−こま(koma)−
・誤魔化す(ごまかす)・胡魔化す 1.自分の本心などを、他人に見破(みやぶ)られないように、その場を取り繕(つくろ)う。 用例:滑・浮世床−初「滝本様をごまかす人などが手本を書てわたすのさ」 2.人目を欺(あざむ)いて不正を行なう。人を騙(だま)して金品などを盗み取る。 例:「釣り銭をごまかす」 ★「胡魔化・誤魔化」などは当て字<国語大辞典(小)> 語源@:ゴマノハヒ(護摩灰)のゴマに、マギラカス、ダマカスなどのカスを付けたものか<大言海> 語源A:「ごまかし」を活用させた語。胡麻胴乱(ごまどうらん)をゴマカシ(胡麻菓子)と言ったことから<広辞苑> ・・・@が有力かという。
・こましゃくれる 子供が、大人びた小賢(こざか)しい言動をする。子供が老成(ませ)た様子をする。 類:●こまさくれる●こまっちゃくれる 用例:浄・娥歌かるた−一「経政さまもこましゃくれて、十四の春から声変はりせせこましうて」 用例の出典:娥歌かるた(かおようたがるた) 浄瑠璃。正徳4年(1714)。近松門左衛門。竹本義太夫最後の語り物。絵島・生島事件を当て込んだ際物。滝口入道・横笛と左京・苅藻の2組の男女の清らかな恋を描く<近松門左衛門でござーい!>
・胡麻擂り(ごますり) その時々の都合で、どちらにでも、誰にでも迎合すること。他人に媚び諂(へつら)って自分の利益を図ること。また、そういう人。
・小股が切れ上がる(こまたがきれあがる) 股が“ちょっと”切れ上がる、という意味。女性の、すらりとして粋な様子のこと。きりりとして小粋な婦人の容姿の形容。 類:●素股が切れ上がる ★接頭語「小」は、名詞の上に付いて、下の述語の表わす動作・状態の量や程度の小さいことを表現する。人体の一部を示す名詞に付くことが多い。すこし。ちょっと。「小耳にはさむ」「小首をかしげる」「小当たりに当たる」「小腹がすく」など<国語大辞典(小)> ★井原西鶴の「本朝二十不孝」に、背丈の高い形容として「徒俣(すまた)切れあがりて」という表現があり、これとの関連などから、背丈がすらりとしている女性の形容とする説が有力。安永(1772〜1981)頃の流行語であったらしい<国語大辞典(小)>
・小股取っても勝つが本(こまたとってもかつがほん)[=得(とく)] 多少卑怯(ひきょう)な方法でも兎(と)に角(かく)勝つことが大切だ。勝つためには正々堂々の行き方でなくても止むを得ない。
・小股を掬う(こまたをすくう)[=取る] 1.相撲で、相手の股を内側から掬い上げて倒す技。2.他人の欠点を突いて自分の利益を図る。人の油断や隙に乗じて自分の利を図る。
・小町(こまち) 小野小町(おののこまち)のように美しい娘の意味から、美人の評判高い娘の喩え。 類:●小町娘●美人 ★「○○小町」など、その時代やその土地の名の下に付けて、それを代表する美人とした。「天明小町」「日本橋小町」など。現在の、「ミス○○」と同じように使った。
・独楽鼠のよう(こまねずみのよう)・高麗鼠〜 独楽鼠のように忙(せわ)しく動き回る。特に、忙(いそが)しそうに、まめに働いていることを喩えて言う。 例:「独楽鼠のように働かされる」 参考:独楽鼠(こまねずみ) 「舞い鼠」とも呼ばれ、中国産のハツカネズミの飼育変種とされる。生まれつき平衡感覚に欠陥があり、自分の尾を追いかけてくるくる回る習性がある<国語大辞典(小)>
・護摩の灰(ごまのはい) 1.密教で、護摩を修する時に焚く護摩木などの灰。2.高野聖(こうやひじり)の扮装(ふんそう)をして、弘法大師が修した護摩の灰と称して押し売りを行なった者の呼び名。江戸時代、人を騙(だま)して金品を取る坊主。 類:●売僧(まいす) 3.旅人を装い、旅客の金品を盗み取る者の称。 類:●護摩●胡麻の蠅
・胡麻の蝿(ごまのはえ) 旅人を脅したり、騙したりして金品を巻き上げる者。 類:●護摩の灰
・独楽の舞い倒れ(こまのまいだおれ) 独楽は、勢いよく回り続けているうちは支えがなくても直立するが、勢いが衰えるにつれてぐらぐらと揺れ始め、やがてばったりと倒れてしまう。自分だけが張り切って立ち働くが、結局は大した成果も得られないまま倒れてしまうことの喩え。 類:●独り相撲
・の魚交じり(ごまめのととまじり) つまらない者が相応(ふさわ)しくない地位にいることの喩え。 類:●雑魚の魚交じり●海老の鯛交じり
・田作の歯軋り(ごまめのはぎしり)・の〜
・小間物屋を開く(こまものやをひらく)[=広げる] 俗語。小間物屋が種種雑多な商品を広げて見せることに似ているところから、飲み食いしたものを吐くことをいう。 類:●反吐(へど)を吐く●犬を悦ばす
・胡麻を擂る(ごまをする) 他人に媚び諂(へつら)って自分の利益を図る。 類:●よいしょする 例:「上役に胡麻を擂る」 ★煎り胡麻を擂ると、擂り鉢の側面や擂り粉木の先に、ぺったりと、まとまって張り付くことからか。
・ごまんと 俗な言い回し。非常にたくさんであること。 例:「元祖と銘打った店などごまんとある」 ★語源は「巨万と」からか。