−こう(さ)(kou3)−
・功罪相償う(こうざいあいつぐなう) 功もあり罪もあるので、差し引きすればそれが消されてしまう。罪を手柄で相殺(そうさい)する。また、功績があるために犯した罪が大目に見られる。 類:●功罪相半ばす
・功罪相半ばす(こうざいあいなかばす) 功績もあれば罪過もあるので、善悪どちらとも決め兼ねる。
・高材疾足(こうざいしっそく) 「高材」は「高才(こうさい)」と同じで、優れた才能の持ち主のこと。才能が優れていて敏腕であること。智勇兼備であること。 出典:「史記−淮陰侯伝」「天下共逐之、於是高材疾足、先得焉」 ★「鹿を逐う」のに適すという喩えから、疾足に優れた者という意味を持たせた。
・光彩陸離(こうさいりくり) 《四熟》 光が入り乱れて輝き、目映(まばゆ)いばかりに美しい様子。 類:●光彩奪目●光彩煥発 例:「光彩陸離たる新緑の季節」 ★「彩」は「采」とも書く。
・巧詐は拙誠に如かず(こうさはせっせいにしかず) 巧みに人を騙(だま)すよりは、拙(つたな)くとも誠意を示す方が良い。言葉や表現が下手(へた)でも、真心が篭もっている方が良いということ。 類:●巧偽拙誠 出典:「韓非子−説林・上」「故曰、巧詐不如拙誠」
・恒産なき者は恒心なし(こうさんなきものはこうしんなし) 定まった財産や決まった職業のない人には、正しく安定した心がない。物質生活は人の心に大きな影響を持つもので、それが安定しないと精神も安定しない。 出典:「孟子−梁恵王・上」また「孟子−滕文公・上」
・高山流水(こうざんりゅうすい) 1.妙(たえ)なる音楽の喩え。絶妙の演奏。 出典:「列子−湯問」「伯牙鼓琴、志在高山、子期曰、善哉峩峩乎若泰山。志在流水、子期曰、善哉洋洋兮若江河」 中国の春秋時代の琴の名手伯牙(はくが)が、高山や流水を思って琴を奏でると、親友の鍾子期(しょうしき)がそれを感じ取った。 2.お互いを良く理解している真の友人。 類:●知音
・口耳講説(こうじこうせつ) 《四熟》 聞き齧りの耳学問を、物知り顔ですぐ人に説くこと。浅薄な学者、学識の喩え。 類:●口耳の学●口耳四寸
・行尸走肉(こうしそうにく) 歩く屍(しかばね)と走る肉という意味で、形あって魂のない肉魂同然の人。無能で存在価値がない者。 出典:「拾遺記」
・膠漆の交わり(こうしつのまじわり) 膠(にかわ)や漆(うるし)て貼り付けたように固くしっかりした間柄のこと。 類:●水魚の交わり●刎頚の交わり 出典:元シン[禾+眞]の詩「我實膠漆中堂共杯酒」
・曠日弥久(こうじつびきゅう) 空(むな)しく日々を送って、事を長引かせ、暇取ること。いつまでも無駄に日を過ごすこと。 類:●曠日持久●曠久
・孔子に悟道(こうしにごどう)・[=論語] 孔子に対して悟道を説くように、知り尽くしている人に、その事を教えるのは愚行である。 類:●釈迦に説法●河童に水練
・孔子に盗跖(こうしにとうせき) 「盗跖」は中国、春秋時代の悪人の名前。最善のものがあれば、その対極に最悪のものがある。 類:●光と影
・口耳の学(こうじのがく) 他人から聞いたことを理解しないままに人に伝えること。自分自身のものにならない学問。受け売りの浅はかな学問。 類:●口耳講説●口耳四寸の学●口耳三寸の学●耳学問●記問(きもん)の学 出典:「荀子−勧学」
・好事魔多し(こうじまおおし)
・孔子も時に遇わず(こうしもときにあわず) 孔子のような立派な人物でも、世の中に容(い)れられずに不遇に終わることがある。どんなに優れた人物でも、時勢に合わなければ埋もれてしまうものであるという喩え。 類:●聖人も時に遇わず ★孔子は、遊説するもなかなか認められず、中原(ちゅうげん)を14年間も放浪して、結局生地の魯(ろ)に帰った。 参考:「荀子−宥坐篇」「孔子曰、〈略〉遇不遇者時也」
