−みの(mino)−
・身の上(みのうえ) 1.自分の一身に関わること。我が身のこと。また、自分の境遇。 類:●身上(しんじょう) 例:「身の上相談」 2.一生の運命。一生の大事。 用例:浄・本朝廿四孝「もし違変あらば、身の上たるべし」 例:「身の上を占う」
・身の内(みのうち) 1.身体の内部。2.身体の一部分。 例:「腹も身のうち」 3.身体中。身体一面。
・身の置き所がない(みのおきどころがない)[=置き場がない] 恥ずかしくてその場から逃げ出したい。窮地に立たされて逃げ出したい。身を処置する術(すべ)がない。
・身の皮を剥ぐ(みのかわをはぐ) 皮膚に付いている皮を剥(は)ぎ取ってしまうという意味で、着ている着物さえも売ってしまわなければならないほどの貧しさの喩え。
・身の毛が弥立つ(みのけがよだつ) 寒さや恐怖のために、身体の毛が逆立つように感じる。ぞっとする。 類:●身の毛立つ●戦慄(せんりつ)する●鳥肌立つ 用例:愚管抄−四「なにとなく身の毛だちておぼえけるに」 用例の出典:愚管抄(ぐかんしょう) 鎌倉前期の歴史書。7巻。慈円。承久2年(1220)の成立とされる。和漢の年代記や、神武天皇から順徳天皇までの歴史及び著者の歴史観を仮名文で記したもの。必然の道理の理念によって日本の政治展開を説明し、「神皇正統記」に強い影響を与えたと言われる。
・身の毛立つ(みのけだつ) 寒さや恐怖のために、身体の毛が直立するように感じる。ぞっとする。 類:●身の毛が弥立つ 用例:愚管抄−四「なにとなく身の毛だちておぼえけるに」
・身の毛を詰める(みのけをつめる) 恐れ戦(おのの)き、緊張している状態の喩え。
・身の代(みのしろ) 1.人身売買の代金。身売りしたときの代金。身の代金。2.人と引き替えに受け渡す金品。 類:●身の代金 3.給金 用例:伎・韓人漢文手管始−二「『それ、当座の身の代』と切手を放る」 用例の出典:韓人漢文手管始(かんじんかんもんてくだのはじまり) 歌舞伎。世話物。4幕。並木五瓶。寛政元年(1789)大坂角座の初演。明和元年(1764)朝鮮の使節、崔天宗(さいてんそう)を、通訳の鈴木伝蔵が大坂で殺害した事件を脚色。通称「唐人殺し」。
・巳の時(みのとき) 1.現在の時刻で、午前10時頃。2.まだ日の盛りになっていない時刻であることから、物が新しい状態であること。特に、鎧(よろい)などが、古びていないで色彩などがまだ鮮やかであること。 用例:源平盛衰記−一五「鎧は緋威に金物を打、未(いまだ)巳の時とぞ見えし」 3.間もなく日中になろうとする時刻であることから、ものごとが酣(たけなわ)である頃、勢いが盛んである時期のこと。 用例:甲陽軍鑑−品一三「北条家弓矢、巳の時とかがやき」
・巳の時過ぐ(みのときすぐ) 古びていく。また、盛りを過ぎる。勢いが衰え始める。
・実の生る木は花から知れる(みのなるきははなからしれる) 咲いた花の様子を見れば、果実が良く実るかどうか予測できる。大成する人物は、初めからどこか凡人とは違ったところがあるものだという喩え。 類:●栴檀は二葉より芳し●虎子(こし)は地に落ちて牛を食う●竜は一寸にして昇天の気あり●蛇は一寸にしてその気を得る●牛を食らうの気有り
・蓑の傍へ笠が寄る(みののそばへかさがよる) 気が合う者は互いに親しみ集まる。同類のものは自然に集まる。 類:●類は友を呼ぶ●牛は牛づれ馬は馬づれ●同性相親しむ
・身の菱(みのひし) 身に降り掛かる災難。また、身の回りに鉄菱(てつびし)を撒かれたように身動きができないこと。 用例:浄・曾根崎心中「頼もし立てが身のひしでだまされさんした」
・身の振り方(みのふりかた) 自分の将来に関する方針。我が身の処置の仕方。 例:「身の振り方を考える」
・身の程(みのほど) 1.自分の地位や能力の程度。また、その地位や身体に相応(ふさわ)しいこと。 類:●分際●身分相応 2.身の上。境遇。また、自分の運命。
・身の程知らず(みのほどしらず) 自分の身分や能力や地位を弁(わきま)えないこと。また、その人。 例:「身の程知らずにも程がある」
・身の回り(みのまわり) 衣類・被り物・履き物など身に着けるもの。日常手元に置いたり携帯したりするもの。また、広く日常生活に必要なもの。 類:●身辺 例:「身の回りの世話をする」
・実る稲田は頭垂る(みのるいなだはあたまたる) 稲は実るほど穂を垂れるが、人間も同じように地位が上がるほど謙虚になるのが良いということの喩え。 類:●The
boughs that bear most hang lowest.
・実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな)・[=頭(あたま)の下がる〜] 俳句。詠み人知らず。稲穂は実れば実るほど穂先を垂れ頭を下げることから、君子は学識や徳行が深まるほど謙虚になるものだということ。地位が上がっても謙虚に生きなさいという戒(いまし)め。