類:●御来迎(ごらいごう)
・鵠を刻して鶩に類す(こくをこくすてあひるにるいす) 白鳥を作る積もりで木を刻めば、出来損なっても、家鴨程度のものは出来上がるという意味で、謹直の立派な人を見習って及ばなくても、それに近い善人くらいにはなれるということ。 出典:「後漢書−馬援伝」「竜伯高敦厚周慎〈略〉效伯高不得、猶為謹勅之士、所謂刻鵠不成、尚類厥鶩者也」
・狐群狗党(こぐんくとう) 《四熟》 狐の群れと、野良犬の集団。碌(ろく)でもない連中の集まりの喩え。悪人仲間、そのグループのこと。 類:●狐朋狗党
・孤軍奮闘(こぐんふんとう) 孤立した少数の軍勢で良く戦うこと。また、支援してくれる者もない中で、独(ひと)り一所懸命に難事業に取り組むこと。