−むな(muna)−
・胸糞が悪い(むなくそがわるい・わりい) 忌々(いまいま)しい。不愉快である。気持ちが悪い。 類:●胸が悪い
・胸倉を取る(むなぐらをとる)[=捕(と)らえる・掴(つか)む] 「胸倉(胸座)」は、着物の両襟が合わさる辺りのこと。人を倒そうとしたり、押さえようとしたりして、その胸倉を強く掴む。 用例:仮・浮世物語「そのまゝ喧嘩になり〈略〉胸座を取る」 ★「座(くら)」は、御座(おわ)す場所の意味か。「股座(またぐら)」「胡坐(あぐら)」など。 ★女性の胸(おっぱい)が御座すところ、の意味か。
・胸騒ぎ(むなさわぎ) 1.心配事や凶事などのために心臓の鼓動が俄(にわ)かに激しくなること。心悸。2.凶事の予感としてなんとなく心が穏やかでないこと。不安で心が落ち着かないこと。 類:●虫の知らせ 例:「胸騒ぎがする」
・胸算用(むなざんよう・むねざんよう) 密(ひそ)かに心の中で計画や計算の見積もりを立てること。 類:●胸勘定●胸算(むなざん)●胸積もり●心算●心積もり ★古くは「むねざんよう」<大辞林(三)> ★「むなさんよう」とも<国語大辞典(小)>
・空しき骸(むなしきから)[=体(からだ)] 死骸。亡骸(なきがら)。
・空しき煙(むなしきけぶり・けむり) 火葬の煙。無常の煙。 用例:平家−6「はや空しきけぶりとならせ給ふを」
・空しくする(むなしくする)[=空しゅうする] 1.人を殺してしまう。また、物が壊れてしまう。無駄にする。 用例:太平記−四「天莫空(むなしうスルこと)勾践」 2.空(から)っぽにする。
・空しくなる(むなしくなる)[=空しゅうなる] 死ぬ。死んでしまう。 用例:蜻蛉−上「ひさしうわづらひて秋の初めのころほひ空しくなりぬ」
・胸突き八丁(むなつきはっちょう) 1.富士登山で、頂上まで八丁(約872)メートルの険(けわ)しい道。一般の山にもいわれる。また、急な登り道のこと。2.転じて、ものごとの一番苦しいとき、正念場の喩え。 例:「交渉が胸突き八丁に差し掛かる」
・胸尽くしをする(むなづくしをする) 「胸尽くし」は、胸倉のことで、喧嘩などのとき、相手を倒そうとしたり、押さえようとしたりして、その胸倉を強く掴むこと。 類:●胸倉を取る