−くつ(kutu)−
・履新しいといえども冠となさず(くつあたらしいといえどもかんむりとなさず)[=首に加えず] 上下貴賤の身分階級を守り、その分を越えてはならないということの喩え。 類:●冠(かんむり)古けれど沓(くつ)に履かず
・屈指(くっし) 1.指を曲げること。指を折って数えること。2.多数の中で、特に指を折って数え上げる価値があるほど優れていること。 類:●指折り 例:「県内屈指の資産家」
・ぐっすり 擬態語。 1.深く寝こんでいる様子。熟睡している様子。 例:「夢も見ないでぐっすりと眠った」 ★「good sleep」からの転訛という説もあるが、これは疑わしい。鎖国中である安政3年(1856)の『四十七石忠矢計』に「十分に」の意味で既に使われていたことによる。寛政2年(1790)『即席耳学問』の用法「残らず全部」からの転か? 2.十分であること。 用例:伎・四十七石忠矢計−四幕「又ぐっすり呑めるぜ」 3.すっかり濡れた様子。 類:●ぐっしょり 用例:伎・夢結蝶鳥追−三幕返し「二三町でぐっすり濡れた」 4.残らずする様子。 類:●すっかり●そっくりそのまま 用例:黄・即席耳学問「ぐっすり息子に譲り」 5.物を突き刺す音、また、その様子。 類:●ぐっさり 用例:伎・佯雑石尊贐−中幕「えてをぐっすりとやればナ」 用例の出典@:四十七石忠矢計(しじゅうしちこくちゅうやどけい) 歌舞伎。明治4年(1871)。河竹黙阿弥。忠臣蔵もの。赤穂浪士討ち入り前日の明け六つから翌朝までの二十四時間を十二の事件に折り込んだ異色作。通称「十二時忠臣蔵」。 用例の出典A:即席耳学問(そくせきみみがくもん) 黄表紙本。市場通笑。北尾重政画。寛政2年(1790)。心学を基にした教訓的な本。商業を肯定し、勤勉、正直、倹約の精神を勧めた。 用例の出典B:佯雑石尊贐(とりまぜてしゃくそんみやげ) 歌舞伎。鶴屋南北。文正6年(1823)7月初演。・・・詳細調査中。
・食って掛かる(くってかかる) 食い付くような勢いで相手に挑み掛かる。激しい口調や態度で相手に立ち向かう。 類:●噛み付く
・靴脱ぎ石(くつぬぎいし) 玄関や縁側などの上がり口に、履き物を脱いでおくため、また、昇降し易いように置いた石。 類:●靴脱ぎ
・沓の子を打つ(くつのこをうつ) 「沓の子」は、靴の底に打ち並べた釘のこと。大勢の人やたくさんの物が、隙間なく立ち並ぶ様子の喩え。 用例:太平記−六「沓の子を打ちたるが如くに道五六里が程支へたり」 ★一説に、「くつのこ」は牛馬の口にかぶせる「口の籠(こ)」で、そのように身動きもできないほどにたてこんでいることともいう<国語大辞典(小)>
・苦爪楽髪(くづめらくがみ) 苦労がある時は爪の伸びが早く、楽をしている時は髪の伸びが早いということ。 類:●楽髪苦爪
・轡を並べる(くつわをならべる)[=揃(そろ)える] 轡を嵌めた馬が首を並べて一緒に進むということで、二人以上の者が一緒にものごとを行なうこと。
・轡を嵌める(くつわをはめる) 馬の口に轡を嵌める。転じて、金品を贈って、口止めする。
・履を取る(くつをとる) よく世話をし面倒を見る。後見する。
・履を隔てて痒きを掻く(くつをへだててかゆきをかく)[=蹠(あなうら)を掻く] ものごとが思うようにならず、もどかしがる。 類:●隔靴掻痒(かっかそうよう)