−まん(man)−
・万一(まんいち・ばんいち) 1.万分の一。万の中に一つ。また、殆(ほとん)どないが、ごく稀(まれ)にあること。 類:●万が一 例:「御恩の万一に報いる」「万一のときに備(そな)える」 2.ひょっとして。もしや。もしも。 類:●万が一 例:「万一行けなくなったら電話をするよ」
・万一を僥倖す(まんいちをぎょうこうす) 万の中に一つの幸いを求めるという意味で、滅多(めった)には有り得ない幸せを願うといこと。
・万が一(まんがいち) 万あるのうちの一。殆どないと思えるが、極めて稀(まれ)にあること。 類:●万一
・万が稀(まんがまれ) 極めて稀であること。容易にはないこと。
・満艦飾(まんかんしょく) 1.海軍の儀礼の一つ。国家の大典や祝日、観艦式などに、港に碇泊中の艦艇が艦首から艦尾までの各檣に信号旗を連揚し、各檣頂に軍艦旗を掲揚するもの。2.転じて、洗濯物を軒端一杯に干し並べることの喩え。3.婦人が、派手に着飾っていることの喩え。 例:「満艦飾でお出まし」
・万恒河沙(まんごうがしゃ) 仏教用語。「万」は数が多いこと。「恒河沙」は恒河(ガンジス川)の砂のこと。無限の数量の喩え。 類:●恒河沙
・万劫末代(まんごうまつだい) 永久の後。万世の後の世。
・満更でもない(まんざらでもない)[=でない] まったく駄目だという訳ではない。必ずしも悪くはない。 例:「満更でもない腕前」 ★「満更〜でもない」というようにも使う。 例:「満更嘘でもないようだ」 参考:満更(まんざら) 語源未詳。「満更」は当て字<国語大辞典(小)> ★「まっさら」の変化<新明解国語辞典(三)>
・満場一致(まんじょういっち) その場にいる者全部の意見が一致すること。誰も異議を申し立てないこと。
・まんじり 1.ちょっと眠ることを表わす言葉。主に、「まんじりともしない」の形で打消しを伴って用い、少しも眠らないことを強調する。 用例:浄・傾城島原蛙合戦−三「寝ても夜の目をまんじりとも、明六つ五つ四つに過れば」 2.あることを思う存分にする様子。じっくりとする様子。 類:●じっと●まじまじ 用例:伎・桑名屋徳蔵入船物語−四「どうでまんじりと泣かしては下さるまい」 3.落ち着きなく、何もしないでいる様子。 類:●ぼんやり ★「まじまじ」の「まじ」から変化<国語大辞典(小)> 用例の出典:桑名屋徳蔵入船物語(ぬわなやとくぞういりふねものがたり) 歌舞伎。並木正三。金比羅信仰が入っている、その上お家騒動まで絡んでいるので、結構複雑な狂言。 参考・人物:並木正三(なみきしょうぞう) 江戸中期の歌舞伎狂言作者。初世。大坂の人。1730〜73。並木宗輔の門。初め浄瑠璃に筆を染めたが師の没後歌舞伎に転じ、大坂劇壇の第一人者となる。回り舞台の発明など、舞台機構の創意工夫は後の劇界に大きな影響を与えた。「三十石峺始」「宿無団七時雨傘」など。
・満身創痍(まんしんそうい) 1.全身傷だらけであること。2.徹底的に非難を受けること。手酷(ひど)く痛め付けられること。
・満足な豚よりも不満足な人間である方が良い。満足した愚か者であるよりも不満足なソクラテスである方が良い(まんぞくなぶたよりもふまんぞくはにんげんであるほうがよい。まんぞくしたおろかものであるよりもふまんぞくなそくらてすであるほうがよい) 満足度ばかりを優先してはならない、人間に必要なのはその満足の質であるということ。ジョン・スチュアート・ミルの言葉。
・満天下(まんてんか) この世に満ちていること。また、この世の中全体。天下全体。 類:●全世界●国中(くにじゅう) 例:「満天下を沸(わ)かせる」
