−こと(は)(koto6)−
・言葉が過ぎる(ことばがすぎる) 言ってはならないようなことまで言う。度を越して強く言ったり、相手の感情を害することを言ってしまう。
・言葉尻を捕らえる(ことばじりをとらえる)[=取る] 相手の言い損(その)ないや不適切な言い方に付け込んで、詰(なじ)ったり皮肉を言ったりする。 類:●上げ足を取る
・言葉涼し(ことばすずし) 口の利き方が潔(いさぎよ)い。躊躇(ためら)ったり疑ったりしないで、自信に満ちてはっきりと断言する。
・言葉で庭を掃く(ことばでにわをはく) お世辞を言う。おべっかを使う。追従(ついしょう)する。
・言葉猶耳にあり(ことばなおみみにあり) かつて聞いた言葉が今でもはっきり耳に残っていて忘れていない。 出典:「春秋左氏伝−文公七年」「今君雖終、言猶在耳」
・言葉なし(ことばなし) 1.言うべき言葉がない。弁解することができない。 用例:徒然草−三六「我が怠り思ひ知られて言葉なき心地するに」 2.その場の誰もが押し黙っていること。 例:「寂(せき)として言葉もない」
・言葉に甘える(ことばにあまえる) 他人の親切な言葉や許可に、素直に従う。好意ある申し出を遠慮なく受ける。 例:「お言葉に甘えて、ご馳走になります」
・言葉に余る(ことばにあまる) 言葉だけでは言い尽くせない。 例:「彼の親切は言葉に余るものがある」
・言葉に角を入る(ことばにかどをいる)[=尖(とが)る」 事を荒立てるような口の利き方をする。いかついものの言いようをする。
・言葉に花が咲く(ことばにはながさく) 1.話が弾む。話が調子付く。話が尽きない。類:●話に花が咲く 2.話が弾み過ぎて、喧嘩になる。言葉の上の争いから、喧嘩になる。
・言葉に花実を交ず(ことばにはなみをまず) 話に真実と虚飾を巧みに取り混ぜる。
・言葉に針を持つ(ことばにはりをもつ)[=含む] 言葉に、相手を傷つけようとする意図がある。言葉に害意がある。
・言葉の綾(ことばのあや) 1.言葉を飾って巧みに言い表わすこと。言葉の巧みな言い回し。2.現代では、幾通りにも解釈できるような複雑な表現を指して言う。
・言葉の裏釘を返す(ことばのうらくぎをかえす) 板に釘を打って裏に出た釘の先を曲げて抜けなくするということで、言ったことを確約する。 類:●駄目を押す
・言葉の下から(ことばのしたから) 言い終わるか終わらない内に。 類:●舌の根の乾かぬうちに
・言葉の下に骨を消す(ことばのしたにほねをけす) 他人の中傷や讒言(ざんげん)のために命を失うことがある。 類:●積毀(せっき)は骨を銷(と)かす 出典:「史記−張儀伝」「衆口鑠金、積毀銷骨」
・言葉の端(ことばのはし)[=外(はず)れ] 言葉尻。ちょっとした言葉。 類:●言葉の末(すえ)
・言葉は国の手形(こtばはくにのてがた) 言葉の訛(なま)りは、通行手形のようにその人が生まれ育った国を示す証拠となる。どこへ行っても、言葉で生国(しょうごく)が知られる。
・言葉は心の使い(ことばはこころのつかい) 心に思っていることは、自(おの)ずと、言葉に表れてしまうものである。
・言葉は身の文(ことばはみのあや) 言葉は、その人の人柄や品性を表わすものである。 出典:「春秋左氏伝−僖公二四年」「言身之文也、身将隠、焉用文之」
・事は密なるをもって成る(ことはみつなるをもってなる) ものごとは秘密が守られて初めて成就(じょうじゅ)するという意味で、計画を成功させるには、外部に漏れないように用意周到な配慮が必要だということ。 類:●幾事密ならざればすなわち害成る●事の漏れ易きは禍(わざわい)を招くの媒(なかだち)事の慎(しず)まざるは敗を取る道●事の漏れ易きは禍の媒●謀(はかりごと)は密なるをもって善しとす 出典:「韓非子−説難」「夫事以密成、語以泄敗」
・言葉を返す(ことばをかえす) 1.答える。返答する。 例:「言葉を返す隙も与えず捲(まく)し立てる」 2.口答えをする。言い返す。 例:「お言葉を返すようで恐縮ですが」
・言葉を下ぐ(ことばをさぐ)[=垂(た)れる] 1.言葉使いをぞんざいにする。相手を低く見た言葉使いをする。2.謙遜した言葉使いをする。遜(へりくだ)った言い方をする。 類:●口を垂る
・言葉を尽くす(ことばをつくす) 相手により良く伝えようとして、知っている限りの言葉を用いる。あらん限りの言葉を使って色々に表現する。また、一所懸命に喋る。
・言葉を濁す(ことばをにごす) 都合が悪いことなどを、曖昧に言う。はっきりと言わずにぼかす。 類:●口を濁す
・言葉を呑む(ことばをのむ) 1.何か言おうとしたが、差し障りを感じて、急に言うのを止(や)める。2.驚きや緊張のあまり声が出ない。また、出そうになった声を堪(こら)える。
・言葉を挟む(ことばをはさむ) 他人の話の中に割り込む。口出しをする。
・言葉を引き取る 他人の話の中途からその話に応じた自分の言葉を続ける。
・言葉を卑くす(ことばをひくくす) 遜(へりくだ)ったものの言い方をする。 類:●辞を低うする●言葉を下ぐ 用例:義血侠血「世話人は辞(ことば)を卑うして挨拶せり」 用例の出典:義血侠血(ぎけつきょうけつ) 小説。泉鏡花。明治27(1894)年。水芸人の滝の白糸と金沢の氏族出身の村越欣彌の悲恋の物語。
・五斗米の為に腰を折らず(ごとべいのためにこしをおらず) 僅(わず)かばかりの俸禄(ほうろく)を得るために、ぺこぺこと人の機嫌を取ることはしない。 ★「五斗米」は、約五升の米。薄給(はっきゅう)の喩え。 故事:「晋書−隠逸・陶潜伝」「潜歎曰、吾不能為五斗米折腰、拳拳事郷里小人邪」 中国の晋(しん)の時代、詩人陶淵明(とうえんめい)が彭沢(ほうたく)県の長官をしていたとき、若い上役が視察に来るから礼服で出迎えよと言われたのに対して、「高々五斗ばかりの扶持(ふち)の為に腰を折って若僧にぺこぺこするのは嫌だ」と言って辞職した。このときに「帰去来の辞」を作ったと言われる。