−くひ(を)(kuhiwo)−
・首を集める(くびをあつめる) 額を付き合わせるようにして相談する。 類:●鳩首する
・首を洗って待て(くびをあらってまて) いつ首を切られても良いように覚悟して待て。相手に向かって、観念しろという意味で言う。 例:「次の試合はこてんぱんにしてやるから、首を洗って待っていろ」
・首を掻く(くびをかく) 1.首を掻き切る。2.指先で頭を掻くということで、心に決め兼ねたり、失敗したりして困っている様子。また、過ちをして恥じている様子。 類:●頭を掻く 用例:朝野群載−二二「事畢之後。掻首无益」 用例の出典:朝野群載(ちょうやぐんさい) 院政期の詩文集。30巻。三善為康編。永久4年(1116)成立。のちに増補。平安中・後期の詩、文章、各種古文書などを集成、部類したもの。巻10など9巻分は散逸。
・首を懸く(くびをかく) 斬罪に処した首を獄門台などに曝(さら)す。曝(さら)し首にする。
・首を賭ける(くびをかける) 失敗すれば地位や命を失うという覚悟で、事の成就に努める。命を賭(と)して事に当たる。
・首を傾げる(くびをかしげる) 不思議に思ったり、疑わしく思ったりするときの動作。
・首を刻む(くびをきざむ) 刻印を押す。そうであるという印を刻み付ける。そうであることを標榜する。 用例:曾我物語−五「男とくびをきざまるる程の者が」
・首を切る(くびをきる) 1.解雇する。2.打ち首にする。斬首(ざんしゅ)する。馘(くびき)る。
・首を括る(くびをくくる) 自分が、死ぬ目的で紐や縄などを首に巻いて締める。首吊り自殺をする。 類:●縊死(いし)する
・首を挿げ替える(くびをすげかえる) 上に立つ人、要職にある人を更迭(こうてつ)する。
・首を縦に振る(くびをたてにふる) 承知する。認める。肯定する。
・首を継ぐ(くびをつぐ) 首を切る筈の罪を許す。
・首を突っ込む(くびをつっこむ) 関心、興味をもち、その事に関係する。また、深入りする。例:「政治に首を突っ込む」
・首を繋ぐ(くびをつなぐ) 1.首を切るべきところを許す。2.免職、解雇すべきところを許す。また、免職、解雇を免れる。
・首を長くする(くびをながくする)[=伸ばす] 望み、期待が早く実現して欲しいと思いながら待つ。 類:●待ち焦がれる●鶴首する
・首を捩る(くびをねじる) 首を横に曲げる。承知しかねる意思表示。
・首を延ぶ(くびをのぶ) 1.首を差し伸べる。命を相手の処置に任せる気持ちを表わす動作。 用例:保元−下「頸を延て降参せん」 2.待ち遠しい。=首を長くする
・頸を延べ踵を企つ(くびをのべかかとをつまだつ・きびすを〜)[=踵を挙ぐ] 首を伸ばし、爪先立って待ち望む。酷(ひど)く待ち焦がれる。 類:●鶴首●鶴望 出典:「漢書−ショウ望之伝」「是以天下之士、延頸企踵、争願自効、高明」 故事:漢の霍光(かくこう)は暗殺を恐れ、面会者には厳しい身体検査を義務付けていた。学者のショウ望之(しょうぼうし)は、わざと事件を起こして面会の機会を作り、「大将軍は功徳によって幼主を助け、教化し、広く平和をもたらそうとしておられる。だからこそ天下の優れた人材は、首を伸ばし爪先立って、先を争って己の力を尽くし、大将軍の高い明知を助けようとしているのです」と説いた。
・首を刎ねる(ふびをはねる) 刀で首を切り落とす。斬首する。
・首を捻る(くびをひねる) 首を横に曲げる。1.疑問、不満、不賛成などで考え込む。 類:●首を横に振る 2.感動を確かめる。
・首を振る(くびをふる) 1.(左右に)不賛成や不満の気持ちを表わす。 類:●頭(かぶり)を振る●首を横に振る●首を捻じる 2.(上下に)賛成の気持ちを表わす。頷(うなず)く。 類:●首を縦に振る
・首を回す(くびをまわす) 無理算段をして、なんとか都合を付ける。 類:●遣り繰り算段
・首を横に振る(きびをよこにふる) 承知しない。承服しない。否定する。 類:●首を捻る