・万年床(まんねんどこ) いつも敷きっ放しで、上げたこともないような寝床。
・万能一心(まんのういっしん) 1.何事をするにも一心にしなければならないこと。また、あらゆる芸能に通じていても、一つの真心がなければ役に立たないということ。2.転じて、真心を込めてすること。 用例:浄・傾城酒呑童子−四「伝授覚えて手は利かぬ古鼓のならずもの、其の外万能一心の家業なし」 用例の出典:傾城酒呑童子(けいせいしゅてんどうじ) 浄瑠璃。時代物。近松門左衛門。享保3年(1718)。8年前の「酒呑童子枕言葉」を一部作り変えた作。酒呑童子退治話の中に、大阪・新町の傾城屋・茨木屋幸斎が身分不相応な贅沢で、欠所になった事件を仕込む<近松門左衛門でござーい!>
・万能足りて一心足らず(まんのうたりていっしんたらず) あらゆる芸能に通じているが、心に真心(まごころ)が欠けている。万能よりも一心(=真心)が大切であるという戒(いまし)め。
・満は損を招く(まんはそんをまねく) ものごとは完全な状態に達すればやがて不都合なことが表れたり、衰えたりするものである。奢(おご)り高ぶる者は損失を招く。 類:●盈(み)つれば虧(か)く 出典:「書経−大禹謨」
・万八(まんぱち) 1.万のうち八つしか本当のことがない。嘘。出鱈目。また、しょっちゅう嘘を吐(つ)く人。 用例:浄・神霊矢口渡「世に万八といふ事は、此の男より始まりける」 類:●千三つ 2.酒の異称。
・万引き(まんびき) 買物客を装(よそお)って、店頭で商品を掠(かす)め取ること。また、その人。 類:●万買い ★「まびき(間引)」の転<大辞林(三)>
・満幅(まんぷく) 1.紙や布の幅一杯であること。その一面に満ちていること。また、その紙や布全体。 類:●全幅 2.一面・全体に及ぶこと。多く「満幅の」の形で、全面的な、全くの、などの意で用いる。 類:●全幅 例:「満幅の信頼」
・万福長者(まんぷくちょうじゃ) 大金持ち。金満家。 類:●大福長者
・万遍ない(まんべんない) 行き届かないところがない。遍(あまね)く等しく行き渡っている。 用例:滑・浮世風呂−前「菜(おかず)は婆さまが出てまんべんなく盛わたす」 ★「ない」は接尾語<国語大辞典(小)> ★現代では多く、「まんべんなく」の形で用いる<大辞林(三)>
・まんまと 遣り方が非常に巧いこと。首尾良く。現代では、主に、悪事や企(たくら)みが巧妙に行われることを指す場合が多い。 類:●まんまんと●ものの見事に 用例:浮・日本永代蔵−一「都の末社四天王<略>にそだてられ、まんまと此道にかしこくなって」 例:「まんまと一杯食わされたよ」 ★「うまうまと」が変化した言葉<国語大辞典(小)>
・万々一(まんまんいち・ばんばんいつ) 「万一」を強めた言い方。もしも。ひょっとして。 用例:浮・傾城禁短気−三「万々一息災に成て」
・満面朱を注ぐ(まんめんしゅをつぐ) 怒って、顔全体を真っ赤にする。
・満目蕭条(まんもくしょうじょう) 見渡す限りもの寂しいこと。
・満を持す(まんをじす)[=搾(しぼ)る] 1.弓を十分引き絞って、構えたまま待つ。転じて、準備を十分にして時機の来るのを待つ。 例:「満を持して待ち受ける」 出典:「史記−李将軍列伝」 2.絶頂に達したまま、持ち堪(こた)える。 出典:「史記−越王勾践世家」
・満を引く(まんをひく) 1.弓を十分に引き絞る。2.酒をなみなみと注(つ)いだ杯を取って飲む。 類:●満飲 出典:「漢書−叙伝・上」「皆引満挙白、談笑大キャク」