−もち(moti)−
・持ち上がる(もちあがる) 1.高く上がる。力が加わって上へ上がる。 例:「地面が持ち上がる」 2.事件が起きる。突然に事が起こる。 類:●降って湧く 例:「困ったことが持ち上がった」 3.何かを持って上の段階に順次に上がる。持ってそのまま進み上がる。特に、学級担任の教師が生徒の進級と共に、その受け持ちを続ける。
・持ち上げる(もちあげる) 1.物を、上へ上げる。 用例:今昔−二〇・六「頭を持上(もちあげ)て起き上りて」 例:「荷物を持ち上げる」 2.身分を高める。財産を増やす。 用例:多胡辰敬家訓「一年一年にくらいを持ちあげ」 3.お世辞を言って、誉(ほ)める。 類:●煽(おだ)て上げる 用例:評判・吉原人たばね「もちあけたとはそばより取なしのこと」 例:「先生、先生と持ち上げられる」 用例の出典@:多胡辰敬家訓(たこたっけいかくん) 家訓。室町時代。天文13年(1544)ころ成立。若い上級武士にあてて教養科目を列挙したもの。 用例の出典A:吉原人たばね(よしわらひとたばね) 仮名草紙。遊女評判記集。・・・詳細調査中。
・持ち掛ける(もちかける) 1.異性に誘いを掛ける。 用例:滑・八笑人−初「女の方から持懸(モチカケ)る様に成ると思ふ」 2.話などを持ち出す。話をして、働き掛ける。 例:「相談を持ち掛ける」
・持ち切り(もちきり) 1.初めから終わりまで持ち続けること。2.同じもの、また同じ状態が継続すること。一つのことに専従すること。 例:「あの家への出入りは、伊勢屋の持ち切りになっている」 3.ある間じゅう同じ話や噂などをすること。専(もっぱ)ら話題の的となること。 例:「学校中、彼の話題で持ち切りだ」
・持ち腐れ(もちぐされ) 所有していながら利用しないこと。また、活用できなくなってしまうこと。役立てないでおくこと。 例:「宝の持ち腐れ」
・持ち崩す(もちくずす) 身持ちを悪くする。品行を乱す。また、財産を使い果たす。 用例:古文真宝後集抄−一「六国も始皇には不亡吾ともちくつした」 例:「酒で身を持ち崩した」
・持ち駒(もちごま) 1.将棋で、相手から取って手元にある駒。2.手元にあって、必要に応じていつでも使える人や物。 類:●持ち札
・持ち出す(もちだす) 1.手に持って外へ出す。中にあった物を外へ出す。隠れていたものを人目に付くところへ出す。また、盗み出す。 用例:咄・鹿の子餅−盗人「壱人蔵の内へ入れば、外の一人は持出(モチダ)す道具うけとる手筈で」 2.持ち始める。 例:「夫に疑いを持ち出す」 3.言い出す。話題や論題にする。提案する。 用例:滑・八笑人−二「『此又面で、なり計りりっぱではうつらねへはサ』『チョッ又つらを持出(モチダ)しゃアがる』」 例:「法廷へ持ち出す」 4.不足した費用などを自分が負担する。また、予算以上になった費用を自分が負担する。 類:●自腹を切る
・餅搗き相場(もちつきそうば) 1.餅を搗くときの杵の動きに似た相場という意味で、取引市場で激しく相場が上下する歳末特有の値動きを言う。2.年末は商(あきな)いも活気付くことから、正月の餅代を稼(かせ)ぐことができる相場。
・持ちつ持たれつ(もちつもたれつ) 互いに助けたり助けられたりして、双方が存続する。 類:●唇亡びて歯寒し●唇歯輔車
・持ち直す(もちなおす) 1.それまで持っていた物を別の手に持ち替える。また、持ち方を変える。 用例:咄・醒睡笑−六「かの児、箸をもちなほし」 2.再び元のようになる。良い状態に向かう。病状などが、回復する。 例:「景気が持ち直す」 用例:談・古朽木−二「御贔屓御評判の御取持にて、私身代もち直し」
・餅に搗く(もちにつく) 扱いに難渋する。処置に困る。 類:●持て余す ★「黐(もち=鳥糯などの粘着剤)に着く」に掛けた言葉。
・餅の形(もちのかた) 1.餅屋がその看板にした餅の形をしたもの。2.転じて、見せ掛けだけで実質が伴わないもの。その地位にありながら実権が伴っていない者。3.似たり寄ったりであること。特色がないこと。
・餅は餅屋(もちはもちや)
・持ち札(もちふだ) 1.トランプなど、ゲーム用のカードの手持ちの札。2.転じて、自分の手元、または支配下にあって、必要に応じて自由に使える人材や機関など。 類:●持ち駒
・持ちも提げもならない(もちもさげもならない) なんとも処理する方法がない。なすべき途がない。 類:●にっちもさっちもいかない
・餅を搗く(もちをつく) 1.餅搗きをする。2.蚊が多数群れて上下し合う。3.男女が性交する。