−のた(nota)−
・のたうつ 1.もがき苦しむ。苦痛に転げ回る。 類:●のたくる●五体を投ぐ 用例:浄・心中刃は氷の朔日−下「のたうつ藍の虫の息」 2.波が激しく押し寄せる様子。また、大地に地割れが広がる様子。 例:「のたうつ波」
・のたまく 「宣(のたまわ)く」からの変化。 1.のたまう。仰(おっしゃ)る。 用例:洒・新吾左出放題盲牛「すでに孔子のたまくに、あまりせきやるな浮世はくるま、いのちながけりゃめぐりあふと」 2.訳の分からないことを、くどくどと言うこと。 類:●御託(ごたく)を並べる 用例:談・根無草−後「貸た奴がのたまく云や、横ぞっぽうはりのめすに」 ★「論語」などの「子、のたまはく」を堅くわけのわからないことと解し、さらに「管を巻く」などの「巻く」をふまえて「宣(のた)巻く」という意をこめたものか<国語大辞典(小)> 3.酔っ払い。酔漢。 用例:黄・従夫以来記「下戸餅に酔ひ、のたまくとなる」 4.酔っぱらいのように、訳の分からないことを言う者。または、正体のない腑抜け者を罵(ののし)る言葉。 用例の出典@:新吾左出放題盲牛(しんござでほうだいもうぎゅう) 洒落本。天明元年(1781)。大盤山人偏直。・・・調査中。 用例の出典A:従夫以来記(それからいらいき) 黄表紙本。天明4年(1784)。竹杖為軽(別名・森羅亭萬象)。喜多川歌麿画。・・・詳細調査中。
・のたまく者(のたまくもの) 呂律(ろれつ)が回らない酔っ払いを表わす。また、酔っ払いのように訳の分からぬ事を言う者や、怠け者を罵って言う。
・野垂れ死に(のたれじに) 路傍などで倒れてそのまま死ぬこと。また、そのような惨(みじ)めな死に方。 類:●行き倒れ●die a dog's
death ★「のたれ」は下二段動詞「のたれる」の連用形から。「野垂」は当て字<国語大辞典(小)> ★「のたれる」は、這う、這って行くの意味。