−もし(mosi)−
・文字寸半(もじきなか) 「文字」は一文銭の表面に書かれた字。「寸半」は、一文銭の直径一寸の半分のこと。 1.ごく僅(わず)かなお金。 類:●鐚(びた)一文●一文半銭 2.転じて、ごく僅かな物。 類:●文字片半(ひらなか) 用例:浄・伊賀越道中双六−六「人様の物一文半銭(モヂキナカ)、盗もと思ふ気は出さぬわいやい」 用例に出典:伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく) 浄瑠璃。時代物。10段。近松半二、近松加作の合作。天明3年(1783)大坂竹本座初演。荒木又右エ門が仇討ちの助太刀をする、「伊賀越乗掛合羽」の書き替えで、伊賀越物の中で最も有名。 参考:伊賀越乗掛合羽(いがごえのりかけがっぱ) 歌舞伎。伊賀越の仇討ちに取材した時代物。15幕。奈河亀輔作。安永5年(1776)大坂、中の芝居嵐七三郎座初演。通 称「伊賀越」「乗合合羽」。
・文字通り(もじどおり) 1.文字に書かれた状態そのまま。記された、その通りに。 例:「文字通りに解釈しておけば良い」 2.誇張や比喩でなく。その言葉の本来の意味の通り。 類:●正(まさ)に 例:「彼とは、文字通り『同じ釜の飯』を食った」
・若しものこと(もしものこと) 万一の事態。万が一の出来事。多く、好ましくない事態を指して言い、しばしば人の死についていう。 類:●もしのこと●自然のこと 例:「もしものことがあった時の用意」
・捩る(もじる) 1.捻(ねじ)る。捩(よじ)る。捻(ひね)る。 用例:浄・仮名手本忠臣蔵−九「鑓のしほ首引掴、もぢって払ば身を背け」 2.言葉を、他の語の音や口調に似せて言う。また、著名な詩文・歌謡などの調子や文句を真似(まね)て言い換える。 例:「『くたばって死ね』を捩って筆名を付けた」 3.食う、または飲むの意味の、人形浄瑠璃社会の語。 用例:浄・和田合戦女舞鶴−二「『此あたりに、よい酒屋はござらぬか』『ヒヤこりゃあり様はもぢりかけるのか』」 用例の出典:和田合戦女舞鶴(わだかっせんおんなまいづる) 浄瑠璃。並木宗輔作。元文元年(1736)。豊竹座初演。建暦三年の和田合戦で、和田方の朝比奈義秀が大倉御所の門を突破した故事を脚色し、女武者・板額御前の行為に置きかえた人形浄瑠璃<桔梗ヶ谷〜ききょうがやつ〜>