−によ(niyo)−
・女房詞(にょうぼうことば) ★室町初期ごろ、御所や仙洞御所に仕える女房が使い始めた一種の隠語で、主として食物、衣服などに用いた。上品で優雅なことばとして、足利将軍家・徳川将軍家につかえる女性からしだいに町家の女性に普及し、また男性の用語にもはいるようになった。米を「うちまき」、豆腐を「おかべ」田楽を「おでん」、すしを「すもじ」、杓子(しゃくし)を「しゃもじ」という類<国語大辞典(小)>
・女房鉄砲仏法(にょうぼうてっぽうぶっぽう) 女性の力によって雰囲気(ふんいき)が和(なご)やかになり、鉄砲の威力によって治安(ちあん)が保たれ、仏法によって人は正しい心に導かれる。世の中は、愛と力と道の三つによってうまく治(おさ)まるものだということ。
・女房と畳は新しい方が好い(にょうぼうとたたみはあたらしいほうがよい) 1.畳は新しい方が快適で、女房もまた、結婚したばかりの新鮮なうちの方が、生活に喜びも多くて好い。時と共に新鮮味がなくなってくるということ。 類:●女房と茄子(なすび)は若いが好い●女房と菅笠(すげがさ)は新しい方が好い 反:■女房と鍋釜は古いほど好い■女房と味噌は古いほど好い■女房とワインは古いほど好い(フランスの諺)■女房と米の飯には飽かぬ 2.(俗) 取り替えられるものならば、古女房を若く綺麗な女と取り替えたいものである。亭主の願望を、都合(つごう)良く言う。
・女房の妬くほど亭主持てもせず(にょうぼうのやくほどていしゅもてもせず) 妻は自分の夫を持てるものと思って焼き餅を焼くが、女房の思うほど持てることはないということ。
・女房の悪いは六十年の不作(にょうぼうのわるいはろくじゅうねんのふさく) 悪い女房を持つことは、自分一生の不幸であるばかりでなく、子や孫にも悪い影響を及ぼすものである。妻選びは慎重にせよということの喩え。 類:●悪妻は百年の不作●悪婦破家 ★「六十年」は、三世代の喩え。
・女房は半身上(にょうぼうははんしんじょう) 女房は家の財産の半分の値打ちがある。家が栄えるか衰えるかは、半分は妻の働きや才能によるということ。 類:●女房は家の大黒柱●家に無くてならぬものは上り框と女房●女と俎板は無ければ敵わぬ
・女房を質に入れても(にょうぼうをしちにいれても) 江戸時代、江戸で特に珍重された初鰹(はつがつお)を、大金を使ってでも買うのが粋(いき)として言われた喩え。 出典:江戸川柳(詠み人知らず)「女房を 質に入れても 初鰹」 ★初鰹(はつがつお) 初夏の頃、市場に出回り始める走りの鰹。それを過ぎると、値は100分の1にも下がったという。
・如是我聞(にょぜがもん) 仏教用語。このように私は聞いたという意味。お経の冒頭に書かれている言葉。経典が編集されたとき、その経は間違いなく釈迦が言ったものであるということを示そうとした言葉。また、聞いたことを信じて疑わないということを示した言葉。
・如法暗夜(にょほうあんや) 「如法」とは、ここでは「文字通り」という意味で、文字通り全くの闇夜であること。転じて、悲しみに打ち拉(ひし)がれて心が真っ暗になること、また、足掻きが取れない迷妄(めいもう)の状態にあること。
・女夢幻泡影(にょむげんほうよう) 仏教用語。夢・幻・泡・影のようなこと。因縁によって生じたものは全て実体がなく、空(くう)であるということ。 出典:金剛般若波羅蜜経(こんごうはんにゃはらみっきょう) 大乗経典の一つ。一巻。般若(智)の見地から一切法の空、無我を説き、とらわれを去って清浄の心に住すべきことを説いた経文。六種の漢訳中、後秦の鳩摩羅什(くまらじゅう)訳がもっとも著名。「金剛般若」・「金剛経」。
・如来掛けて(にょらいかけて) 仏に誓って。 類:●神掛けて 用例:浄・女殺油地獄−中「みぢんもあいぢゃく残らぬと、にょらいかけての母がいひ分からは」 用例の出典:女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。享保6年(1721)大坂竹本座初演。大坂天満の油屋河内屋の次男与兵衛が、放蕩の結果、金に困り同業豊島屋の女房お吉を殺して金をうばうが、捕えられる。