−むち(muti)−
・無知の知(むちのち) 真の知に至る出発点は無知を自覚することにある、とするソクラテスの考え方。 人物:ソクラテス 古代ギリシアの哲学者、教育者。アテナイで活動。前470〜前399。初めソフィストの新思想に親しんだが、後に自分の無知を知るゆえに知を求める愛知を真の人間存在のあり方であるとし、対話により、青年たちを無知の自覚に至らせ、そこから共に真の知識を探求することを天職と考えるようになった。しかし市民の誤解を受け、異教の神を信仰し青年を惑わせたとして告発され、獄中に毒杯をあおいで死んだ。著作はなく、クセノフォンや彼の弟子プラトンの対話篇によって伝えられる。
・無知文盲(むちもんもう) 知識や学問がないこと。文字を読めないこと。また、その人。 類:●無学文盲
・無茶(むちゃ) 1.筋道が立たないこと。道理に合わないこと。 類:●滅茶苦茶 例:「無茶をするな」 用例:古今集遠鏡−一一「わしゃまあむちゃな恋をすることかな」 2.乱暴に扱う。乱雑にする。また、そういう様子。3.駄目にしたり無視したりすること。顧(かえり)みないこと。 用例:滑・世中貧福論−後「孫太郎折角千歳の情を無茶にし」 4.程度が普通でなく、甚(はなは)だしいこと。度を外れていること。 類:●滅茶(めちゃ) 例:「無茶なダイエット」 5.知らないこと。知識がないこと。 用例:滑・浮世床−初「江戸のことはむちゃ也」 ★副詞「むさと」の「むさ」からかという。「無茶」は当て字<国語大辞典(小)> 参考:むさと とるべき態度、守るべき節度をわきまえず、無分別・不注意であるさまを表す語<国語大辞典(小)> ★「むさと」の「むさ」は、「むさくるしい・むさい」と同源。 用例の出典:世中貧福論(よのなかひんぷくろん) 滑稽本。十返舎一九。文化9年(1812)文政5年(1822)。後の落語「はてなの茶碗」の元となる。
・無茶苦茶(むちゃくちゃ) 1.まったく筋道が立たないこと。 類:●滅茶苦茶●矢鱈 用例:雑俳・折句袋「むちゃくちゃな・栄耀を照らす堀江の灯」 2.乱暴に扱ったり乱雑にしたりすることして、台無しにすること。 例:「他人の一生を無茶苦茶にする」 3.程度が並外れている。特に、悪いことについて使う。 例:「無茶苦茶に寒い」 ★「無茶苦茶」は当て字。「むちゃ」を強めていう語<国語大辞典(小)> 用例の出典:折句袋(おりくぶくろ) 雑俳。・・・調査中。
・夢中作左衛門(むちゅうさくざえもん) ものごとに夢中であることを人名のように言った言葉。また、酩酊(めいてい)して我を忘れることにも言った。 ★元禄頃から江戸で流行したことば<国語大辞典(小)>
・夢中夢に入る(むちゅうゆめにいる) 夢の中でまた夢を見るという意味で、人が非常にぼんやりしている様子。
・鞭を揚げる(むちをあげる) 馬を速く走らせるために鞭を振り上げる。馬を速く走らせる。
・鞭を惜しめば子を損なう(むちをおしめばこをそこなう) 子供が可愛いのであれば、時には体罰も必要である。子供の教育には、躾(しつけ)も大事だということ。 類:●可愛い子には旅をさせよ ★英語の諺Spare
the rod and spoil the childから。
・鞭を執る(むちをとる) 鞭を手に取って馬を御(ぎょ)すという意味から、ものごとを思うままに操作すること。