−むね(な)(mune5)−
・胸に当たる(むねにあたる) 心に思い当たる。心に強く感じる。 類:●胸に応える●身に沁みる 用例:徒然−41「思ひかけぬ心地して、胸に当たりけるにや」
・胸に一物(むねにいちもつ)
・胸に納める(むねにおさめる)[=畳(たた)む・包む] 口に出して言わないで、心の中に仕舞い込んでおく。心に秘めておく。
・胸に落ちる(むねにおちる) 納得(なっとく)する。 類:●得心がゆく
・胸に聞く(むねにきく) 心の中で良く考える。自分を省(かえり)みて確かめる。 例:「自分の胸に聞いてみろ」
・胸に刻む(むねにきざむ) 心にしっかり留めて、忘れないでおく。 類:●肝に銘じる
・胸に釘打つ(むねにくぎうつ)[=釘針(くぎはり)刺す・焼き鉄(がね)刺す] 胸に釘を打たれたように、ものごとが心の急所に当たって、痛切に感ずる。心中の弱点を突かれて心を痛める。
・胸に据え兼ねる(むねにすえかねる) 1.怒りを胸に仕舞っておくことができない。非常に激しく怒っている状態。 類:●腹に据え兼ねる 2.どうしても納得できない。
・胸に応える(むねにこたえる)[=響(ひび)く] 身に沁みて感じる。一層痛切に感じ入る。 類:●胸に当たる
・胸に迫る(むねにせまる) 色々な思いが胸に満ちて一杯になる。強く感じる。 例:「今日見た芝居には、胸に迫るものがあった」
・胸に手を置く(むねにてをおく)[=当てる] 1.両手を胸に宛がって心を静め、落ち着いて考える。よく思案する。 例:「胸に手を当てて良く考えろ」 2.胸に手を置いて寝たときのような、息苦しい思いの喩え。 用例:蜻蛉−中「むねにてををきたらんやうにて、あかしつ」
・胸に鑢を掛く(むねにやすりをかく) 酷(ひど)く苦悩する。痛切に心を悩ませる。
・胸の霧(むねのきり) 心配事などで、心が晴れないことの喩え。胸にある蟠(わだかま)り。 類:●心の霧
・胸の煙(むねのけぶり・けむり) 胸の火が燃えるときに出る煙という意味で、胸の中の思い。また、その思いが十分に叶えられないことの喩え。
・胸の関(むねのせき)[=関路(せきじ)] 恋慕や煩悶(はんもん)などで、胸が塞(ふさ)がっている状態の喩え。 類:●心の関
・胸の痞え(むねのつかえ)[=支え] 1.食べ過ぎなどのために、胸が一杯で何も通らない状態。2.転じて、前から気になっている悩み事や心配事などのこと。
・胸の痞えが下りる(むねのつかえがおりる) 心の中にあった悩みや苦しみがなくなる。気分が晴れやかになる。 類:●溜飲が下がる●胸が晴れる
・胸の月(むねのつき) 1.悟りを開いた心の喩え。2.心が月のように清い様子の喩え。 類:●心の月
・胸の火(むねのひ)[=炎(ほのお)・焔(ほむら)] 恋慕や嫉妬(しっと)などで燃え立つ心を火に喩えた言葉。 類:●胸に焚(た)く火●燃える思い●思いの火
・胸の隙開(むねのひまあく) 心が晴れやかになる。 類:●胸開く
・胸の病(むねのやまい) 1.胸部の疾患。特に、肺結核。2.転じて、心を悩ます病。恋の病など。