−まか(maka)−
・間が好い(まがいい・よい)[=良い] 都合が良い。折が良い。運が良い。
・魔が差す(まがさす) 心の中に悪魔が入ったように、ふと邪念を起こす。思いも寄らない出来心を起こす。
・まかしょ 1.寒参りの代参をすると称して江戸市中を巡り歩いた願人(がんにん)坊主の一種。 類:●御行(おんぎょう) ★ 江戸時代、宝暦頃から寛政年代まで、寒参りの代行をすると称して江戸の町を巡り歩いた物貰い。頭を白布で包み、腹に荒縄を巻き、一枚の白衣を身につけて帯をせず、項(うなじ)に小さな塗箱を掛け、鈴を振って勧進した。子どもが集まっている所で天神の像を印刷した小紙片をくばるので、子どもたちが「天神様くだせえ、まかしょまかしょ」と追いかけたところから、その通称となったという。銭を貰うと、「おん行し奉る云々」と唱えるところから「おん行」とも。また、大坂の金毘羅行人と同様の扮装をして、三色の括り猿を負い銭を乞うものともいう<国語大辞典(小)> 2.歌舞伎所作事「寒行雪姿見」の通称。 参考:寒行雪姿見(かんぎょうゆきのすがたみ) 歌舞伎所作事。長唄。二世桜田治助作詞、二世杵屋佐吉作曲。文政3年(1820)江戸市村座初演。三世坂東三津五郎の七変化舞踊「月雪花名残文台(つきゆきはななごりのぶんだい)」の雪の部。「まかしょまかしょ」と叫びながら寒参りする修行者の姿を舞踊化したもの。通称「まかしょ」。
・間がな隙がな(まがなすきがな) 不特定の「間」や「隙」を漠然と指し示すもので、暇さえあればいつも。引っ切り無しに。 用例:浄・女殺油地獄−上「そちへは与兵衛めが、間がなすきがな入り浸って居る」 ★「がな」はもと助詞<国語大辞典(小)>
・間が抜ける(まがぬける) 1.合奏や合唱で、拍子が抜ける。調子が外(はず)れる。2.することに抜かりがある。大事な点が落ちる。ぼんやりして愚かに見える。 類:●間抜け
・蒔かぬ種は生えぬ(まかぬたねははえぬ)
・間が伸びる(まがのびる) 間が広がり過ぎているという意味で、締まりがないこと。だらしない様子。
・摩訶不思議(まかふしぎ) 1.仏教用語。人知を超えていて、この上もなく素晴らしいものごと。2.とても不思議であること。 例:「日本の政界は摩訶不思議な世界だ」 ★「摩訶」は、サンスクリット語で「大」、「多」、「勝」、「優」、「超」などの意味。
・間が持てない(まがもてない) 1.空き時間をどう扱って良いか分からない。することがなくて、時間の対処に困ること。2.話し難い相手のせいで、話題がなくなり、気拙い間ができること。また、会話が途切れて、時間を持て余している状態のこと。
・曲がらねば世が渡られぬ(まがらねばよがわたられぬ) 生真面目(きまじめ)に筋を通すだけでは、世の中は渡れない。時には融通(ゆうずう)を利かせて、正しくないと思っても相手に合わせることも必要であるということ。 類:●人と屏風は直ぐには立たず●商人と屏風は曲がらねば世に立たず
・罷り成らぬ(まかりならぬ)[=ん] 「成らぬ」を強めて、重々しく言う言葉。 1.決してしてはならない。決して許さない。 用例:ロドリゲス日本大文典「ジキニモウシアグルコトマカリナラズ」 2.できない。 用例:浄・出世景清−一「是程迄雑言せられ、堪忍罷ならず」 用例の出典@:ロドリゲス日本大文典(ろどりげすにほんだいぶんてん) ジョアン・ロドリゲスによる日本語の文法書。慶長13年(1608)刊。・・・詳細調査中。 人物:ジョアン・ロドリゲス ポルトガルのイエズス会宣教師。1561〜1634。天正5年(1577)頃来日し、慶長18年(1613)にマカオへ渡った。日本語に巧みで、慶長9年(1604)〜13年(1608)「日本大文典」を長崎で、元和6年(1620)「日本小文典」をマカオで刊行。他に「日本教会史」など。 用例の出典A:出世景清(しゅっせがげきよ) 浄瑠璃。時代物。5段。近松門左衛門。貞享3年(1686)大坂竹本座初演。幸若舞の「景清」や謡曲「景清」「大仏供養」などによって脚色。東大寺の大仏殿再興の工事場に入り込んだ景清は、頼朝をねらったが失敗、妾阿古屋の兄伊場の十蔵の訴えで捕らわれたが、牢破りをして十蔵を討ち、頼朝の恩情に自ら両眼をえぐり日向国へ下る筋。近松が初世竹本義太夫のために執筆した最初の作品。
・曲がり形にも(まがりなりにも) 不十分ではあるがどうにかこうにか。不完全ながらなんとか。 例:「曲がりなりにも大学を卒業した」
・曲がりの水(まがりのみず) 庭園や山麓などを、折れ曲がりながら流れてくる小川のこと。 ★「曲水(きょくすい)」の訓読み<国語大辞典(小)>
・罷り間違う(まかりまちがう) 1.万一間違うと。誤ると。間違えることを強調するときに使う。 類:●うっかりすると 2.「罷り間違っても」という形で、どんなことがあっても〜するな。どんなに間違いがあっても〜するな。 例:「罷り間違ってもあいつには金を貸すな」
・曲がれば則ち全し(まがればすなわちまったし) 形の悪い木は、材木用に伐採(ばっさい)されずに済み、生き長らえるということ。人も聡明さが目立ち過ぎると、他人にばかり使われて、自分の生きたいように生きられないものだということ。 出典:「老子−22章」「曲則全、枉則直、窪則盈、敝則新、少則得、多則惑。是以聖人、抱一為天下式」 ★本来の「曲則全」は、「細かい部分があるから全体が出来上がっている」と解釈すべきか。そうすると、この故事成語は、間違ったものとなる。
・間が悪い(まがわるい) 1.決まりが悪い。何となく恥ずかしい。ばつが悪い。手持ち無沙汰である。2.運が悪い。3.巡り合わせ・時期が悪い。折りが悪い。