−まく(maku)−
・幕が開く(まくがあく)[=上がる] 1.幕が開いて、芝居などが始まる。2.転じて、ものごとが始まる。 類:●蓋が開く 反:■幕が閉じる
・幕が下りる(まくがおりる) 1.芝居が終わる。2.転じて、ものごとが終わる。 類:●幕になる
・幕が切れる(まくがきれる) 芝居で、幕を下ろすと一場面が終わりになるところから、転じて、一つの事件や事態などがそこで一応打ち切りになること。一区切り付くこと。
・捲し立てる(まくしたてる) 1.息も吐(つ)かせず、激しく言い立てる。一方的に喋る。立て続けに述べ立てる。 類:●捲し掛ける 例:「罵詈雑言を捲し立てる」 2.激しく追い立てる。 類:●煽(あお)り立てる
・幕になる(まくになる) 1.芝居で、演技が終わって閉幕になること。2.転じて、ものごとが一段落して、終わりになること。 類:●幕が下りる
・枕浮く(まくらうく) 寝ながら、酷(ひど)く泣いてたくさんの涙を流すことの喩え。
・枕が上がらない(まくらがあがらない) 病気が治らず、寝床から起き上がることができない。
・枕片去る(まくらかたさる) 枕を床の片側に寄せて寝る。また、枕の片方を空けて寝る。寂しく独り寝をすること。 ★上代、夫または愛人が通って来るのを待っている様子をいう<国語大辞典(小)>
・枕定む(まくらさだむ) 1.寝る時、頭にする方向を定める。用例:古今−五一六「夜ひ夜ひに枕さだめん方もなしいかにねし夜か夢にみえけん」 ★その方向により恋人を夢みるという俗信があった<国語大辞典(小)> 2.寝場所をきめて落ち着いて寝る。ゆっくり寝る。3.相手を定めてともに寝る。特に遊里で、寝る相方を定める。
・枕と枕く(まくらとまく) 「枕く」は、枕にすること。枕にする。寝る。 類:●枕枕く 用例:古事記−中「道のしりこはだをとめを雷(かみ)のごと聞こえしかどもあひ枕まく」
・枕を重ねる(まくらをかさねる) 男女が情交を重ねる。
・枕を傾ける(まくらをかたむける) 枕を寝る形に整える。寝る。
・枕を交わす(まくらをかわす) 男女が同衾する。情交する。 用例:玉葉−恋二「とほ妻と枕を交わすしてねたる夜は」
・枕を砕く(まくらをくだく)[=割る] 色々思案する。苦心する。 ★中国の故事「邯鄲(かんたん)の枕」と「肝胆(かんたん)を砕く」の音が通じるところから掛けてしゃれた表現<国語大辞典(小)>
・枕を探す(まくらをさがす) 人が寝ているところに忍び込んで、枕の下などに隠してある所持金を盗むこと。 類:●枕探しをする
・枕を欹つ(まくらをそばだつ) 枕から頭を上げる。枕の一方を高くして頭を傾ける。 用例:白居易の詩「遺愛寺鐘枕聴、香炉峰雪撥簾看」
・枕を高くする(まくらをたかくする) 不安なく、安心して寝る。安眠する。転じて、安心する。 類:●高枕無憂(こうちんむゆう) 例:「枕を高くして寝る」 出典:「史記−呂后本紀」・「史記−張儀伝」「無楚韓之患、則大王高枕而臥、国必無憂矣(楚韓の患ひ無くば、則ち大王枕を高くして臥し、国必ず憂ひ無からん)」
・枕を並べる(まくらをならべる) 1.男女が同衾する。2.同じ場所に並んで寝る。3.多くの人が、揃って同じ事を行なう。討死にや切腹など、多くの人が一緒に死に臨む。 例:「枕を並べて討死にする」
・枕を濡らす(まくらをぬらす) 涙で枕を濡らす。寝ながらもなお涙を流して泣く。夜、人知れず泣く。
・枕を振る(まくらをふる) 1.落語で、本題に入る前に短い話をする。また、幕が明いて芝居が始まる。2.転じて、ものごとを華々しく始める。
・枕を結ぶ(まくらをむすぶ) 枕にするために草を束ねて結ぶ。野宿や旅寝をすることの喩え。 用例:新古今−羇旅「いはしろの岡の萱根(かやね)に枕むすばむ」
・枕を割る(まくらをわる) 夜も寝ずに苦しむ。色々と心を砕き、非常に苦心するような状態。 類:●枕を砕く●頭を砕く
・紛れ当たり(まぐれあたり) 偶然に当たること。ものごとが、思い掛けず巧くいくこと。
・幕を上げる(まくをあげる) 劇場などで、興行を始める。 類:●蓋を開ける
・幕を下ろす(まくをおろす) 芝居が終わる。転じて、ものごとを終わりにする。 類:●幕を閉じる
・幕を切って落とす(まくをきっておとす) 幕が明いて芝居が始まる。転じて、ものごとを華々しく始める。 例:「大会の幕が切って落とされる」
・幕を切る(まくをきる) 1.幕を開けて芝居を始める。転じて、ものごとの始まるきっかけを作る。また、ものごとを始める。 類:●口火を切る 2.幕を閉じて芝居を終わりにする。転じて、ものごとを止(や)める。終わりにする。3.その場を取り繕(つくろ)う。 類:●誤魔化す 用例:黄・竈将軍勘略之巻「まくをきって留守をつかひ」 用例の出典:竈将軍勘略之巻(かまどしょうぐんかんりゃくのまき) 黄表紙本。寛政12年(1700)。・・・調査中。
・幕を通す(まくをとおす) 1.江戸時代の歌舞伎で、舞台の幕の後ろで点語(ちょぼがた)りが語る浄瑠璃の声が、声量があって、幕を通して観客に良く聞える。2.意志を十分に疎通させる。巧く話を付ける。 用例:雑俳・柳多留−一五「まくをとをすが家づきの内儀なり」 3.歌舞伎芝居で、序幕から大切(おおぎり)まで通して興行する。また、観客がそれを通して見る。
・幕を閉じる(まくをとじる) 芝居などが終わって幕を閉める。転じて、ものごとを終わりにする。 類:●幕を打つ●幕を下ろす 反:■幕が開く■蓋(ふた)が開く
・幕を引く(まくをひく) 1.幕を張る。2.軍陣で、敵方が幕を張る。3.芝居の演技が終わって、引き幕が閉じられる。転じて、ものごとを終わらせる。 類:●幕を閉じる