−なん(nan)−
・南華の悔(なんかのくい) 上司に逆らったせいで試験に落第すること。上司に逆らい、また余計なことを言って嫌われ、出世できないことの喩え。 類:●南華を読むを悔ゆ 出典:「唐詩紀事−温庭[竹/均]「因知此恨人多積、悔読南華第二篇」 ★「南華」は、「南華真経」の略で「荘子」のこと。
・南柯の夢(なんかのゆめ)
・難癖を付ける(なんくせをつける) 欠点を見付けて非難する。あらを見付け出して咎(とが)める。小さな傷や不具合いを、特に取り立てて大袈裟に非難する。 類:●けちを付ける●癖を付ける
・難産色に懲りず(なんざんいろにこりず) 難産で苦しんだはずの女が、その苦難に懲りないで色事を行なうという意味で、苦しかったはずなのに、懲りずにまた同じような事を繰り返すことの喩え。 類:●喉元過ぎれば熱さを忘れる
・南山の寿(なんざんのじゅ) 終南山(しゅうなんざん)が崩れないのと同様に、命や事業がいつまでも続くこと。人の長寿を祝う言葉。 類:●寿を南山に比す●松柏の寿 出典:「詩経−小雅・天保」「如月之恒、如日之升、如南山之寿、不騫不崩、如松柏之茂、無不爾或承」
・爾に出ずる者は爾に反る(なんじにいずるものはなんじにかえる) お前が為したことはお前に返る。善行には善が返り、悪行には悪が返る。曾子(そし)の言葉。 故事:「孟子−梁恵王・下」「曾子曰、戒之戒之。出乎爾者、反乎爾者也」 魯(ろ)との戦いにおいて鄒(すう)軍の将校が33人戦死したが、それらの部下の民兵は1人も死ななかった。穆(ぼく)公がなぜかと尋ねると、孟子は、「曾子が戒めよと言っているように、将校たちの普段の行ないが悪かったから民兵が仕返ししたのだ」と答えた。
・爾の俸爾の禄は、民の膏民の脂なり(なんじのほうなんじのろくは、たみのこうたみのしなり) 官吏の俸禄は、民が膏血(こうけつ)を絞(しぼ)って働いた租税で賄(まかな)われているものである。人民に感謝し、労(いた)わりなさいということ。 出典:「通俗篇−政治」「爾俸爾禄、民膏民脂、下民易虐、上天難欺」<下民は虐げ易きも、上天は欺き難し> ★中国五代時代、前蜀(ぜんしょく・10世紀初頭)のとき、群国に戒石碑を建て、そこに刻み付けて戒めとした句。
・汝自らを知れ(なんじみずからをしれ)・汝自身を知れ・汝己を知れ ギリシア、デルフォイのアポロン神殿の玄関の柱に刻まれていたといわれる言葉。ソクラテスは、自分の無知を自覚し自分の魂を育成していくように、という倫理的要求として解釈した。ソクラテスは、これを自らの行動上の標語とした。 ★ギリシアの七賢人の一人スパルタのキロンの言葉とされる。元来は身の程を知れという意味であった。
・女は画れり(なんじはかぎれり)・汝は〜 孔子が弟子の冉求(ぜんきゅう)を諭(さと)して言った言葉。お前はやってみもしないで己に見切りを付けているが、それでは駄目だ。途中でやめず、最後までやり遂(と)げなさいということ。 出典:「論語−雍也・第六」「子曰、力不足者、中道而廃、今女画」
・南船北馬(なんせんほくば) 絶えず旅を続けること。各地に忙しく旅行すること。 類:●東奔西走 ★中国では、その交通に、南部は川や運河が多いので船を、北部は山や平原が多いので馬を多く用いるところから言う。
・難付く(なんつく) 1.難癖を付ける。欠点を指摘する。非難する。詰(なじ)る。謗(そし)る。 用例:源氏−蛍「人のうへをなむつけ」 2.難癖を付けられる。けちが付く。傷が付く。 用例:浄・心中刃は氷の朔日−上「家になんつかず、疵がつけば此平兵衛が疵」
・何でも彼でも(なんでもかでも)[=かんでも] 1.どんなものでも全て。 例:「何でもかでも大事にしまう」 2.事態や他人の意見にも関わらず、自分の意志・判断を通そうとする気持ちを表わす。どんなことがあっても。 類:●是が非でも 例:「何でもかでも旅行に行く」
・何でも来いに名人なし(なんでもこいにめいじんなし) 色々なことを何でも一通りにできる人には、一芸に秀でた名人はいない。器用な人は何でもこなせても、一芸に専心しないので、結局名人にはなれない。 類:●多芸は無芸●器用貧乏
・何でもない(なんでもない) 特に取り立てて言うほどのことはない。たいしたことではない。 例:「風邪ぐらい何でもない」
・何といっても(なんといっても)[=いうても] 他の一切の判断を排して、その事柄を強調する気持ちを表わす。どんなにいっても。どう考えても。 例:「何といってもこれが良い」
