−ぬけ(nuke)−
・抜け上がる(ぬけあがる) 1.高く抜け出る。上に出る。 用例:仮・竹斎−下「目の玉のぬけあがる程叱られて」 2.まったく抜け通る。透き通る。 例:「抜け上がるような白い肌」 3.額の生え際の毛が抜けて、上の方へ禿(は)げ上がる。 用例の出典:竹斎(ちくさい) 仮名草子。2巻2冊。富山道冶(どうや)作か。元和7〜9年頃成立。やぶ医竹斎と下僕にらみの介の京から江戸までの道中記の形をとり、二人の笑話的な行為の描写や名所旧跡の見聞を中心に、狂歌的発想や修辞を生かした文体で書かれた滑稽文学。
・抜け駆け(ぬけがけ) 1.戦(いくさ)で、武功を立てようと、陣営をこっそり抜け出して先駆けすること。味方を出し抜いて敵中に攻め入ること。 例:「抜けがけの功名」 2.他人を出し抜いて事を行なうこと。
・抜け殻(ぬけがら) 1.昆虫や甲殻類などが脱皮の際に残した古い体皮。 例:「蝉の脱殻」 2.中身がなくなった後のもの。また、形式ばかりで内容がないもの。3.他のことに心を奪われて虚(うつ)ろな状態であること。正気を失ってぼんやりしている人。 例:「魂の抜殻」
・抜け作(ぬけさく) 愚鈍な人、間抜けな人を嘲って言う言葉。 類:●温助●抜衆●抜蔵●抜六●抜作左衛門
・抜け抜けと(ぬけぬけと) 1.頭の働きが鈍いため、他人に騙(だま)される様子。 用例:源平盛衰記−一四「大将はぬけぬけとしなされ」 2.ぬらくらと巧みに言い抜けて白々しい様子。厚かましい様子。知っていても知らない振りをする様子。 用例:浄・夏祭浪花鑑−二「ぬけぬけとした事言はれな」 例:「抜け抜けと白(しら)を切るもんだな」
・抜けぬ太刀の高名(ぬけぬたちのこうみょう) 臆病なため戦いに臨んで太刀を抜くことができなかったことが幸いして、逆に名を揚げる元になったという意味で、何の苦労もしないで、名を世間に知られるようになるということ。 ★略して「抜けぬ太刀」ともいう<国語慣用句辞典(集)>
・抜けば玉散る(ぬけばたまちる) 抜き放った刀が玉を散らすたように、きらきらと光っているという意味から、十分に研(と)いであって少しも曇りのない、切れ味の鋭い刀の形容。 例:「抜けば玉散る氷の刃」
・抜け目ない(ぬけめない)・抜け目がない 手落ち・手抜かりがないという意味で、自分の利益になることに良く気が付いて、狡(ずる)賢(がしこ)く立ち回ること。 類:●抜かりない●世知賢い
・抜けるほど(ぬけるほど) その部分だけ色が抜けているくらい、という意味で、色が大変白い様子。また、地面を突き抜けるくらい、という意味で、雨が激しく降る様子。