−みす(な)(misu5)−
・水に油(みずにあぶら)
・水に絵を描く(みずにえをかく) 水に絵を描こうとしても、ただ波紋が広がるだけで苦労の甲斐(かい)がない。無駄(むだ)であることの喩え。また、跡形もないこと、儚(はかな)いことなどの喩えとしても使う。 類:●脂に画き氷に鏤む●行く水に数書く●水に数書く●水に文字書く●骨折り損のくたびれ儲け
・水にする(みずにする) 1.無駄にする。効果を失わせる。空しくする。無にする。2.過去の経緯を一切なかったことにして、咎(とが)めない。 類:●水に流す 3.胎児を堕(お)ろす。堕胎(だたい)する。 類:●水に成す
・水に流す(みずにながす) 過去にあったことを、全てなかったこととする。過ぎ去ったことを咎(とが)めないことにする。 類:●水にする●川へ流す 例:「これまでの放蕩は水に流す」
・水になる(みずになる) 成果や苦労が無駄になる。 類:●ふいになる
・水に慣れる(みずになれる) その土地の飲み水に慣れる。新しい土地に住み慣れる。
・水温む(みずぬるむ) 春になって、水がだんだん温(あたた)かくなる。
・水の泡(みずのあわ) 1.水面に浮かぶ泡。水泡(すいほう・みなわ)。2.転じて、消え易く儚(はかな)いもののこと。3.努力した甲斐(かい)がないこと。 例:「折角の苦労も水の泡」
・水の子(みずのこ) お盆の供物の一つ。茄子、南瓜(かぼちゃ)、里芋などを賽の目に刻み、墓や盆棚に上げるもの。 類:●水の実
・水の滴るよう(みずのしたたるよう) 際立って美しい美男・美女の形容。特に、女性や役者などについて使う。 類:●水の垂るよう●水も滴る
・水の垂るよう(みずのたるよう) 1.刀剣や具足類などが、瑞々(みずみず)しく美しい様子。2.人の顔や肌(はだ)などが若々しく美しい様子。 類:●水の滴るよう
・水の月(みずのつき) 1.水面に映る月影。 類:●水月(すいげつ) 2.転じて、目には見えるけれども、手に取ることができないものの喩え。
・水の月取る猿(みずのつきとるさる)[=猿猴(えんこう)] 不可能なことをして失敗すること。身の程知らずの望みを持ったばかりに、却って失敗すること。 類:●猿猴月を取る
・水の面(みずのつら) 1.水の辺(ほとり)。水辺(みずべ)。 用例:更級「この水のつらに休みつつ見れば」 2.水面(みなも)。
・水の手(みずのて) 1.城や砦(とりで)などの中で、水が飲める場所。また、そこに設けた石囲い。2.川や堀など、水がある場所・地域。3.消火に用いる水。また、その水路。
・水の出端(みずのでばな) 1.洪水の始めという意味で、最初は勢いがあるが、すぐに衰えることの喩え。 用例:浮・好色一代女−4「―のごとく跡もなく御機嫌なほるなり」 2.勢いが盛んで抑え切れないことの喩え。また、若者が血気盛んで、前後の見境がないことの喩え。 用例:浄・新版歌祭文「若い水の出端には、そこらの義理もへちまのかは」
・水の流れと身の行方(みずのながれとみのゆくえ) 水が流れて行く先と人生の果ては、いずれも分からない。前途は分からないということ。
・水の花(みずのはな) 1.鱸(すずき)をいう女房詞。2.鮎(あゆ)をいう女房詞。3.蓮(はす)の花のこと。4.水飛沫(しぶき)。5.春夏に、湖沼の表面付近に植物性プランクトンが盛んに繁殖して水の色の変わる現象。
・水呑百姓(みずのみびゃくしょう) 1.近世農村社会で、自分の田畑を所有せず、貢租を負担しなかった下層農民。小作農民や日雇い農民。 類:●無高(むたか)百姓 ★検地帳にも登録されていなかった<国語大辞典(小)> 2.転じて、貧しい農民。 類:●水入り百姓●水呑 例:「しがない水呑百姓」
・水の低きに就く如し(みずのひくきにつくごとし) ごく自然にものごとが運ぶことの喩え。また、自然の成り行きは、人の力で止められるものではないということの喩え。 出典:「孟子−梁恵王・上」「民帰之、由水之就下、沛然誰能禦之」、「孟子−告子・上」「人性之善也、猶水之就下也」
・水の戦慄き(みずのわななき) 冷や汗を流して震えること。 ★一説に、さざ波のふるえるようにこまかくふるえること<国語大辞典(小)> 用例:宇津保−蔵開下「みづのわななきして、汗にしとどに濡れて」