−くん(kun)−
・蒿凄愴(くんこうせいそう) 《四熟》 「蒿」は香気が立ち上る様子のこと。気が立ち上(のぼ)って、相手の精神を恐れ戦(おのの)かす。 ★鬼神の気の形容とする<国語大辞典(小)> 出典:「礼記−祭義」
・君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず)
・群して党せず(ぐんしてとうせず) 君子は上手に衆人と調和し、孤立することはない。しかし、阿(おもね)って、無闇に党や派閥(はばつ)を成すようなことはしないものである。 類:●和して同ぜず●君子は周して比せず 出典:「論語−衛霊公」「君子矜而不争、群而不党」 ★ここでの「党」は、仲間同士が互いの悪や不正を隠し合うものの意味。
・君子に三戒あり(くんしにさんかいあり) 立派な人であろうとするなら、若いときは色欲、壮年時代は闘争欲、老いてからは利欲を戒めなければならない。 出典:「論語−季氏」「孔子曰、君子有三戒。少之時、血気未定、戒之在色。及其壮也、血気方剛、戒之在闘。及其老也、血気既衰、戒之在得」
・君子の過ちは日月の食の如し(くんしのあやまちはじつげつのしょくのごとし) 君子は、仮令(たとえ)過ちを犯すことがあっても、日食や月食がすぐに終わって明るさを取り戻すように、すぐに本来の徳性に返るものである。 出典:「論語−子張」
・君子の九思(くんしのきゅうし) 君子である者がいつも心に掛けていなければならない九つのこと。視は明を、聴は聡(そう)を、色は温を、貌(ぼう)は恭を、言は忠を、事は敬を、疑は問を、忿(ふん)は難を思い、得るを見ては義を思うこと。 ★「九思(くし)の一言」とも<国語大辞典(小)> 用例:わらんべ草−四「よき事も、悪しき事をもしあんせよ、古きことばも、くしの一ごん」 出典:「論語−季氏」 用例の出典:わらんべ草(わらんべぐさ) 狂言昔語抄。昔人云。大蔵虎明著。慶安4年(1651)?万治3年(1660)? 大蔵流宗家が、狂言について論じたもの。
・君子の三畏(くんしのさんい) 君子がそれに対して敬虔(けいけん)であるとされる三つのもの。即ち、天命と大人と聖人の言のこと。 出典:「論語−季氏」
・君子の三楽(くんしのさんらく) 君子が持っているとされる三つの大きな楽しみ。父母が健在で兄弟も無事であること、天や人に対して恥じるようなうしろ暗さがないこと、天下の英才を教育することの三つを指す。 出典:「孟子−尽心・上」
・君子の徳は風(くんしのとくはかぜ) 風が草を靡(なび)かせるように、君子はその徳によって人々を靡かせ、教化するということ。 出典:「論語−顔淵」
・君子の交わりは淡きこと水の如し(くんしのまじわりはあわきことみずのごとし)・交(こう)は〜 君子は人と交わるとき、実に淡泊であり、しかもその友情は永久に変わることはない。 出典:「荘子−山木」「君子之交淡若水、小人之交甘若礼、君子淡以親、小人甘以絶」
・君子は憂えず懼れず(くんしはうれえずおそれず) 君子は、自分を省(かえり)みて疚(やま)しいところがないのだから、いたずらに不安を覚えることもなければ、びくびくと恐れることもない。 出典:「論語−顔淵」「司馬牛問君子。子曰、君子不憂不懼、《略》内省不疚、夫何憂何懼」 君子とはどのような人を言うのかと問われた孔子が、弟子の司馬牛(しばぎゅう)に答えた言葉。
・君子は器ならず(くんしはきならず・うつわものならず) 器物は一つの用途だけに有効なものであるが、君子は一技や一芸に偏(かたよ)らないものである。 出典:「論語−為政」
・君子は義に喩り小人は利に喩る(くんしはぎにさとりしょうじんはりにさとる) 徳の高い人は全てのものごとを道義に適(かな)っているかどうかという点から考えるが、品性が卑(いや)しく度量の狭い者は、全てのものごとを損得の面からしか考えないということ。 出典:「論語−里仁」「子曰、君子喩於義、小人喩於利」
・君子は言に訥にして行ないに敏ならんと欲す(くんしはげんにとつにしておこないにびんならんとほっす) 立派な人物は、言葉を少なめにして、行動は機敏であるように心掛けるものである。口先よりも実践を重んじるべきだということ。 類:●不言実行 出典:「論語−里仁」「子曰、君子欲訥於言而敏於行」
・君子は三端を避く(くんしはさんたんをさく) 「三端」は、筆端・鋒端(ほうたん)・舌端のこと。君子は文章、武器、弁論などで、他人と争うことはしない。 類:●君子は争うところなし 出典:「韓詩外伝−七」
・君子は周して比せず小人は比して周せず(くんしはしゅうしてひせずしょうじんはひしてしゅうせず) 「周」は遍(あまね)く・普遍、「比」はべたべたくっつくの意味。君子は公平に広く人と親しむが、一方、小人は偏(かたよ)った小さな党派を作る。 出典:「論語−為政」
・君子は上達し、小人は下達す(くんしはじょうたつし、しょうじんはかたつす) 君子は優れた教養や道徳を身に付けようと努力し、一方、小人はつまらないことを身に付けようとする。 出典:「論語−憲問」
