−くち(は)(kuti6)−
・口は口、心は心(くちはくち、こころはこころ) 口に出して言うことと、心の中で思っていることとが一致しない。裏腹である。
・嘴が黄色い(くちばしがきいろい)[=青い] 鳥の雛(ひな)は嘴が黄色い(青い)ところから、年が若くて経験が浅い。 類:●乳臭い●口脇(くちわき)黄ばむ
・口走る(くちばしる) 1.正気を失って、喋(しゃべ)る。 用例:義経記−七「此人々祈り給ひける景気心中の恐ろしさにや、口走る」 2.思わず口に出す。調子や弾みで、言ってはならないことや、心にもないことを口にする。 類:●口が滑る●失言する 例:「酒の勢いで余計なことを口走る」
・口は滑ることがあり、目は嘘を吐くことがあるが、鼻は知っている(くちはすべることがあり、めはうそをつくことがあるが、はなはしっている) 嘘や軽々しいことは言うものではないということ。 ★英語のThe
lips can slip, the eye can lie, but the nose knows.から。lipとslip、eyeとlie、noseとknowsの洒落(しゃれ)。
・嘴を容れる(くちばしをいれる)[=挟む] 他人のすることに対して、あれこれ言って口出しをする。 類:●口を挟む●口を出す●口出しする●容喙(ようかい)する●差し出口をする
・嘴を鳴らす(くちばしをならす) 1.喋り立てる。2.歯軋(ぎし)りをして悔しがる。 類:●切歯
・口八丁(くちはっちょう) 「八丁」は一度に八つの道具を使うことができるほど、ものごとに巧みなこと。巧者のこと。喋ることが達者なこと。また、その人。 → 口も八丁手も八丁
・口幅ったい(くちはばったい) 身のほども考えないで大きなことを言うようである。言うことが、偉そうに感じられる。 用例:伎・八幡祭小望月賑−四幕「よく口幅ったくなく情人(いろ)だなどと」 例:「口幅ったいことを言うようですが」 用例の出典:八幡祭小望月賑(はちまんまつりよみやのにぎわい) 歌舞伎脚本。世話物。4幕。河竹黙阿弥。万延元年(1860)江戸市村座初演。文化4年(1807)の深川八幡祭の雑踏で永代橋が落ちた事件と、深川芸者が刺殺された事件とを合わせて脚色。
・口幅広し(くちはばひろし) 遠慮ない思い切った物言いをする。 類:●大口をたたく●大言壮語●口幅ったい
・口は禍の門(くちはわざわいのかど・もん)
・口火を切る(くちびをきる)[=点(つ)ける] 1.ものごとをし始める。切っ掛けを作る。 例:「反対運動の口火を切った」 2.話を始める。 例:「座談会で口火を切る」
・唇亡びて歯寒し(くちびるほろびてはさむし)
・唇を反す(くちびるをかえす)[=翻(ひるがえ)す] 不服である。嘲(あざけ)り謗(そし)る。
・唇を噛む(くちびるをかむ) 悔しがる様。また、憤りを堪(こら)える。
・唇を尖らす(くちびるをとがらす) 角立ててものを言う。不平、不満を表わす。 類:●口を尖らす
・口減らし(くちべらし) 「口」は物を食べる人数のこと。人数を減らすこと。特に、生活費を助けるために、家族の中の何人かを他に奉公に出したり、養子にやったりする。
・口鉾に掛かる(くちぼこにかかる)[=掛けられる・乗る] 巧みな言葉に誤魔化される。
・口ほどにもない(くちほどにもない)[=もない] 実際の行動能力が口で言う程のことはない。