−くた(kuta)−
・下さるものは夏も小袖(くださるものはなつもこそで)[=なら〜] 「小袖」は絹の綿入れのこと。人が下さるものは、仮令(たとえ)夏の小袖のような今不要なものでも、辞退しないで貰うものだということ。貰えるものは何でも貰った方が良いということ。また、欲が深い者を指しても言う。 類:●戴くものは夏もお小袖
・管の穴から天を覗く(くだのあなからてんをのぞく) 管の細い穴から広大な空を覗こうとするように、自分の狭い知識を基準にして、広大なことについて勝手な推測を下すこと。 類:●管を以て天を窺う
・くたばり損ない(くたばりぞこない) 死に損(そこ)なうこと。また、その人。老人などを罵(ののし)っていうのに用いる。 類:●死に損ない●くたばり外れ●墓木已に拱す
・草臥れ儲け(くたびれもうけ) いくら一所懸命に行なっても草臥れるばかりで、何の効果もないこと。 例:「骨折り損の草臥れ儲け」
・草臥れる(くたびれる・くたぶれる) 1.体力や思考が消耗して疲れる。疲労する。 例:「企画会議は草臥れる」 2.物などが長く使われたりしたために古びてみすぼらしくなる。人が年老いたことについても言う。 例:「草臥れた靴」 3.特に、動詞の連用形に接続して、その行為が、疲れて嫌になる。「待ち草臥れる」「立ち草臥れる」など。 ★「くた」は「くたつ(降)」「くたばる」の「くた」と同根。「草臥」は当て字<国語大辞典(小)>
・下らない(くだらない)・下らぬ・下らん 1.訳が分からない。意味が分からない。 用例:伎・独道中五十三駅−序幕「お株で、下らなくなってゐるぜ」 ★「くだる」=つかえないですらすらと進む。また、意味などがよくわかる<国語大辞典(小)>の、否定形。 ★「読みが下らぬ」あるいは「理屈が下らぬ」の略か<広辞苑第四版(岩)> 2.内容に乏しくて、取り上げるほどの価値がない。取るに足りない。 類:●埒もない 例:「下らないことでくよくよする」 3.馬鹿らしい。つまらない。二流(三流)である。 例:「下らない冗談ばかり言う」 類:●埒もない ★2.3.の意味については、江戸時代、上方(京都・大坂)から江戸へ下ってきたものが「上物(じょうもの)」=「下り物」と呼ばれており、上物でないものを「下らない物」と呼んだことによるという。 4.ある基準の数量より下ではない。それ以上であることの強調表現。 類:●下回らな い 例:「野次馬の数は二千を下らないだろう」 用例の出典:独道中五十三駅(ひとりたびごじゅうさんつぎ) 歌舞伎。4代目鶴屋南北。文政10年(1827)。晩年の作。南北の怪奇ものの集大成。通称「岡崎の猫」。
・下り坂(くだりざか) 1.下り道になる坂。 反:■上り坂 2.比喩的に、ものごとが最盛期・絶頂期を過ぎて衰えていくこと。また、衰運に向かうこと。 反:■上り坂 用例:談・根無草−後「我身の上の下り坂」 例:「30歳を過ぎたら下り坂だ」 3.天気が崩れること。 例:「天候は夜半から下り坂になる」
・管を以て天を窺う(くだをもっててんをうかがう)[=大空をはかる] 管の細い穴から広大な空を覗こうとするように、自分の狭い知識を基準にして、広大なことについて勝手な推測を下すこと。 類:●管の穴から天を覗く●針の穴から天を覗く●井の中の蛙
・くだを巻く(くだをまく) 取り止めもないことや不平をくどくどと言う。主に、泥酔して喚(わめ)く状態などを指す。 ★「くだ」は「くだくだしい」の略で、繁雑で煩(わずら)わしいこと。 ★「くだ」から管(=糸繰り車のつむに差して、糸を巻きつける軸)を連想して「巻く」と言ったもの<国語大辞典(小)>
・件の如し(くだんのごとし) 前に述べた通りである。前記記載の通りである。書状や証文の最後に書きしるす語句。用例:枕−133「例に依て進上如件」 用例:貴嶺問答「大概依貴命言上如件」 ★多く「よって…くだんのごとし」の形で用いる。「如件」と書くことが多い<国語大辞典(小)> 用例の出典:貴嶺問答(きれいもんどう) 往来物。鎌倉前期。中山忠親。群書類従の9部文筆・消息部に属す。