−くい(kui)−
・食い齧る(くいかじる) 1.少しずつ齧りながら食う。2.一つのことをやり通さないで、あれこれに少しずつ手を付けて、いずれも途中で止(や)めてしまう。
・食い下がる(くいさがる) 1.食い付いてぶら下がる。2.どこまでも食い付いて離れない。また粘り強く追求する。スポーツや勝負事で、負けそうになりながらも粘り強く戦う。3.相撲で、下手(したて)に相手の前褌(まえみつ)を引き、頭を相手の胸に付け、腰を下げて低く組むこと。
・杭を守る(くいぜをまもる) いつまでも一つのことに固守して、新しい事態に対処しないこと。また、進歩がないこと。 故事:「韓非子−五蠹」 昔、兎が偶然木の切り株に頭をぶつけて死んだのを見た宋の農夫が、以来百姓仕事を辞め、また兎を手に入れようとして木の株の番をして暮らした。 類:●守株
・食い倒す(くいたおす) 1.噛み付いて引き倒す。2.飲み食いをしてその代金を支払わないで、店側に損を与える。3.働かないで財産などをなくしてしまう。 類:●食い潰す
・食い倒れ(くいだおれ) 1.飲食に贅沢(ぜいたく)をして貧困になること。 例:「京の着倒れ、大阪の食い倒れ」 2.働かないで遊び暮らすこと。 類:●徒食
・食い違う(くいちがう) 1.噛み合うべきものごとが巧く合わない。互い違いになる。 用例:太平記−二三「上下の歯くひ違て」 例:「継ぎ目が食い違う」 2.事柄が巧く合致しない。一致すべきものごとが一致しない。 類:●齟齬(そご)する 例:「意見が食い違う」
・食い散らす(くいちらす)・食い散らかす あちらこちらの物に少しずつ箸を付けて食べるという意味から、色々な事に矢鱈に手を付けて、最後までやり通さない。散々利用し尽くす。また、方々の異性に手を出すこと。
・食い繋ぐ(くいつなぐ) 1.通常の食糧が欠乏し、代用のものを食べて生きる。乏しい食糧を加減して食べて命を長らえる。 例:「干し芋を食べて食い繋ぐ」 2.少ない収入で、辛うじて生き延びる。 例:「質屋通いをして食い繋ぐ」
・食い潰す(くいつぶす) 1.噛んで潰す。噛み潰す。2.他人の厄介になって食べる。 類:●寄食する 用例:伎・阿国御前化粧鏡−序幕「おぬしも十六から自前を稼がせ、先づ二三年は食ひつぶし」 3.金銭を食費でなくす。働かないでぶらぶらしていて、財産を使果たす。 例:「親の遺産を食い潰す」 用例:雑俳・柳多留−初「喰つぶすやつに限って歯をみがき」 用例の出典:阿国御前化粧鏡(おくにごぜんけしょうのすがたみ) 歌舞伎。世話物。鶴屋南北。文化6年(1807)。御家騒動を軸に、天竺徳兵衛やら不破・名古屋やら牡丹灯籠やら累やらの世界がないまぜになってて、まるで闇鍋。<じゃわ's じゃんくしょん>
・食い逸れる(くいはぐれる・くいっぱぐれる) 1.食べる機会を逃がす。食べ損なう。2.生計の手段を失う。食いっぱぐれる。
・食い外す(くいはずす) 食事をし損なってしまうという意味から、暮らしていくための手立てを失ってしまったり、機会を失して利益を得損なったりすること。 類:●食い逸れる
・食い物にする(くいものにする) 自分の利益を得るために、他人を悪用する。 例:「国民を食い物にする」