−おに(oni)−
・鬼が棲むか蛇が棲むか(おにがすむかじゃがすむか) どんな恐ろしいものが居るかどうか分からないということ、また、人の心の底にはどんな考えがあるか想像のつかないということ。
・鬼が出るか蛇が出るか(おにがでるかじゃがでるか)
・鬼が笑う(おにがわらう)
・鬼瓦にも化粧(おにがわらにもけしょう) 醜い者も化粧すれば、結構美しく見える。 類:●馬子にも衣装
・鬼とも組む(おにとくむ) 鬼とでも組み打ちしそうだという意味ら、強くて元気に満ち満ちている様子。非常に勇猛な様子。また、剛勇なだけで、少しも人の情を解しない者のこと。
・鬼に金棒(おににかなぼう)
・鬼に衣(おににころも) 1.鬼は裸で衣類を必要としないところから、不必要なこと。あるいは、不釣り合いなこと。 2.表面はしおらしく見えるが、内面は恐ろしいことの喩え。 類:●狼に衣
・鬼に神取らる(おににたましいとらる)[=肝(きも)取らる] 酷(ひど)く恐れることの喩え。
・鬼の居ぬ間の洗濯(おにのいぬまのせんたく)
・鬼の霍乱(おにのかくらん) 普段非常に丈夫な人が珍しく病気に罹(かか)る。 ★「霍乱」は日射病や暑気あたり<国語大辞典(小)>
・鬼の首を取ったよう(おにのくびをとったよう)
・鬼の衣(おにのきぬ) 死者に着せる着物のこと。
・鬼の手形(おにのてがた) 借金の証文のこと。
・鬼の念仏(おにのねんぶつ)
・鬼の目にも涙(おにのめにもなみだ)
・鬼一口(おにひとくち) 1.甚だしい危難に会うこと。また、その危難。 類:●鰐の口●虎口 用例:謡曲・通小町「さて雨の夜は目に見えぬ、鬼ひと口も恐ろしや」 参考:「伊勢物語」第六段の、雷雨の激しい夜、女を連れて逃げる途中で、女が鬼に一口で食われてしまったという説話。 2.鬼が人を飲み込むように、激しい勢いがあること。ものごとを手っ取り早く処理してしまうこと。 用例:俳・鶉衣−後「鬼一口のいきほひもなく」 用例の出典@:通小町(かよいこまち) 謡曲。四番目物。観阿弥改作。古名「四位少将」。小野小町と深草少将の百夜通(ももよがよい)の説話に材を得たもの。 用例の出典A:鶉衣(うずらごろも) 江戸後期の俳文集。12冊、225編。横井也有著。前編に天明5年(1785)の跋(ばつ)、続編に文政6年(1823)の序があるが、刊行年未詳。和漢の故事、諺を初め、自然や人事など広い主題について、技巧を凝らした軽妙な文章で書かれている。
・鬼も十七茨も花(おにもじゅうしちいばらもはな)[=山茶(やまちゃ)も煮端(にばな)] 刺(とげ)のある茨も、時期が来て花を付ければ美しい。「山茶」は粗末な茶のこと。 類:●鬼も十七●鬼も十七山茶も煮端●鬼も十八番茶も出花
・鬼も十八番茶も出花(おにもじゅうはちばんちゃもでばな)
・鬼も頼めば人食わず(おにもたのめばひとくわず) 1.鬼に正面切って自分を食べてくれと頼むと、却(かえ)って食べないものだということ。得意なことだから当然承知してくれるだろうと思って頼むが、もったいぶってやらないことの喩え。 類:●勿体を付ける 2.非情な鬼でも頼まれれば嫌と言えないものである。況(ま)して、情のある人間なら、誠意をもって頼めば酷(ひど)い扱いはしないものだということ。 類:● 頼めば越後から米搗きにも来る●犬も頼めば糞食わず●猿も頼めば木に登らぬ●頼めば乞食が味噌汁吸わぬ●頼めば乞食が馬に乗らぬ
・お荷物(おにもつ) 「荷物」を丁寧に言う言葉で、転じて、負担と感じられる邪魔な物。厄介(やっかい)者のこと。 例:「病気がちですので、皆様のお荷物になってはいけませんから遠慮します」
・鬼も角折る(おにもつのおる) 鬼のような悪人でも、何かの切っ掛けで善人に変わるということから転じて、我を折ること。閉口すること。
・鬼を欺く(おにをあざむく) 鬼と間違えるほど勇猛で力が強いこと。また、鬼のような恐ろしい容貌をしていること。
・鬼を酢に指して食う(おにをすにさしてくう)[=漬けて食う] 鬼を酢漬けにして食うということで、恐ろしいことを何とも思わないことの喩え。