−ぬす(nusu)−
・盗人上戸(ぬすっとじょうご) 1.酒も甘味も両方好むこと。 類:●両党 2.たくさんの酒を飲んでも顔に出ないこと。また、その人。 類:●空上戸
・盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい・ぬすびと〜) 盗みや悪事を働きながら、何食わぬ顔でいたり、咎(とが)められて逆に居直ったりする者を罵(ののし)る言葉。
・盗人に追い銭(ぬすびとにおいせん)[=追(おい)・追を打つ]
・盗人に鍵を預く(ぬすびとにかぎをあずく)[=蔵の番] 悪人と知らずに、却って悪事の便宜を与え、被害を大きくすること。災いの元になるものを助長すること。 類:●敵に糧●盗人の提灯持ち●盗人に倉の番●犬に魚の番
・盗人にも三分の理あり(ぬすびとにもさんぶのりあり) 盗人にもそれなりの理屈はあるという意味で、どんなことであろうと、理屈を付けようと思えば付けられるということ。
・盗人の後棒乳切木(ぬすびとのあとぼうちぎりき) 盗人が逃げた後に棒を持って来るという意味で、時機に遅れたら役に立たないということ。
・盗人の上前を取る(ぬすびとのうわまえをとる) 盗人が盗んで来たものの一部を掠(かす)め取るという意味で、甚だしく質(たち)が悪いこと、また、悪人にも上には上があるということ。 類:●いがみの物取る大盗人
・盗人の逆恨み(ぬすびとのさかうらみ)[=かえさ恨み] 盗人は往々にして、自分で悪事を働いておきながら、それが発覚すると却って被害者や検挙者を恨むものだということ。
・盗人の取り残しはあれど火の取り残しはなし(ぬすびとのとりのこしあれどひのとりのこしはなし) 泥棒は自分で持てるだけしか盗んでいかないが、火事はすべて焼き尽くしてしまうので何も残らない。火事には用心せよということ。
・盗人の隙はあれども守り手の隙はない(ぬすびとのひまはあれどもまもちてのひまはない) 盗人の方はよい機会を見計らって入るのだから時間の余裕があるが、これを防ぎ守る側には寸時の暇もないということ。番人というものは寸時の油断もできないこと、また、盗人というものは防ぎ切れないということ。
・盗人の昼寝(ぬすびとのひるね) 盗人が昼寝をするのは、夜の稼ぎに備えてのことであるという意味で、何か思惑(おもわく)があってそれをしていること。 ★「盗人の昼寝もあてがある」とも<国語大辞典(小)>
・盗人を捕らえて縄を綯う(ぬすびとをとらえてなわをなう)[=見て〜] 事が起こってから慌てて準備をしても間に合わないということ。時機に遅れたら用をなさないということ。また、準備を怠って行きあたりばったりにものごとをすること。 類:●泥縄●泥棒を見て縄を綯う●難に臨んで兵を鋳る
・盗人を捕らえてみれば我が子なり(ぬすびとをとらえてみればわがこなり) 1.盗人を捕まえたら我が子だった。あまりの事の意外さに、処置に窮(きゅう)すること。2.身近な者と雖(いえど)も油断できないものであるということ。 出典:「犬筑波」の付句 出典:犬筑波集(いぬつくばしゅう) 室町後期の俳諧集。1巻。山崎宗鑑編。天文8年(1539)頃成る。宗鑑、宗祇、宗長などの句370を収める。卑俗で滑稽(こっけい)な表現を打ち出し、俳諧が連歌から独立する機運を作った。俳諧連歌抄。新撰犬筑波集。
・盗み聞き(ぬすみぎき) 密かに立ち聞きする。
・盗み読み(ぬすみよみ) 人に知られないように、密かに読むこと。他人に宛てた手紙などを断りもなしに読むこと。また、他人の読んでいるものを、横合いから読むこと。 用例:浄・聖徳太子絵伝記−一「うちかけの褄を屏風のぬすみ読(ヨミ)」 用例の出典:聖徳太子絵伝記(しょうとくたいしえでんき) 浄瑠璃。時代物。享保2年(1717)。近松門左衛門。聖徳太子と物部守屋との戦い<近松門左衛門でござーい!> 参考:聖徳太子絵伝(しょうとくたいしえでん) 聖徳太子の伝記を絵画化したもの。障子絵、掛絵、絵巻物などの種々の形式を持つ。