−おり(ori)−
・折り合う(おりあう) 1.重なる。重なり合う。 用例:正徹物語−上「声韻とて句のはてに同字のおりあひたるをば嫌ふ也」 2.交渉などで、互いに譲り合って穏やかに解決する。妥協し合って、話が纏(まと)まる。 類:●妥協する●折れ合う 用例の出典:正徹物語(しょうてつものがたり) 歌論書。小松正清(正徹)。永享元年(1429)?・文安5年(1448)? 2巻(下巻は蜷川親当の聞書き)。和歌について随筆風に記したもので、藤原定家を理想とし、独自の風体論を展開している。また歌人の逸話なども記されている。
・折り入って(おりいって) 特に心を込めて。切(せつ)に。主に、ものを頼むときに前置きとして言う。 類:●達(た)って●是非とも 用例:浄・女殺油地獄−上「異見して下されと〈略〉折入てくどき事」 例:「折り入ってお願いがあります」
・折り紙付き(おりがみつき) 1.書画や骨董の鑑定結果を証明する折り紙が付いていること。また、そのもの。 例:「折り紙付きの壷」 2.物の価値や、人の力量・資格などについて、保証するに足りるという定評があること。また、武芸や技芸などで、一定の資格を得た人。 類:●極め付き 例:「包丁の腕前は折り紙付きだ」
・折り紙を付ける(おりがみをつける) 1.書画、刀剣、器物などの鑑定保証書を付けること。品質を保証したり、正当な評価をしたりすること。 ★特に刀剣については、元和(げんな)2年(1616)に本阿弥光徳が刀剣極所の役を与えられてから一般化した。 2.転じて、ものごとや人物などを信用できる確かなものとして保証する。 類:●太鼓判を捺(お)す 例:「彼の腕前には私が折紙を付けます」
・折りに触れる(おりにふれる) 1.その時の事情に巧く合う。その場合に調和する。 用例:徒然草−二一「折にふれば何かはあはれならざらむ」 2.「折りに触れて」の形で、何かの場合ごとに。何かというと。 用例:浄・源氏冷泉節−上「時に随ひ折にふれ御心を慰むる」 類:●折に付ける 用例の出典:徒然草(つれづれぐさ) 随筆。鎌倉末期。題名は序段冒頭の語による。2巻。吉田兼好。主要部分は元徳2年(1330)〜元弘元年(1331)頃の執筆。全244段から成る。無常観に根差す鋭い人生観、世相観、美意識を特徴とし、「枕草子」と共に古典随筆の双璧とされる。
・折り目正しい(おりめただしい) 折り目がきちんしているということから、態度や服装などが礼義正しくきちんとしていること。 用例:浮・好色貝合−下「十二因縁のひだ、折目ただしく」 用例:浄・雪女五枚羽子板−上「おりめただ敷正月詞」 類:●折り目高 用例の出典@:好色貝合(こうしょくかいあわせ) 浮世草子。吉田半兵衛作・画とみられる。2巻2冊。貞享4年(1687)。前年刊の「好色訓蒙図彙」の補遺と自序にあり、両書を併せて通俗好色百科とみることもできる。図と戯文調の解説から成っている。巻末に「好色乱体図」があり、滑稽味を交えて狂態振りを描く。 用例の出典A:雪女五枚羽子板(ゆきおんなごまいはごいた) 浄瑠璃。時代物。3段。近松門左衛門。宝永2年(1705)大坂竹本座初演と推定される。嘉吉元年(1441)赤松満祐が将軍足利義教を自宅に招いて暗殺した事件を脚色。藤内(とうない)太郎以下五人兄弟の働きで、逆臣赤沼入道父子を滅ぼす。
・折りを得る(おりをえる) 好機がやって来た、チャンス到来という意味で、丁度良い機会に出会うこと。 類:●機会を捕らえる