・君子はその罪を悪んでその人を悪まず(くんしはそのつみをにくんでそのひとをにくまず) 君子は人が犯した罪悪は憎むけれども、その人自身を憎むようなことはしない。
・君子は多能を恥ず(くんしはたのうをはず) 君子は、一つの方面に精通しているのが良く、色々な方面に手を出すことをしない。 出典:「論語−子罕」
・君子は厨房を遠ざく(くんしはちゅうぼうをとおざく) 徳の高い者は、牛馬や鳥が屠殺(とさつ)される場所である厨房には近付くべきではない。高徳の人が食事を安寧に食べられるようにと配慮した言葉。 出典:「孟子−梁恵王・上」「君子遠庖厨也」 ★「男子厨房に入らず」は、本来この言葉から派生したもので、男尊女卑を言ったものではない、という。
・君子は人の美を成す(くんしはひとのびをなす) 君子は人の美点や長所を見付け出すと、それを助長して、一層立派にするように仕向ける。 出典:「論語−顔淵」
・君子は独りを慎む(くんしはひとりをつつしむ) 君子は人が見ていないところでもその行ないを慎み、決して人間として恥ずかしいようなことはしない。 類:●独りを慎む●闇室に欺かず●君子は屋漏(おくろう)に愧(は)じず●独立影に慚(は)じず 出典:「大学−伝六章」
・君子は豹変す(くんしはひょうへんす)
・君子は交わり絶ゆとも悪声を出さず(くんしはまじわりたゆともあくせいをいださず) 君子は交わりを絶った相手でも、その人の悪口を言ったりしない。 出典:「史記−楽毅列伝」「臣聞、古之君子、交絶不出悪声、忠臣去国、潔其名」
・君子は和して同ぜず小人は同じて和せず(くんしはわしてどうぜずしょうじんはどうじてわせず) 優(すぐ)れた人物は人と仲良く付き合うが自主性を失うことなく、人とむやみに同調しない。一方、つまらない者はすぐに他人の意見に調子を合わせるくせに、利害が合わなくなったりすると忽(たちま)ち仲が悪くなるということ。理(り)なく妥協(だきょう)や雷同(らいどう)をすべきではないということ。 出典:「論語−子路」「子曰、君子和而不同、小人同而不和」 参考:付和雷同
・葷酒山門に入るを許さず(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)
・君臣水魚(くんしんすいぎょ) 《四熟》 主君と臣下の間の親密な関係を水と魚との関係に喩えた言葉。 類:●水魚の交わり 出典:「蜀志(三国志)−諸葛亮伝」
・群臣を用ゆるは薪を積むが如し(ぐんしんをもちゆるはたきぎをつむがごとし) 薪を積み上げるように、新来者を優遇して上に置くような人事をしていることの喩え。人の用い方を誤っていることの喩え。 出典:「史記−汲黯・鄭当時列伝」「陛下用羣臣、如積薪耳、後来者居上」 ★漢の武帝の人事採用について、汲黯(きゅうあん)が諌(いさ)めた言葉。
・組んず解れつ(くんずほぐれつ) 組み合ったり離れたりと言う意味で、激しく動き回る様子。 ★「くみつほぐれつ」の転<大辞林(三)>
・君側を清む(くんそくをきよむ) 君主の側(そば)に仕える悪臣を追い払う。
・〜下り(くんだり) 接尾語、地名に付けて用いる。「くだり」からの変化。中心地から遠く隔った場所。 用例:伎・心謎解色糸−序幕「帳場からすぐに深川くんだり」 用例の出典:心謎解色糸(こころのなぞとけたいろいと) 歌舞伎脚本。世話物。5幕。四世鶴屋南北。文化7年(1810)江戸市村座初演。浄瑠璃「糸桜本町育」の書き替えで、本町糸屋の姉娘小糸の許婚本庄綱五郎が、妹娘お房と結ばれる筋と、鳶の者お祭左七が芸者お糸を殺す筋とを組み合わせた作。
・軍配を振る(ぐんばいをふる) 軍配の団扇(うちわ)を振るという意味から、指揮をする、指図するということ。 類:●采配(さいはい)を振る
・群盲象を評す(ぐんもうぞうをひょうす)
・軍門に降る(ぐんもんにくだる) 戦争に負けて降服する。降参する。また、競争に負けて相手に屈伏する。 類:●兜を脱ぐ●シャッポを脱ぐ 用例:太平記−四「勾践〈略〉自ら呉の下臣と称して呉の軍門に降り給ふ」
・軍門に君命なく、戦場に兄の礼なし(ぐんもんにくんめいなく、せんじょうにけいのれいなし) 戦場では主君の命令より将軍の命令に従わなくてはならないし、また、目上の者に対する礼儀に拘(こだわ)る必要もないということ。 類:●将、軍に在りては君命をも受けざるところあり
・群雄割拠(ぐんゆうかっきょ) 《四熟》 たくさんの英雄が、各地にそれぞれ勢力を奮(ふる)って対立する状態。
・群竜無首(ぐんりゅうむしゅ) 《四熟》 1.竜が群れて現れるように勢いが盛ん過ぎるときは、首を隠すように自重すれば吉である。 出典:「易経−乾・用九
」「見群竜旡首」 2.転じて、多くの竜がいても、頭目の竜がいない状態。人材は並び居るが、これを統括する者がいないため、十分に機能しないことの喩え。
・群を成す(ぐんをなす) 人や動物が非常にたくさん集まっている様子。
・群を抜く(ぐんをぬく) 他の多くの物より数段優れている。特に抜きん出ている。