−こう(は)(kou6)−
・勾配が温い(こうばいがぬるい)[=鈍(のろ)い] 1.屋形の傾斜の度合が緩(ゆる)やかである。2.機転が利かない。動作が鈍(のろ)い。 反:■勾配が早い
・勾配が早い(こうばいがはやい) 判断が素早い。 用例:西洋道中膝栗毛「勾配が早くあしをとりたちまちそこへひきころばす」  用例の出典:(万国航海)西洋道中膝栗毛(せいようどうちゅうひざくりげ) 滑稽本。15編30冊。仮名垣魯文。12〜15編は総生寛作。明治3年(1870)〜9年(1876)。内容、形式共に十返舎一九の「東海道中膝栗毛」を模する。初代の孫の弥次郎兵衛、北八が横浜の商人の供をして上海(シャンハイ)から英国に着くまでの滑稽な道中記。
・孝は親に事うるに始まる(こうはおやにつかうるにはじまる) 孝行の第一は親に仕えることである。第二は君主に仕えることで、第三は身を立て家の名を残すことである。 ★孔子の言葉。 出典:「孝経−開宗明義」「夫孝、始於事親、中於事君、終於立身」<それ孝は、親に事(つか)うるに始まり、君に事うるに中(ちゅう)し、身を立つるに終わる>
・孝は百行の本(こうはひゃっこうのもと)[=基(もとい)] 親孝行は諸々(もろもろ)の善行の基となるものである。孝はあらゆる徳行の初(はじ)めである。 出典:「孝経−三才章」「鄭注論語云、孝為百行本、言人之為行、莫先於孝」
・勾張り強うて家倒す(こうばりつようていえたおす) 家が倒れないようにと掛けたつっかえ棒が、強過ぎて、逆に家を倒してしまう。転じて、助けとなるものが強過ぎて、却(かえ)ってものごとを悪くすることの喩え。 類:●贔屓の引き倒し
・好評嘖嘖(こうひょうさくさく) 世間で良く取り沙汰(ざた)され、人々が口々に誉(ほ)めそやす様子。 例:「好評嘖嘖で、どの店でも売切れだ」 ★「嘖嘖」は、しきりに舌打ちしてほめるさま。中国ではほめるときにも舌打ちをする<学研漢和大字典> ★「嘖嘖」は好い意味に使うものであり、「悪評嘖嘖」と使うのは誤用。
・光風霽月(こうふうせいげつ) 中国、宋の黄庭堅が周敦頤の人柄を評した表現で、さわやかな風と晴れ渡った月という意味。性質が高明で蟠(わだかま)りがなくさっぱりした人の形容。 出典:「宋史−周敦頤伝」
・好物に祟りなし(こうぶつにたたりなし) 1.長年食べ続けているものは、自分の健康のためにも良いものである。 ★体質に合わないものは、好物になり得ないことから。 2.好きなものは食べ過ぎてもそれほど害にはならない。 反:■節制は最良の薬なり
・行不由径(こうふゆけい) 《四熟》 小道や裏通りを通らず、常に大通りを通る。ものごとを成すのに、近道を求めたり小細工を弄したりせず、正々堂々とした遣り方を取るということ。 類:●公明正大 出典:「論語−雍也」「有澹台滅明者、行不由径」 「行くに径に由らず」と読み下す。
・口吻を学ぶ(こうふんをまなぶ) 人の言うことを真似する。他人の言に倣(なら)う。
・口吻を漏らす(こうふんをもらす) 言葉の端々から、内心がそれとなく想像できるような物言いをする。
・頭を傾く(こうべをかたぶく) 1.頭を前に下げる。考え込んだり、思案したりする様子。2.頭を前に垂れる。神仏を拝む様子。転じて、深く信仰する様子や心から感謝する様子。3.頭を横に傾(かし)げる。疑問に思ったり、信用できない気持ちを表わす。
・頭を垂れる(こうべをたれる) 頭(あたま)を下げる。 1.詫(わ)びる。 例:「監督に頭を垂れた」 2.お辞儀(じぎ)をする。低姿勢に対応する。 類:●遜(へりくだ)る 例:「実るほど頭を垂れる稲穂かな」 3.比喩的に、神仏を信仰する。祈(いの)る。 類:●帰依(きえ)する 例:「彼はアラーに頭を垂れている」 4.屈服する。付き従う。また、万策(ばんさく)尽きて、抵抗を止(や)める。 例:「猿は桃太郎に頭を垂れた」 ★「こうべ」は、上部(かみへ)、または髪部(かみへ)の転という<大辞林(三)>
・頭を回らす(こうべをめぐらす) 1.頭を後ろの方に向ける。後ろを振り返って見る。 類:●振り向く 2.振り返って、昔を忍ぶ。過ぎ去った昔を回想する。 類:●回想する
・頭を割る(こうべをわる)[=割らす] 1.頭骸骨を、割って砕く。2.あれこれと、心を砕いて考える。 類:●思案を凝(こ)らす
・光芒一閃(こうぼういっせん) 《四熟》 1.光が一瞬、ぴかっと光ること。白刃が閃(ひらめ)く、電光が煌(きら)めく様子など。 類:●紫電一閃 2.転じて、事態が一瞬にして急変すること。また、英雄の華々しくも短い、あっという間の人生の喩え。
・厚貌深情(こうぼうしんじょう) 《四熟》 1.顔付きは親切なようでも、心の中は奥深くて何を考えているか判らない。人の心は知り難いものだということ。 出典:「荘子−雑篇・列御寇」「天猶有春秋冬夏旦暮之期、人者厚貌深情」 2.また、態度も心も親切なこと。
・興亡恒なし(こうぼうつねなし) 国の興亡や盛衰(せいすい)は激しいということ。
・弘法筆を択ばず(こうぼうふでをえらばず) 弘法大師のような書道の名人は、筆の良い悪いを問題にしない。真にその道に秀(ひい)でた人は、どんな道具を使っても優れた成果を上げるものだということ。
・弘法も筆の誤まり(こうぼうもふでのあやまり)
・豪放磊落(ごうほうらいらく) 度量が大きく快活で、小さなことに拘(こだわ)らない性格。 類:●豪蕩●豪胆
・槁木死灰(こうぼくしかい) 体は枯れ木のようであり、心は冷えた灰のようであるということ。心身に活気や生気がない様子。 類:●形は槁木のごとく心は死灰のごとし●枯木冷灰●枯木寒巌 出典:「荘子−斉物論」「形固可使如槁木、而心固可使如死灰乎」
・高木は風に折らる(こうぼくはかぜにおらる)
・合浦珠還(ごうほしゅかん) 《四熟》 一度失った大事な物が再び手に戻ることの喩え。 出典:「後漢書−循吏列伝・孟嘗」「嘗到官、革易前弊、求民病利、曾未踰歳、去珠復還」 ★合浦郡は昔から良い真珠が採れたが、貪欲な太守が続いたため住民に嫌われて産出されなくなった。孟嘗が太守になると、清廉な政治を行なったので人心が戻り、再び産出されるようになった。