−まい(mai)−
・舞い上がる(まいあがる) 1.鳥などが、舞いながら高く上がる。翻(ひるがえ)りながら上がる。 用例:後京極殿鷹三百首−雑「舞あかる鷹をいかがとどめん」 2.風の力で物が空中に漂(ただよ)い上がる。 例:「砂塵が舞い上がる」 3.有頂天(うちょうてん)になる。調子に乗って好い気になる。 用例:伎・宿無団七時雨傘−二「大治が頼むといふ台詞にまひ上って」 用例の出典@:後京極殿鷹三百首(ごきょうごくどのたかさんびゃくしゅ) 和歌集。1200年ごろ。後京極殿=藤原(九条)良経。鷹を題にして集められたもの。「群書類従」の19・「管弦部・蹴鞠部・鷹部」に属す。・・・調査中。 用例の出典A:宿無団七時雨傘(やどなしだんしちしぐれのからかさ) 歌舞伎外題。明和5年(1768)。並木正三。湊川家旧臣の団七茂兵衛は、紛失した二字吉光の九寸五分を探している。茂兵衛に味方する治助が二字吉光を入手するが、折紙は高市数右衛門が所持しており、この二品が揃わねば帰参は叶わない。茂兵衛の愛人お富が、数右衛門に靡(なび)く振りをして折紙を騙(だま)し取るが、茂兵衛はお富の本心を知らず、怒って大勢を斬り殺す。
・枚挙に遑あらず(まいきょにいとまあらず) 該当するものごとがあまりに沢山あるので、一々数え切れない。
・舞い込む(まいこむ) 1.雪や花弁(はなびら)などが、空中を舞いながら、室内に入ってくる。 例:「窓から落ち葉が舞い込む」 2.どこからともなく入ってくる。思い掛けないものが届く。 用例:滑・浮世風呂−三「角兵衛獅子が舞込(マヒコン)だといふだらう」 例:「嬉しい報せが舞い込む」
・参る(まいる) 相手に優位を占められる、屈することなどの意味を表わす。 1.降参(こうさん)する。負ける。 用例:虎寛本狂言・庖丁聟「ヤアヤアヤア、ヤア参たの。勝たぞ勝たぞ」 例:「どうだ、参ったか」 2.閉口(へいこう)する。 例:「クーラーが壊れたのには参ったよ」 3.弱る。へたばる。 例:「精神的に参っている」 4.死ぬ。特に卑(いや)しめて言う場合に使う。 類:●くたばる 例:「とうとう参りやがったか」 5.心を奪われる。多く、異性に夢中になることに言う。愛に溺れる。 類:●いかれる 例:「あの娘にすっかり参っている」 ★「行く・来る」の謙譲語「参る」の、敬語性が失せたもの。 ★「参る」は、上一段活用の「まいる(参)」に「いる(入)」の付いた「まいいる」の変化したもので、貴人のいる屋内にはいって行くのが原義か<国語大辞典(小)>