−くも(kumo)−
・雲隠れ(くもがくれ) 1.雲に隠れること。 例:「十五夜の月が雲隠れした」 2.隠れて、見付けられないようにすること。姿を晦(くら)ますこと。 例:「騒ぎに乗じて雲隠れしてしまった」 3.高貴な身分の人の死。
・雲がなければ太陽の有り難さは分からない(くもがなければたいようのありがたさはわからない) 晴れの日の有り難さは、曇りや雨の日があるからこそ分かるものである。人生には不幸なときがあるからこそ、後に来る幸福の有り難さが身に染みるものであるということ。 ★英語の諺If
there were no cloud, we should not enjoy the sun.から。
・雲霧とみなす(くもきりとみなす)[=なる] 死んで火葬され、煙となる。 類:●雲霞(くもかすみ)となる●雲霧に紛(まぎ)る
・雲助(くもすけ) 1.江戸時代の、住所不定の道中人足(にんそく)。宿場(しゅくば)で、無宿の無頼漢を人足として抱えておき、必要に応じて助郷(すけごう)役の代わりに当てたもの。2.一般には、街道筋の無頼の駕籠舁(かごか)きを指して言った。 類:●雲 3.下品な者や、相手を脅して金品を強請(ゆす)り取る者などを罵(ののし)って言う。
・苦もなく(くもなく) 苦労することなく。簡単に。容易(たやす)く。 類:●造作ない 例:「難問を苦もなく解いてしまった」
・雲に梯(くもにかけはし) とても叶えられないような高い望み。特に、恋愛について使うことが多い。
・雲に汁(くもにしる) 雲に雨気を帯びるということで、雨乞(あまご)いをすると、雲に雨気が生ずるところから、望みが叶う前兆が見えること。また、事の成り行きが段々と巧く運ぶこと。
・雲に飛ぶ薬(くもにとぶくすり) それを飲むと雲にまでも飛ぶことができるという仙人の霊薬。 出典:「列仙全伝−二」 出典:列仙全伝(れっせんぜんでん) 明代の王世貞。・・・詳細調査中。
・雲に臥す(くもにふす)[=起き臥す] 雲を夜具とするような奥深く高い山中で生活すること。
・雲の上人(くものうえびと) 宮中に勤仕する人で昇殿を許された者。 類:●殿上人(てんじょうびと)●雲客(うんかく) ★狭義には、清涼殿の殿上(てんじょう)の間(ま)に昇ることを許された五位以上の貴族<国語大辞典(小)>
・雲の裏(こものうら) 雲の裏側。人の目が届かないところや遠く離れたところ。
・雲の返しの風(くものかえしのかぜ)[=嵐] 雨雲を吹き返す風。多くは、西北の風をいう。
・雲の垣(くものかき) 雲が立ち込めて風景を遮(さえぎ)り隠すこと。垣根に見立てて言った言葉。また、美しい垣根のこと。
・雲の梯(くものかけはし) 1.雲が棚引いている様子を梯に見立てて言った言葉。2.深い谷などの高い所に架け渡した橋。3.宮中を雲の上に喩えて、宮中の階段。4.中国の戦国時代に、城を攻める時に用いた長い梯子。 類:●雲梯(うんてい)
・雲の通路(くものかよいじ) 天空の雲の行き通う道。 用例:古今−八七二「あまつかぜ雲のかよひぢ吹きとぢよ」
・雲の如し(くものごとし) 人や物が多く集まることの喩え。
・雲の衣(くものころも・きぬ) 雲を衣に見立てて言った言葉。また、天女などが着ているという衣服。
・蜘蛛の子を散らす(くものこをちらす)
・雲の(くものとざし) 立ち込めた雲がの役目をしていること。雲に覆われた家。 参考:[=鎖](とざし) 門戸を差し固める用具。
・雲の帳(くものとばり) 1.雲を帳に喩えていった言葉。2.「禁中(=天子の御所)」を「雲の上」と言ったところから、禁中の帳。禁中の御帳(みちょう)。
・雲の旗手(くものはたて・はだて) 1.雲の果て。空の遥かな果て。 用例:古今−四八四「ゆふぐれは雲のはたてに物ぞ思ふあまつそらなる人をこふとて」 2.「はたて」の「はた」を旗と解して、雲のたなびく様子を旗が靡(なび)くのに見立てて言った言葉。旗のように風に靡いている雲。 ★「旗手」は当て字<国語大辞典(小)>
・雲の黛(くものまゆずみ) 雲が棚引いているように美しく引いた眉(まゆ)。
・雲の峰(くものみね) 夏、山の峰のように聳(そび)え立っている積雲。入道雲。
・雲の都(くものみやこ) 1.雲の中にあるという想像上の都。2.神仙が住むという都、蓬莱山のこと。
・雲は竜に従い、風は虎に従う(くもはりゅうにしたがい、かぜはとらにしたがう) 竜は雲を従えることによって勢いを増し、虎は風を従えることによって速さと威を増す。ものごとはそれぞれ相似たものが一緒になったり、一緒になろうとして、巧くいくものだ。 出典:「易経−幹卦」「同声相応、同気相求〈略〉雲従竜風従虎〈略〉各従其類也」
・雲無心にして岫を出ず(くもむしんにしてしゅうをいず) 「岫」は山の洞穴。自然に従い、何物にも束縛されず、悠々と心静かに生活すること。 出典:陶淵明「帰去来辞」「雲無心以出岫、鳥倦飛而知還」
・雲行きが怪しい(くもゆきがあやしい) 1.天候が崩れそうである。2.形勢や情勢が穏やかでない。荒れそうだ。
・雲を上げる 雲が空に広がる。雨雲(あまぐも)がやって来る。
・雲を当て(くもをあて)[=当所(あてど)・印(しるし)] 到底当てになりようのないことを、当てにすること。
・雲を霞(くもをかすみ) 一目散に走って姿を隠すこと。 類:●雲霞
・雲を焦がす(くもをこがす) 物が勢いよく燃えて、炎が盛んに立ち昇っている様子。
・雲を凌ぐ(くもをしのぐ) 雲を眼の下に見るほど高く聳(そび)えている。
・雲を掴む(くもをつかむ) 漠然としていて捉(とら)えどころがない様子。 例:「雲を掴むような話」
・雲を衝く(くもをつく) 非情に背丈が高い。 用例:浮・世間胸算用−三「雲をつくやうな食(めし)たきが」
・雲を遏む(くもをとどむ) 流れる雲を止めるほど、音曲や歌う声が優れている。
・雲を踏む(くもをふむ) 1.雲を下に見るところ、つまり高山を歩く。2.宮中を「雲の上」というところから、宮中で生活をすること。
・愚問愚答(ぐもんぐとう) 愚かな問い掛けと、それに輪を掛けたような馬鹿げた答えという意味から、何の役にも立たない問答のこと。