−ねん(nen)−
・年が明く(ねんがあく)[=明ける] 1.年季明けになる。年季勤め、年季奉公の年限が終わる。2.役目が終わる。また、好ましくない人との縁が切れる。
・念が入る(ねんがいる) 注意が行き届いている。丁寧(ていねい)である。手数が掛かっている。
・念が届く(ねんがとどく) 思いが通じる。願いが叶(かな)う。
・念が残る(ねんがのこる) 心残りがある。この世に思いが残る。 類:●未練
・念が晴れる(ねんがはれる) 思いが晴れる。気掛かりや心掛かりがなくなる。
・年がら年中(ねんがらねんじゅう) 常に。 類:●しょっちゅう●始終●年が年中
・年がら年百(ねんがらねんびゃく) 「年がら年中」を誇張した言葉。いつも。 類:●年が年百 用例:滑・浮世風呂−二「年が年百くさくさして居るだ」
・年季が入っている(ねんきがはいっている) 長い間修練を積んで熟練している。
・年貢の納め時(ねんぐのおさめどき) 年貢の滞納を清算するという意味から、転じて、悪事をし続けてきた者が、終(つい)に捕らえられて、罪に服さなければならない時のこと。近頃は、婚期に遅れがちだった者が終に結婚するという時のことも指して言う。
・拈華微笑(ねんげみしょう) 仏教用語。心から心に伝えること。 類:●迦葉の口に笑みを含む●以心伝心 故事:釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)で弟子に説法しようとしたとき、梵王が金波羅華(こんぱらげ)を献じた。釈迦は一言も言わず、ただその花を捻(ひね)っただけなので、弟子たちはその意味が理解できなかったが、迦葉(かしょう)だけが、にっこりと笑った。それを見て釈迦は、仏法の全てを迦葉に授けた。
・鯰公(ねんこう) 鯰髭を生やしている者という意味から、官吏のことを嘲って言う。
・懇ろになる(ねんごろになる) 男女が特に親しい間柄になる。 類:●昵懇(じっこん)になる ★「懇ろ」は、「ねもころ」からの転。語源@:「根もころ」で「根と等しいさま」の意とする説。語源A:「根も凝(こ)ろ」で「根が入り組んでこりかたまっているさま」の意とする説。
・燃犀(ねんさい) 物を十分に見抜くこと。また、物を見抜く目があること。 故事:「晋書−温嚠伝」 中国東晋の、温嚠が犀の角を燃やして、牛渚磯(ぎゅうしょき)という深淵を照らし、水中の怪物の姿を見た。
・年算の賀(ねんさんのが) 長寿の祝い。賀(が)の祝い。 参考:賀の祝い(がのいわい) 長寿の祝い。中国から伝わった風習で、四十歳(初老)から始めて、十年ごとに40の賀、50の賀、60の賀などといって祝ったが、室町時代末から42歳、61歳(還暦)、70歳(古稀)、77歳(喜寿)、88歳(米寿)、90歳(卒寿)、99歳(白寿)などに祝うようになった。108が茶寿で、111が皇寿。それより上は珍寿。
・年矢(ねんし) 年月が早く過ぎてゆくことを、矢が飛ぶ速さに喩えた言葉。 類:●光陰矢の如し●年の矢
・念者の不念(ねんしゃのぶねん・ねんじゃの〜) 日頃から慎重で、念には念を入れて行なうような人の方が、却って、時々不注意なことをするものだということ。
・念頭に置く(ねんとうにおく)[=掛ける] 覚えていて心に掛ける。いつも考えている。
・念に掛ける(ねんにかける) 気に掛ける。注意する。気を付ける。
・念には念を入れる(ねんにはねんをいれる) 注意した上にも注意する。重ねて確認する。 類:●石橋を叩いて渡る●転ばぬ先の杖 反:■彩(さい)ずる仏の鼻を掻く■危ない橋を渡る
・ねんね 1.眠ることや横になることを言う幼児語。 ★「ねる(寝)」の「ね」を二つ重ねた「ねね」の変化<国語大辞典(小)> 2.赤ん坊。小児。3.人形を意味する幼児語。4.(2.から)年頃になっても赤ん坊のように幼稚で世間知らずであること。弁(わきま)えのないこと。また、その人。多く、年頃の娘に言う。 例:「もう17だというのにねんねで困る」
・年年歳歳(ねんねんさいさい) 毎年毎年。 類:●年年●歳歳年年●年年去来
・年年歳歳花相似たり(ねんねんさいさいはなあいにたり) 花の姿は毎年変わらないが、花を見る人の方は毎年替わってしまう、と、老いの悲しみと人生の移ろい易さを嘆いている。 類:●青柿が熟柿弔う 出典:初唐の詩人劉廷芝(りゅうていし)の「白頭を悲しむ翁に代る」と題する詩の中の句。
・念の過ぐるは無念(ねんのすぐるはむねん) 念を入れ過ぎると、却って間の抜けたところができる。程度が過ぎことは、足りないのと同様に却って良くない。 類:●過ぎたるは猶及ばざるが如し
・念の為(ねんのため) 確認のため。一層注意を促(うなが)すため。 例:「念のため電話番号を聞いておく」
・燃眉(ねんび・ぜんび) 眉が燃えること。また、眉が燃えるほど火に近づいていること。転じて、危険が迫っていること。 類:●焦眉 例:「燃眉の急」
・念仏講(ねんぶつこう) 1.念仏宗信者たちが当番の家に集まって念仏を行なうこと。後に、頼母子講(たのもしこう)に変わった。 2.〔隠語〕大勢の男が一人の女を入れ替わり立ち代わり犯すこと。婦女子を輪姦すること。 用例:人情・春色梅児誉美「お娘を正座に取り巻いて念仏講をはじめるつもり」
・念もない(ねんもない) 1.考えがない。思慮がない。 類:●念なし 2.物足りない。面白くない。3.無念である。残念である。口惜しい。4.思いも寄らない。とんでもない。5.容易である。案外だ。
・念力岩を徹す(ねんりきいわをとおす)[=も徹る] 全く不可能と思われることも、心を集中して精一杯やれば成し遂げられる。 類:●一心岩をも通す●断じて行なえば鬼神もこれを避く
・年輪を重ねる(ねんりんをかさねる) 技芸の発展や、人の成長の歴史を積み重ねる。特に、人生の経験や苦労を重ねる。 類:●年功を積む
・念を入れる(ねんをいれる) 十分注意する。心を篭めて丁寧にする。手数を掛ける。
・念を押す(ねんをおす)[=使う・突く] 相手に十分に確かめる。重ねて確認する。 類:●念を突く●念を遣う