・好事もなきに如かず(こうじもなきにしかず) 仮令(たとえ)良いことであっても、あれば煩(わずら)わしいから、むしろ何事もなく平穏なのが一番良い。 類:●好事すらなきに如かず●無事これ貴人 出典:碧巌録(へきがんろく) 中国宋代の禅の宝典。10巻。雲門宗の雪竇重顕(せっちょうじゅうけん;980〜1052)が百の公案を選び、そのそれぞれに自ら頌(じゅ)をつけたものに、のち臨済宗の圜悟克勤(えんごこくごん;1063〜1135)が一つ一つに垂示・評唱・著語を加えたもの。禅の修行上の優れた指南書。正式名称は『仏果圜悟禅師碧巖録』。
・好事門を出でず(こうじもんをいでず) 良い行ないは、なかなか世間に伝わり難い。 反:■悪事千里を走る 出典:「北夢瑣言」
・後車の戒め(こうしゃのいましめ) 前の車が引っ繰り返るのを見て、後の車は同じ失敗をしないように注意するという意味。他人の過ちを見て自戒せよということ。 類:●人の癖見て我が癖直せ●人の振り見て我が振り直せ●殷鑑遠からず●前車の覆るは後車の戒め 出典:「漢書−賈誼伝」「鄙諺曰、前車覆後車戒」
・広宵大暮(こうしょうたいぼ) 人間死んでしまえば永久に暁(あかつき)が来ないという意味で、死ぬこと。
・口尚乳臭(こうしょうにゅうしゅう) 《四熟》 年若く世間知らずの者のこと。 類:●青二才 出典:「漢書−高帝紀」「是口尚乳臭、不能当韓信」
・強情を張る(ごうじょうをはる) 無理矢理自分の意向を通そうとする。
・校書掃塵(こうしょそうじん) 《四熟》書物を校正する作業は、塵を払っても完全には払い尽くすことができないように、なかなか誤りがなくならないということ。 類:●書を校するは塵を掃うが如し 出典:「夢渓筆談」「校書如掃塵」
・後塵を拝す(こうじんをはいす) 1.地位や権力のある人を仰ぎ見て、羨ましく思う。2.他人に先んじられる。他人の支配下になる。 類:●下風(かふう)に立つ 3.権力のある人に追従する。人に媚び諂(へつら)う。 類:●三尺去って師の影を踏まず 出典:古今詩話(ここんしわ) ・・・調査中。
・後生畏るべし(こうせいおそるべし) 後進の者は、これからどれほど向上・発展するか量り知れないから、畏れなければならない。 出典:「論語−子罕」「後生可畏、焉知来者之不如今也」
・孔席暖まらず、墨突黔まず(こうせきあたたまらず、ぼくとつくろまず) 1.孔子の席は暖まることなく、墨子の家の煙突は煙で黒くなることがなかった。孔子と墨子はいつも諸国を周遊して、一所に留まらなかったということ。優れた人の治(おさ)め方は、慌(あわただ)しいものであるということ。 出典:「文選−班固・答賓戯」「賓戯主人曰、《略》孔席不暖、墨突不黔」 2.転じて、世を救うために東奔西走(とうほんせいそう)すること。 類:●孔席墨突●孔席暖まるに暇あらず●墨突黔まず
・傲然屹立(ごうぜんきつりつ) 《四熟》 1.山が、堂々と険(けわ)しく聳(そび)え立つ様子。また、人や建物・樹木などが、誇らし気に直立する様子。2.堅固で揺るぎない様子。
・浩然の気を養う(こうぜんをやしなう) 公明正大でどこも恥じるところがない逞(たくま)しい精神を育てる。転じて、伸び伸びとして解放された心持ちになる。 出典:「孟子−公孫丑・上」「我善養吾浩然之気」
・黄泉の客(こうせんのきゃく)[=旅人] 黄泉へ旅立った人。死んだ人。 類:●黄泉の旅人●不帰の客