・何となれば(なんとなれば) 原因・理由の説明を導く言葉。 類:●なぜならば
・何とやら(なんとやら) 1.名称や言葉が不明・不定なもののこと。何とか言う。 類:●某(なにがし) 用例:波形本狂言・萩大名「何とやら云事が有たぞよ」 2.どういう訳か。何となく。 用例:虎寛本狂言・腹不立「何とやら、後光がさすようにござる」 用例の出典@:萩大名(はぎだいみょう) 狂言。各流。大名が萩の花を見物に行き、そこの亭主に歌を所望される。大名は、太郎冠者に前もって教えられていた萩の花の歌を思い出せず、恥を掻く。 用例の出典A:腹不立(はらたてず) 狂言。各流。堂守を捜しに出た二人の施主が、俄(にわ)か坊主に会い、名を尋ねると、腹立てずの正直坊と答える。二人が、腹を立てないことはあるまいとなぶると、坊主はついに腹を立てる。
・難なく(なんなく) 少しも困難なことなく。容易に。 例:「難なく成功した」 用例:浄・源平布引滝−二「何(なン)なく御籏奪い取って」 用例の出典:源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき) 浄瑠璃。時代物。5段。並木千柳・三好松洛合作。寛延2年(1749)大坂竹本座初演。「平家物語」「源平盛衰記」を素材とし、木曾義仲の生い立ちや斎藤実盛、多田行綱らを中心に脚色。
・難なし(なんなし) 難点となるようなところがない。また、これからしようとすることに、差し支えがない。
・なんにせよ[=せい・しろ] 他の一切の事物や事態のことは考慮せず、当面の事物や事態を問題にしようとする気持ち。 類:●兎に角●何れにしろ
・難に臨んで兵を鋳る(なんにのぞんでへいをいる) 「兵」は武器のこと。戦争が起こってから慌てて武器を作る。平素は油断していて、事が起こってから急に慌てても、間に合わない。 類:●泥棒を見て縄を綯う 出典:「晏子春秋−内篇・雑上」「猶臨難遽鋳兵、噎而遽掘井。雖速亦無及已」
・何の其の(なんのその) 一般には困難なことと思われているものごとに対して、高が知れていると軽く受け流したり、反発したりする気持ちを表わす。何ほどのことがあろうか。どうということはない。物ともしない。問題じゃない。 例:「マイナス10度も何のその」
・なんの糸瓜(なんのへちま)[=糸瓜の皮] くだらないものごとの喩え。まったく気にしないことや、なんとも思わないこと。 用例:一休狂歌問答・蜷川新右衛門親当「浮世をばなんの糸瓜と思うなよ、ぶらりとしてはくらされもせず」 ★糸瓜の皮はなんの役にも立たないもののこと。つまらないもの、取るに足りないものの喩え。
・何の面目あってか之を見ん(なんのめんぼくあってかこれをみん) 項羽の辞世の言葉。長江の北岸で、「八年前、自分は江東の弟子八千人とこの長江を渡って西へ向かったが、いま自分と帰る者は一人もいない。たとえ江東の父兄が哀れんで王にしてくれても、どうして合わせる顔があろう」と言った。 出典:「史記-項羽本紀」
・軟派(なんぱ) 1.意見や主義が軟弱な党派。強硬な主張をすることのできない者。 類:●ハト派 例:「軟派議員」 2.異性との交遊や、華美な服装を好んでする青少年の一派。不良仲間や学生などについて言う。 反:■硬派 例:「軟派の学生」 3.新聞社で、社会面や文学、または艶物(つやもの)などの記事を担当する者の俗称。 例:「軟派記者」 4.男女の情事・恋愛を興味本位に書く作家。5.〔2.からの派生で、俗語。主に、カタカナで書く〕 街頭などで、女性に声を掛け、交遊を求める行為。 類:●粉を掛ける●ガールハント 例:「渋谷でナンパされた」
・南風競わず(なんぷうきそわず) 南方の歌謡の声調が盛んでないという意味から、転じて、 1.南方の勢力が揮(ふる)わない。 2.日本では、南朝(吉野朝)の勢いが北朝方に押されて揮わないのを指して言った。
・南面の位(なんめんのくらい) 君主の位。君位。帝位。 参考:「南面」とは、中国で、天子は南に面して臣下に対面したところから、君主の位に就くことを意味する。
・南面の徳(なんめんのとく) 君主としての徳。 類:●君徳●帝徳
・なんやかや あれやこれや。色々様々。 類:●なにやかや
・難を構える(なんをかまえる) 戦争を起こす。互いに兵を集めて陣を張る。 類:●兵を構える
・難を付ける(なんをつける) 欠点を言い立てる。 類:●難癖を付ける