−みち(miti)−
・見違える(みちがえる) 1.見間違える。他のものと思って間違えて見る。 用例:荘子抄−七「如是見れば見ちがへたりしかと也」 例:「部活動を始めて見違えるほど逞(たくま)しくなった」 2.見誤る。見て誤った判断を下す。 類:●お見逸れする●見損なう 用例:浮・傾城禁短気−五「是は初会に其客の様躰を見ちがへ」 用例の出典:荘子抄(そうじしょう) 「荘子」の訳本。享禄3年(1530)。清原国賢書写本荘子抄。・・・調査中。
・道が付く(みちがつく) 目標に到達するための道筋ができるという意味で、ものごとを解決したり、達成したりするための糸口や方法が見付かること。 類:●目処(めど)が付く
・道が開ける(みちがひらける) 進むべき道が目の前に広がるという意味で、解決の方策が見付かること。将来進むべき方向などがはっきりと分かって展望が開けること。また、進路を妨げるものがなくなること。 類:●目処(めど)が立つ
・道草を食う(みちくさをくう) 1.馬が路傍の草を食って進行が遅れる。2.転じて、目的地に行く途中で、他のことに関わって時間を費やす。
・道異になる(みちことになる) この世を去って冥土(めいど)へゆく。
・道知る(みちしる) 1.専門の分野の学問や技術に通じる。2.人間としての道理や義理人情を弁(わきま)える。
・三千年の桃(みちとせのもも) 仙界にあって、三千年に一度花を開き実を結ぶといわれる桃。非常に珍しく、目出度いものの喩え。 類:●仙桃●王母桃 故事:「漢武故事」 漢の武帝が、西王母(せいおうぼ)から不老長寿の桃を貰った。 出典:漢武故事(かんぶこじ) 古小説。1巻。後漢代の班固(はんこ、32−92)の著と伝えるが、南北朝時代の人の偽作かと言われる。
・道連れ(みちづれ) 1.連れ立って道を行くこと。また、その人。同行者。 例:「旅は道連れ」 2.比喩的に、同意のあるなしに関わらず、誰かを同じ目に遭わせること。 例:「子供を道連れに自殺した」
・道なき道(みちなきみち) 1.人が歩けるような道がないところ。 例:「道なき道を進む」 2.転じて、なすべき方法や手段が、まだ開発されていない分野。
・道ならぬ(みちならぬ) 人が行なうべき道理から外れていること。道徳に背いている。 例:「道ならぬ恋」
・道にあらず(みちにあらず) 正しいやり方でない。なすべき方法や手立てが、人の道から外れていること。
・道に聴きて塗に説くは、徳を之れ棄つるなり(みちにききてみちにとくは、とくをこれすつるなり) 1.こちらの道で耳にした説を、あちらの路上でもっともらしく説(と)くようなことは、自分の徳を捨てるようなものである。学問は、己の努力で体得すべきものであるということ。 出典:「論語−陽貨」「子曰、道聴而塗説、徳之棄也」 2.転じて、好い加減な世間の受け売り話の喩え。 類:●道聴塗説
・道の傍の碑の文(みちのかたわらのひのぶん) 素晴らしい文章。絶妙好辞の文。 類:●名文 故事:中国、後漢の邯鄲淳が孝女曹娥の事跡を記した碑を、漢の文人蔡(さいよう)が感服して、これに「黄絹幼婦外孫韲臼(絶妙好辞のなぞ)」と題した。 人物:曹娥(そうが) 2世紀の中国後漢の孝女。生没年不詳。14歳の時、父曹(そうく)が川(後の曹娥江)に溺れて死んだが、遺体を発見できず、川の畔(ほとり)で7昼夜号泣し、ついに川に身を投げた。その3日後、父の亡骸(なきがら)を背負って川の上に浮かび上がったという。虞県の長度向で、礼に従って葬られた。後に元(げん)の順宗(じゅんそう)は、曹娥を「靈孝夫人」に封(ほう)じている。
・道の空(みちのそら)[=空路(そらじ)] 旅の中途。道の半ば。道中。 類:●途中 用例:源氏−夕顔「かかる道の空にて、はふれぬべきにやあらむ」
・道の人(みちのひと) その道に通じた人。 類:●専門家●達人
・道の辺(みちのべ) 道のほとり。道端(みちばた)。また、道。 ★古くは「みちのへ」<国語大辞典(小)>
・道の程(みちのほど) 1.道の距離。里程。2.道の中途。道中。途中。 類:●道の空
・道の儘(みちのまま) 途中。道すがら。道々。 用例:枕−九九「帯は道のままにゆひて」
・道の者(みちのもの) 1.一芸を究(きわ)めてそれを職とする人。また、その道の達人。 類:●専門家 2.宿駅の遊女。転じて、一般に遊女の称。 用例:曾我−9「道の者ははづかしきぞ」 ★室町時代以前の娼婦は旅先や宿屋の伽(とぎ)をする者に限られていたところから<国語大辞典(小)>
・道は近きにあり、しかるにこれを遠きに求む(みちはちかきにあり、しかるにこれをとおきにもとむ) 人の道は、ごく手近な所にあるのに、わざわざ高遠な所に求めようとする。徒(いたずら)に難しいばかりの理論を否定したもの。 出典:「孟子−離婁上」 「道在邇而求諸遠」
・道も狭に(みちもせに) 1.道が狭く感じられるほどである。道一杯に。 用例:千載−一〇三「道もせに散る山桜かな」 2.単に、道のこと。 用例:伎・四天王楓江戸粧−三立「朝風いとふ路次の道もせ」
・道を失う(みちをうしなう) 進むべき道が分からなくなる。転じて、取るべき手段・方法が分からなくなり、困り果てる。 類:●途方に暮れる
・道を切る(みちをきる) 1.途中で遮(さえぎ)る。邪魔立てする。 用例:滑・浮世床−初「咄のみ地を切るめへ」 2.人の出入りや関係を断つ。
・道を付ける(みちをつける) 1.道路を造る。不通になった道を通れるようにする。2.後進の者を手引きする。3.糸口を作る。方法を講ずる。開拓し発展させる。 例:「新分野に道を付ける」
・道を踏み外す(みちをふみはずす) 正道を外れてものごとをする。人の道に外れた行ないをする。 類:●身を誤まる 例:「人の道を踏み外す」
・道を譲る(みちをゆずる) 1.狭い道で、自分は脇へ寄って相手が先に通れるようにする。2.他の人に地位を譲って引退する。 例:「後進に道を譲る」