−おほ(oho)−
・覚えが目出度い(おぼえがめでたい) 目上の人から可愛がられている。とても気に入られている。寵愛(ちょうあい)を受ける、信用されるなど。 例:「社長の覚えが目出度い」
・おぼこ育ち(おぼこそだち) 世間ずれしないで成長すること。また、その人。
・覚束ない(おぼつかない) 1.景色などがぼんやりしていて、はっきりしない。ぼうっとしていてよく見えない。 用例:万葉−1952「今夜(こよひ)の於保束無(オホつかなき)に霍公鳥(ほととぎす)鳴くなる声の音の遥けさ」 2.気掛かりだ。不安だ。心細い。 類:●頼りない●もどかしい 例:「暗くて足許がおぼつかない」 用例:万葉−1451「水鳥の鴨の羽色の春山の於保束無(オホつかなく)も思ほゆるかも」 用例:源氏−桐壺「若宮の、いとおぼつかなく、露けきなかに過ぐし給ふも」 3.疑わしい。不審である。また、不確かである。現代では、多くものごとが巧くいきそうにない。 類:●いぶかしい 例:「今日明日の復旧は覚束ない」 用例:蜻蛉−上「過ぎにし年、月ごろの事もおぼつかなかりければ」 用例:源氏−賢木「六十巻といふ文読み給ひ、おぼつかなき所々、解かせなどしておはしますを」 4.疎遠で相手の様子が分からない。訪れがない。無沙汰である。長らく対面していない。 類:●うとうとしい 用例:蜻蛉−下「それも著(しる)く、その後おぼつかなくて八九日許(ばかり)になりぬ」 5.会わずにいる状態がもどかしく待ちどおしい。早く会いたい。 用例:枕−六三「やがてもろともに率(ゐ)ていきて、昼のほどのおぼつかなからむことなども、言ひ出でにすべり出でなんは」 ★
「おぼ」は、「おほに」「おほほし」「おぼろ」「おぼめく」などの「おほ(おぼ)」と同じく、ぼんやりした、不明確な状態を表わす。「覚束」は当て字。古くは「おほつかなし」。対象の様子がはっきりせず、つかみどころのないさまをいい、また、そのためにおこる不安な気持を表わす<国語大辞典(小)>
・溺れる者は藁をも掴む(おぼれるものはわらをもつかむ)