−むか(muka)−
・向かい火を焚き付く(むかいびをたきつく)[=焚き掛ける] 「向かい火」は、燃え進んでくる野火の勢いを弱めるためにこちらから付ける火のこと。相手を挑発することの喩え。煽(おだ)てることの喩え。
・向かう鹿には矢が立たず(むかうししにはやがたたず)[=顔に矢が立たず] こちらを向いている鹿には、無慈悲に矢を射ることができないという意味で、無抵抗の者に対しては攻撃することができないことの喩え。
・向かうところ敵なし(むかうところてきなし) 向かい進むところに抵抗する者がいないという意味で、あまりにも強く、誰にも負けないことの喩え。 類:●行くところ敵なし 例:「連戦連勝で向かうところ敵なしだ」
・無何有の郷(むかうのさと・きょう) 物一つない世界という意味。架空の世界で、無意無作為で、天然のままの郷。自然のままで、何も作為がない世界。 出典:「荘子−逍遥遊」「今子有大樹、患其無用、何不樹之於無何有之郷、広莫之野、彷徨乎無為其側、逍遥乎寝臥其下」 ★「むかゆうきょう」とも。
・昔千里も今一里(むかしせんりもいまいちり) 若い時分は千里を駆けた足も年老いた今では一里しか行けないということで、優れた人も、年老いると、普通の人にも及ばなくなる。 類:●麒麟も老いては駑馬に劣る
・昔年寄りに弱い者なし(むかしとしよりによわいものなし) 年寄りの話には「昔は違った」や「今どきの若いもんは」といったものが多く、黙って聞いていると、昔の若者はみんな完璧な人ばかりのようであるということ。年寄りの昔話を嘲(あざけ)っていう。
・昔取った杵柄(むかしとったきねづか)
・昔の剣今の菜刀(むかしのつるぎいまのながたな) 1.昔、剣として用いられたものも、今はせいぜい菜刀の役にしか立たないという意味で、若いときは優れていた人も、老いた今は物の役に立たなくなっていること。また、優れた物も、月日が経つと時世に合わなくなるということ。2.昔の良い物よりも、今の役に立つものの方が良いということ。
・昔の人(むかしのひと) 1.世を去った人。亡き人。 類:●昔人(むかしびと) 2.昔、親しかった人。かつて親しくしていて、今はいない人。
・昔は今の鏡(むかしはいまのかがみ) 昔の出来事や事柄は、今の世の人々が参考にすべきことをたくさん含んでいるということ。 反:■昔は昔今は今
・昔は昔今は今(むかしはむかしいまはいま) 昔はどうあろうとも、今とは違うのだから、昔に倣(なら)って今もこうあるべきだという議論は成り立たない。 反:■昔は今の鏡
・向かっ腹を立てる(むかっぱらをたてる) わけもなく腹立たしく思う。むかむかとする。 類:●(俗)ムカつく 例:「あいつの嫌味な態度には向かっ腹が立つ」 ★「むかばら(向腹)」の変化<国語大辞典(小)>
・百足の手(むかでのて) 百足の手は数が多いことから、物の数が多いことの喩え。
・無我夢中(むがむちゅう) あるものごとに熱中して、自分を忘れること。一つのことに心を奪われて我を忘れてしまうこと。 類:●無我無心●思わず知らず●我にもあらず 例:「無我夢中で走る」
・無冠の帝王(むかんのていおう) 1.特別な地位には就(つ)いていないが、実質的な実力を持っている人。2.権力に屈しないところから、ジャーナリストのこと。特に、新聞記者のこと。