−くひ(kuhi)−
・首が繋がる(くびがつながる) 免職や解雇を免(まぬが)れる。 例:「どうにか首が繋がっている状態」
・首が飛ぶ(くびがとぶ) 1.首を切られる。殺される。2.免職になる。解雇される。
・首が回らない(くびがまわらない) 借金などのため、どうしても遣り繰りが付かない。
・頚木を争う(くびきをあらそう) お互いに張り合って勝負する。張り合って譲(ゆず)ろうとしない。
・踝を返す(くびすをかえす) 後戻りすること。引き返すこと。 類:●きびすを返す
・踝を接す(くびすをせっす・しょうを〜) 隙間なく並んだり続いたりしている。 類:●きびすを接す ★戦国時代の黄歇(こうけつ)が、秦王に対して献言した言葉による。 出典:「戦国策−秦」「韓・魏父子兄弟、接踵而死於秦者百世矣」
・踝を回らさず(くびすをめぐらさず) 踵(かかと)を廻らすほどの時間もないという意味で、僅(わず)かな時間内に急いで事を運ぶこと。 類:●踵返らず 出典:「史記」
・首っ丈(くびったけ) 首の丈まで深く嵌(は)まるという意味で、ある気持ちに強く支配されること。特に、異性にすっかり惚れこんでしまう様子。 類:●首丈(くびだけ) 用例:洒・多佳余宇辞「帰りてへは、首ったけだが」 ★「くびだけ(首丈)」の変化<国語大辞典(小)>
・首っ引き(くびっぴき) 1.二人が向き合い、輪にしたひもを両者の首に掛け渡して互いに引き合う遊戯。首引き。2.ずっと、ある一つの物と対して、それを放さないでいること。 類:●首引き 例:「辞書と首っぴきで原書を読む」 用例:伎・四天王楓江戸粧−二番目「酒と首っ引き」 用例の出典:四天王楓江戸粧(してんのうもみじのえどぐま) 烏亭焉馬(うていえんば)。鶴屋南北と合作。文化元年(1804)。平将門の残党を退治する源頼光の話。蜘蛛の魂が五体に分け入り、秘力を得た辰夜叉御前と悪公家の左大臣高明と源頼光、四天王が争いを繰り広げるとともに、相馬太郎良門兄妹と小女郎狐が「小狐丸」を巡って争う。 人物:鶴屋南北(つるやなんぼく) 江戸後期の歌舞伎作者。四世。江戸の人。1755〜1829。俗に大南北(おおなんぼく)。はじめ初世桜田治助、のち金井三笑に学ぶ。享和3年(1803)立作者となり、文化8年(1811)四世南北を襲名。江戸劇壇の代表的作者となり、生世話(きぜわ)を創始。「東海道四谷怪談」「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」などがある。
・首に撞木杖突かさる(くびにしゅもくづえつかさる) 撞木杖は、獄門台の柱を見たてたもの。首を獄門台に乗せられること。
・首になる(くびになる) 1.斬首(ざんしゅ)される。打ち首になる。 用例:浄・長町女腹切−中「たとへ首になるとても、もう取りかへしのならぬこと」 2.解雇される。罷免(ひめん)される。除名される。 類:●(俗)リストラされる
・首に縄を付ける(くびになわをつける) 無理矢理に連れて行くこと。
・首根っこを押さえる(くびねっこをおさえる) 首筋を取り押えて動けないようにする。転じて、相手の弱点や急所を押えて有無を言わせないようにする。 類:●有無を言わせず●否応なしに
・首の皮一枚(くびのかわいちまい) ほんの少しのところで、まだ繋(つな)がっていること。可能性が、ごく僅(わず)かだが、残っている様子。
・首の座に直る(くびのざにすわる) 1.「首の座」は、打ち首になるときに座らされる場所のこと。首の座に座って、打ち首の刑を受ける。2.決裁を受けるために、相当の覚悟をして、その場に臨む。特に、辞職や解雇の覚悟をして、会議などに臨むこと。
・首振り三年ころ八年(くびふりさんねんころはちねん) 尺八を吹くのに、首を振って音が出せるようになるのに三年掛かり、ころころと良い音色を出すには八年掛かる。どんな道でも、相応の腕になるには長い修行が必要だということ。 類:●顎振り三年●ぽつぽつ三年波八年●櫓三年に棹八年
・九百九十九匹の鼻欠け猿満足な一匹の猿を笑う(くひゃくくじゅうくひきのはなかけざるまんぞくないっぴきのさるをわらう) 醜悪または無知な大多数の者が、ごく僅(わず)かな正しい人を謗(そし)ること。また、欠点を持つ仲間が多くいると、その欠点に気が付かないものだということ。 法話:「今昔物語−五・二三」 天竺(てんじく)舎衛国(しゃえこく)の大木に千匹の猿がいて、九百九十九匹の鼻欠けの猿が、五体満足な一匹の猿を嘲(あざけ)り笑った。