−なり(nari)−
・成り上がる(なりあがる) 1.位階が次第に昇る。出世する。 用例:落窪−二「かく少将なりあがり給ふにつけても」 2.低い地位、賤しい身分から身を起こしす。また、貧乏人が急に金持ちになる。立身する。 用例:史記抄−一四「奴僕から、いかうなりあかりたぞ」 3.できあがる。成就する。 用例:虎寛本狂言・成上り「渋柿が熟しに成上る」 用例の出典:成上り(なりあがり) 狂言。大蔵・和泉流。眠っている間に都の詐欺師に主人の太刀を青竹に代えられた太郎冠者は、主人に太刀が青竹に成り上がったと言い訳する。主人は盗人の仕業(しわざ)と知り、詐欺師を捕まえるが、太郎冠者の失敗で逃がしてしまう。
・成金(なりきん) 将棋で、敵陣の三段目以内に入って金将と成った駒のこと。転じて、急に金持ちになること。また、その人。 例:「成金趣味」「にわか成金」 類:●俄か分限(にわかぶげん)●梅の木分限
・成り下がる(なりさがる) 富貴から貧乏になる。身分などが低くなる。零落(おちぶ)れる。零落する。また、品性が高貴であった者が卑しくなる。 用例:米沢本沙石集−五末・二「なりさがりたる身こそつらけれ」
・形振り構わず(なりふりかまわず) 「形振り」は、服装と態度のこと。身繕いなど、姿格好を気にせずに。外見や体面を気にせずに。
・鳴り物入り(なりものいり) 1.歌舞伎などで、鳴物を使って囃(はや)すこと。また、楽器を使って、調子を取ったり、賑やかに囃し立てたりすること。 例:「鳴物入りの応援」 2.転じて、ものごとを大袈裟に宣伝すること。賑やかに景気を付けること。 例:「鳴物入りで入社してきた」
・生業(なりわい) 1.五穀が実るように務めること。田畑を耕作すること。 類:●農耕●農業 2.生活していくための仕事。世渡りの仕事。 類:●職業●家業 例:「筆で生業を立てる」 3.小正月の予祝行事として、若木で小さな農具を作って祝うこと。 ★「なり」は生産の意の「なり(業)」、「わい」は「さきわい」「にぎわい」などと同じく接尾語「わう」の名詞形<国語大辞典(小)>
・生業は草の種(なりわいはくさのたね) 人が生計を立てるための手段は、草の種のように数が多いから、どこに行っても職にありつけるものだということ。 類:●世渡りは草の種
・鳴りを潜める(なりをひそめる)[=静める] 1.音や声を静める。静かにさせる。2.暫く動きを止める。活動が途絶える。