−おと1(oto1)−
・頤で人を使う(おとがいでひとをつかう) 横柄な態度で人を使う。 類:●顎(あご)で人を使う
・頤を叩く(おとがいをたたく)[=鳴らす] 1.良く喋(しゃべ)る。勝手なことを言う。 類:●大口を叩く●骨箱を叩く●頬桁を叩く 2.悪口を言う。 用例:滑・膝栗毛−55「こなさんは、えらい頤たたかんすな」
・頤を解く(おとがいをとく) 顎(あご)が外れるほど大きな口をあけて笑うこと。大笑いすること。 類:●頤を脱す●頤を放つ ★「頤」は、したあごのこと。
・男が上がる(おとこがあがる) 男としての風采や容貌が良くなる。また、男としての価値が高くなる。 類:●男が立つ●男が成る 反:■男が下がる■男が廃(すた)る■男が潰(つぶ)れる
・男が廃る(おとこがすたる) 男としての面目が立たなくなる。 類:●男が下がる●男が潰れる
・男心と秋の空(おとこごころとあきのそら) 秋の空模様が変わり易いのと同様に、男の心は変わり易い。男の浮気な心を言った言葉。 ★女は貞節なものとするので、「女心と秋の空」とは言わなかった。しかし、現代では、言う。 参考:A woman's mind and winter wind (change often).女心と冬の風はよく変わる<英国の諺>
・男所帯に蛆が湧く(おとこじょたいにうじがわく)・男鰥(やもめ)に〜 男だけで女のいない家では、碌(ろく)に掃除もせず、散らかり放題であるということ。蛆が湧くほど汚くなっているという喩え。
・男好きのする(おとこずきのする) 女の容姿や性格が、男の好みに合う。多くの男が好い女だと思う。 例:「男好きのする古風な性格」 ★「男好きな(=男との情事を好む意)」との混同は避けるよう。
・男になる(おとこになる) 1.元服(げんぷく)して大人の男になる。 用例:大鏡−六「殿のきむだちのまだおとこにならせ給はぬ」 2.転じて、一人前の稼(かせ)ぎが取れる男になる。立派な男になる。3.僧が俗人に戻(もど)る。4.女が年老いて月経がなくなる。
・男の心と川の瀬は一夜に変わる(おとこのこころとかわのせはいちやにかわる) 男の愛情は変わり易いものだよいうこと。
・男の心と大仏の柱は太うても太かれ(おとこのこころとだいぶつのはしらはふとうてもふとかれ)[=大黒柱は〜] 男は大胆であれ、という喩え。
・男の子と杉の木は育たぬ(おとこのことすぎのきはそだたぬ) 男の子は、杉の木同様に成育が遅いということ。
・男の目には糸を貼れ、女の目には鈴を貼れ(おとこのめにはいとをはれ、おなごのめにはすずをはれ) 男の目はきりりとまっすぐなのが良く、女の目はぱっちりと大きいのが良い。
・男は当たって砕けろ(おとこはあったってくだけろ) 1.男は、いつまでもくよくよ考えたり、恨みに思ったりしないで、さっぱりするものだということ。2.事のなりゆきは分からないにしても、男はまず決行することが大事である。
・男は気で食え(おとこはきでくえ)[=せい・持て・行け・渡れ] 男は気性で生きよ。男は世の中を意気で押して行くことが大切である。
・男は閾を跨げば七人の敵あり(おとこはしきいをまたげばしちにんのてきあり・かたきあり)[=踏み出すと〜] 家庭の中にいる子供の時分には敵はないが、男が社会に出て大人として活動すれば、常に多くの敵ができるものである。男は厳しい世間の中でも、へこたれず生活しなければならないということ。 ★「七人」は、数が多いことの喩え。
・男は辞儀に余れ(おとこはじぎにあまれ) 男は謙遜の気持ちを十分に持て。男の遠慮はし過ぎるくらいで良いということ。
・男は裸百貫(おとこははだかひゃっかん) 男は無一物でも働いて富を作る子とができるから、裸でも百貫の値うちがある。
・男は松、女は藤(おとこはまつ、おなごはふじ) 松に藤が絡(から)まるように、女は男を頼みにして生活するものである。
・男前(おとこまえ) 1.男としての風采(ふうさい)や容姿。また、面目(めんぼく)。 類:●男振り●男っぷり 例:「散髪に行って男前が上がった」 2.男として、風采が良いこと。好男子。 類:●美男子●男振り●男っぷり 用例:伎・思花街容性−三幕「槍持ちにしては惜しい男前じゃ」 ★「前」は、人に関する語について、その属性、機能を強調していう。「腕前」「男前」など<国語大辞典(小)> ★「前(まえ)」は、そのものとしての「面目(めんぼく)」のこと。 用例の出典:思花街容性(おもわくくるわかたぎ) 歌舞伎。並木五瓶(初世)。天明4年(1784)。2幕。大坂河内屋太助店出版。最初の絵入根本(歌舞伎の脚本を印刷刊行したもの)。享和3年(1803)京都再演時に、松好斎半兵衛画で『戯場言葉草(しばいことのはぐさ)』(5巻)としても刊行された。・・・詳細調査中。
・男勝り(おとこまさり) 女でありながら、男以上に気性がしっかりしていること。また、その女。 類:●女丈夫(じょじょうふ)●お転婆 用例:浄・長町女腹切−下「おとこまさりの自害の体」
・男鰥に蛆が湧く(おとこやもめにうじがわく)[=集(たか)る] 男鰥は、世話をする者がいなくて、自然に身の周りや環境が不潔になる。 類:●男所帯に蛆が湧く●男鰥に雑魚集る●男後家には襤褸下がる 反:■女寡(やもめ)に花が咲く■後家花咲かす ★「おとこやもめにぼろが下がる」とも<国語大辞典(小)> 参考:鰥夫(やもめ) 男の場合は「鰥」「鰥夫」の字を当て、女の場合は「寡」「寡婦」「孀」の字を当てる。
・男を上げる(おとこをあげる) 立派な行為で男としての名誉を得る。男子の面目(めんぼく)を施(ほどこ)す。 反:■男を下げる 例:「昨日の火事騒ぎで、彼は男を上げた」
・男を売る(おとこをうる) 1.男らしい気質の者として、評判を広める。2.男気がある人間として世間を渡っていく。
・男を拵える(おとこをこしらえる・こさえる) 女が愛人や情夫を持つ。 類:●男を作る
・男を下げる(おとこをさげる) 男として恥ずかしい行為をして自分の価値を下げる。 反:■男を上げる
・男を知る(おとこをしる) 女が、男と初めて肉体関係を持つ。
・男を立てる(おとこをたてる) 1.一人前の男としての体面を保つ。男としての意地を通す。2.女が、夫や兄弟などを尊重した言動をする。
・男を作る(おとこをつくる) 1.男が、髪や姿を飾り整える。男振りを良く見せる。 類:●男を磨く 2.女が愛人や情夫を持つ。 類:●男を拵える
・男を磨く(おとこをみがく) 1.男が、髪や姿を飾り整える。 類:●男を作る 2.男の名誉を重んじて、義侠心を養(やしな)う。多く、侠客(きょうかく)の世界で言う。
・男を持つ(おとこをもつ) 1.夫を持つ。2.情夫を持つ。