−おい(oi)−
・御家芸(おいえげい) 1.その家に代々伝わる独特の芸。2.その人が最も得意とする事柄。また、他人に真似のできないような技芸。 類:●十八番(おはこ)●専売特許 例:「猿真似は戦後日本のお家芸と言われた」
・老い木に花(おいきにはな) 一度衰えたものが、再び栄えること。 類:●窮宅(きゅうたく)流れを生じ枯木栄を発す●枯れ木に花●枯れたる木にも咲く花●炒り豆に花が咲く●埋もれ木に花が咲く●朽ち木に花が咲く●枯木死灰花開く
・老い木は曲がらぬ(おいきはまがらぬ) 1.老い木には弾力がなく、無理に曲げようとすると折れてしまうことから、年を取ってから考え方や性癖を改めるのは難しいということ。 類:●矯めるなら若木のうち 2.老人は頑固であるということ。 類:●老いの一徹
・老い先(おいさき) 1.年を取っていく行く末。老人に残された余生。 類:●余命 用例:浮・日本永代蔵−六「老さきの事あんじける」 例:「老い先が短い」 2.成長発展していく行く末。古くは将来性豊かで期待が持てるというときに使った。 類:●将来性 用例:浄・嫗山姥−四「『敵の首いくつでも、引ぬいて上ましょ』と老さき見へたる広言に」 ★「生い先」からの類推でできた語か<国語大辞典(小)>
・生い先遠し(おいさきとおし) 人生の前途が長く、有望である。将来の可能性が豊かである。
・生い先なし(おいさきなし) 将来に対する希望がない。前途の可能性がない。見込みがない。 用例:枕草子−177「いみじうおひさきなう、心づきなし」
・おいそれと 相手からの申し出を簡単に請ける。直ぐに。多く、後に打ち消しを伴なう。 類:●右から左 用例:人情・春色梅美婦禰−五「おいそれと柳川亭の母公(おっかア)の方へ引渡しては」
・老いたる馬は路を忘れず(おいたるうまはみちをわすれず)[=知る] 道に迷った時、放した老馬に付いて行けば道に出るものだ、ということから転じて、経験を積んだ者は、その行なうべき道を心得ている。 類:●老馬の智 出典:「韓非子−説林」「春往冬反、迷惑失道。管仲曰、老馬之智可用也。乃放老馬而随之、逐得道」
・追い付かない(おいつかない) 元の状態に戻すことができない。損失や不利益などが、十分には解消されない。埋め合わせが付かない。 類:●取り返しが付かない 例:「今更後悔しても追い付かない」
・置いてけ堀(おいてけぼり)・置いてきぼり 1.後を見捨てて立ち去ること。置き去りにすること。 例:「置いてけ堀を食う」「置いてけ堀にされる」 類:●おいてきぼり 2.代金は支払わずに物を取り上げること。3.「置いてけ堀」では、魚を全部返すまで、その声が止まないということから、強情っぱりなこと。執念深いこと。また、その人。 ★江戸本所にあった池の名。この池で釣をすると、水中から「置いてけ、置いてけ」と呼ぶ声がし、魚を全部返すまでこの声がやまないという。本所七不思議の一つ。埼玉県川越地方にも似た例がある<国語大辞典(小)>
・追風に帆を揚げる(おいてにほをあげる) 機会に恵まれて、自分の力を存分に発揮することの喩え。ものごとが快調に進行することの喩え。 類:●順風に帆を揚げる●得手に帆を揚げる●流れに棹
・老いては騏も駑馬に劣る(おいてはきりんもどばにおとる) 優れた人でも、年老いてくると働きが劣る。 同:麒麟も老いては駑馬に劣る 類:●昔の剣今の菜刀 出典:「戦国策−斉策・閔王」
・老いては子に従え(おいてはこにしたがえ) 老年になったら、何事も子供に任せ、それに従う方が良い。 出典:「大智度論−九九」「女人之体、幼則従父母、少則従夫、老則従子」
・老いては益々壮なるべし(おいてはますますさかんなるべし) 年老いても、衰えるどころか、若者を凌(しの)ぐほど意気盛んでなければならない。 出典:「後漢書−馬援伝」「丈夫為志、窮当益堅、老当益壮」
・老いて再び稚子になる(おいてふたたびちごになる) 耄碌(もうろく)して子供のように他愛なくなる。
・老いの一徹(おいのいってつ) 老人の頑固さ。
・老いの木登り(おいのきのぼり) 老人に似合わぬ無理をすることを、冷やかしたことば。また「無理なことをするな」の戒めの言葉。 類:●年寄りの冷水
・老いの繰り言(おいのくりごと) 老人の愚痴。 用例:浄・寿の門松−上「老のくりごとめに涙」 用例の出典:寿の門松(ねびきのかどまつ) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。享保3年(1718)大坂竹本座初演。俗謡に歌われた山崎与次兵衛と新町の太夫吾妻との恋に、難波屋与平の義侠心などをとり入れて脚色。山崎与次兵衛寿の門松。
・老いの僻目(おいのひがめ) 老人は視力が衰えているので見誤りが多いということ。また、老人は僻(ひが)んだ目でものごとを見ることが多いということ。
・老いらくの恋(おいらくのこい) 年を取ってからの恋愛。