−おそ(oso)−
・遅牛も淀早牛も淀(おそうしもよどはやうしもよど) 京を出た牛は遅くても速くても淀に辿り着くという意味で、その速さに拘わりなく、結果は同じであるということ。手段や方法が多少違っても、結果に大差はないということの喩え。 類:●遅牛も淀●早牛も淀、遅牛も淀●畦から行くも田から行くも同じ
・遅かりし由良之助(おそかりしゆらのすけ) 時機を逃(のが)して役に立たなかったことを揶揄(やゆ)して言う言葉。 ★「仮名手本忠臣蔵」の登場人物・大星由良之助(大石内蔵助のこと)が、主君の切腹に間に合わなかったことから。但し、脚本にはこの台詞(せりふ)はない。
・遅かれ早かれ(おそかれはやかれ) 遅い早いの違いはあっても、そのうちに必ず。いつかは。 類:●早晩●いずれにしても 用例:滑・浮世床−初「女郎買をして金をつかふ者はおそかれ速かれ身体(しんだい)を滅すから」
・遅きに失する(おそきにしっする) 時機に遅れて役に立たない。遅過ぎて間に合わない。 類:●後の祭り●六日の菖蒲●十日の菊
・怖気が立つ(おぞけがたつ) 1.怖がって、びくびくする。 類:●怖気(おじけ)付く 2.厭(いと)わしくて、ぞっとする。 ★しばしば「おぞ毛」と誤解して用いられる<国語大辞典(小)>
・怖気を震う(おぞけをふるう) 恐ろしさなどで体が震える。
・お粗末(おそまつ) 上等でないことを冷やかしたり、自分の不手際を自嘲したりするときにいう言葉。 例:「我ながらお粗末な出来栄えだ」
・お粗末様(おそまつさま) 相手に提供した労力や料理などを謙遜して言う、挨拶(あいさつ)の言葉。 例:「お粗末さまでした」
・恐らく(おそらく) ★恐ルのク語法オソルラクの転<広辞苑第四版(岩)> 1.憚(はばか)りながら。口幅ったい言い方であるが。畏(おそ)れ多いことだが。 用例:古事談−六「御琵琶の撥(ばち)おとのいみじさに所参入也。恐くは昔貞敏に授貽曲侍を、欲奉授云々」 2.絶対に。必ず。 用例:虎明本狂言・竹の子「恐らくとらすまいぞ」 ★非常に強い推量や決意を示す。 3.恐ろしくなるほどの。 用例:仮名・難波物語「鼻の高さ恐らく也」 4.十中八九。たいてい。多分。きっと。思うに。 用例:弘決外典鈔弘安七年点「竄(ヲク(ソ)ラクハ)」 例:「台風は恐らく明日上陸するだろう」 ★「おそらく」は、悪いことが起きそうなときに用いるが、現在では、単純に「たぶん」との置き換えとしても使える。 用例の出典@:竹の子(たけのこ)・笋 狂言。各流。筍の所有を巡る畑主と藪(やぶ)の持ち主の争いを仲裁人が色々と執り成し、結局、相撲を取って畑主の勝ちになる。 用例の出典A:弘決外典鈔(ぐけつげてんしょう) 天台宗の注釈書。具平親王(村上天皇の皇子)撰。正暦2年(991)。4巻。唐の湛然(たんねん)の「止観輔行伝弘決」の中から「外典」を抽出して注解した書。
・恐れ入る(おそれいる) 1.非常に恐れる。すっかり恐くなる。 用例:古今著聞集−17・611「此の法師弥おそれ入りたり」 2.過ちを悟って詫(わ)びる。悪かったことを認めて謝(あやま)る。 用例:米沢本沙石集−三・一「これまでも申入候事、返々恐入候と」 3.目上の人などに失礼なことをして、畏(おそれ)れ多いと思う。恐縮する。また、単なる形式的な挨拶としても使う。 類:●恐れ入ります 用例:曾我物語−五「おそれいりて候へども、あしき御心得と存じ候」 4.相手の好意などに対して、有り難いと思う。 類:●有り難い●忝(かたじけな)い 例:「早速のご挨拶恐れ入りました」 5.相手の力量などにすっかり感心する。参ったと思う。敬服する。 例:「あの技にはまったく恐れ入った」 6.あまりの酷さに閉口(へいこう)する。呆れ果てる。 用例:滑・浮世風呂−四「おそれ入った事さネ」
・恐れ入ります(おそれいります) 1.自分にとって過分と思われる目上の人への感謝の挨拶。大変有り難うございます。2.「恐れ入りますが」の形で、目上の人や客などに、迷惑や骨折りに対して「申し訳ない」という気持ちで言う言葉。 類:●大変申し訳ありません 例:「恐れ入りますが、お名刺を一枚いただけませんでしょうか」
・恐れ入谷の鬼子母神(おそれいりやのきしぼじん・きしもじん) 「恐れ入りました」のこと。「恐れ入る」の「入る」を地名「入谷」に掛け、その入谷にある鬼子母神と続けた洒落(しゃれ)。
・恐れ多い(おそれおおい)[=畏れ多い] 貴人や目上の人などに失礼なことをしてしまって、大変恐縮すべきことである。 類:●勿体ない 例:「恐れ多いことではありますが…」 用例:人情・三日月阿専−十「私風情の賤しい者が、女房などとは恐れ多い事」 用例の出典:三日月阿専(みかづき??) 人情物。・・・調査中。
・恐れ乍ら(おそれながら) 1.前置きとして言い、「こう言うのも口幅ったい事ですが」という気持ちを表わす。恐れ多いとは思うが〜です。恐縮ですが〜です。 用例:平家−一一「源義経恐ながら申し上候意趣者」 ★身分の高い人などに話しかけたり意見を述べたりする時に使う<学研国語大辞典> 2.奉行所などに訴え出ることの喩え。 類:●告訴する 例:「恐れながらと、駆け込むつもりだ」
・恐れを成す(おそれをなす) 1.怖がる。 例:「恐れを成して、蜘蛛の子を散らすように逃げ去った」 2.尻込みする。たじろぐ。 類:●舌を巻く 例:「勘の鋭さに恐れを成す」 ★こわがる意の文語的表現。現代では遠慮したい気持ちになる意にもいう<国語大辞典(小)>
・御揃い(おそろい) 「揃い」の丁寧語から。 1.二人以上の人が連れ立つことを、敬(うやま)っていう語。 例:「夫婦お揃いでどちらまで」 2.衣服や道具などの、色・模様・生地(きじ)などが同じであること。 類:●ペアルック 例:「お揃いのセーター」