−みす(ま)(misu7)−
・見す見す(みすみす) 1.目の前に見えていながら。見ているうちに。目の前で。 用例:平中−三七「沼水に君は生ひねど刈る菰のめに見す見すも生ひまさるかな」 2.成り行きや結果が、そうなると分かっていながらどうしようもないこと。分かっていながら、敢えて行なうこと。 用例:仮・仁勢物語−上「君が仇にみすみすならんいかづちの雲間に落ちて頭とるべく」 例:「みすみすチャンスを逃がす」 ★悪い状況について<大辞林(三)> 3.目に見えて、はっきりしていること。見え透いていること。 用例:伎・桑名屋徳蔵入船物語−四「お前もヤアみすみすな事を」 ★下二段動詞「みす(見)」の終止形を重ねてできた語<国語大辞典(小)> 用例の出典:仁勢物語(にせものがたり) 仮名草子。2冊。作者未詳。寛永16年(1639)〜17年頃の成立か。「伊勢物語」流布本の125段を逐語的に捩(もじ)った作品。パロディ作品。王朝的な雅の世界を、近世初頭の世相・風俗を取り入れつつ俗な世界に転換して、滑稽を生み出している。 仁勢物語の冒頭:「をかし男ほうかぶりして、ならの京かすがのさとへ、酒のみにいきけり」 ← (伊勢物語)「むかしおとこうゐこうふりして、ならの京かすかの里に、しるよししてかりにいにけり」
・水も滴る(みずもしたたる) 際立って美しい美男・美女の形容。特に、女性や役者などについて使う。 類:●水の垂るよう 例:「水も滴る好い男」 ★江戸期には「蜜も滴る」と言われていたという。
・水も狭に(みずもせに) 水面を塞(ふさ)ぐほど一杯に。
・水物(みずもの) 1.液体のもの。飲み物。2.水分を多く含んだ、または、噛まずに食べる食物。果物(くだもの)や寒天類など。3.相手やその時の状況ですぐに変わってしまうもの。運に左右され易いもの。また、当てにならないもの。 例:「選挙は水物。蓋を開けてみなければ分からない」 4.華道で、水辺に育つ花の総称。
・水も漏らさぬ(みずももらさぬ) 1.隙間なく敵を取り囲む様子。警戒・防御・用意などが厳重な様子。 例:「水も漏らさぬ警備体制」 2.男女の仲が非常に親しいことの形容。 用例:浮・傾城禁短気「水も漏らさぬ中と契り」 例:「水も漏らさぬ夫婦仲」