−おつ(otu)−
・おっかないと思えば茨株も化ける(おっかないとおもえばいばらかぶもばける) 臆病者には、なんでもないことが全て怖い物に見えるものだということ。 類:●落ち武者は薄の穂に怖ず●落人は草木にも心を置く●木にも萱にも心を置く●芒(すすき)の穂にも怖ず
・屋下に屋を架す(おっかにおくをかす) 重ねて無益なことをする。 類:●屋上屋を架す 出典:「顔氏家訓−序致」「魏晋以来所著諸子、理重事複、逓相模埔、猶屋下架屋、牀上施牀耳」 出典@:顔氏家訓(がんしかくん) 中国、家訓の書。20編。六朝時代末の顔之推(がんしすい)。保身の場を平穏で質朴な家族生活の中に求める立場から、広く政治、学問、思想、風俗などについての見解を示したもの。 出典A:「世説新語−文学」「屋下架屋耳」
・追っ付け(おっつけ) 1.そのうち。間もなく。ほどなく。 例:「おっつけ来るでしょう」 2.今すぐ。ただちに。 用例:浮・世間胸算用−一「其問屋心もとなし。追付(オッツケ)、分散にあふべきもの也」
・おっちょこちょい 1.ちょこちょこと落ち着かず、ものごとを軽々しくすること。また、そのような行動する人。 類:●軽薄者 2.容易(たやす)い様子。 類:●ちょちょいのちょい
・夫は妻次第(おっとはつましだい) 良い伴侶(はんりょ)を得れば、良い影響を受けて良くなるものであり、逆に、悪い伴侶だと悪くなるということ。 類:●A good wife makes a good husband.●A good husband makes a good wife.(妻は夫次第)
・押っ取り刀(おっとりがたな) あまりに危急な事態だったので、刀を腰に差す暇もなく、手に持ったままでいるという状態。また、急いで駆け付けること。 用例:浄・堀川波鼓−下「北か西かとおっとり刀、我ら劣らじとぞ走りける」 用例の出典:堀川波鼓(ほりかわなみのつづみ) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。宝永4年(1707)大坂竹本座初演。前年にあった妻敵討(めがたきうち)事件を脚色。『大経師昔暦』『鑓の権三重帷子』と共に、近松三姦通物の一つ。
・乙な(おつな) 1.普通と違っていて、独特の良さがある。 用例:滑・当世阿多福仮面「心やすくおつな馳走の出来る事大きな夫の気助り」 例:「なかなか乙な味だ」 2.妙に気取っていて、嫌味な様子。一風変わっていて変な様子。 類:●妙●異●気障(きざ) 用例:滑・膝栗毛−五「ヲヤ弥次さん、おつな手つきをしておめへ何をする」 例:「乙に澄ます(構える)」 用例の出典:当世阿多福仮面(とうせいおたふくめん) 滑稽本。平秩東作(へづつとうさく)=立松東蒙(たてまつとうもう)。安永9年(1780)。・・・詳細調査中。
・乙に絡む(おつにからむ) 変に嫌味なことを言う。
・乙に澄ます(おつにすます) 気取っている。洒落(しゃれ)を通り越して嫌味である。
・乙へ入る(おつへいる) 一段と低い音になる。低い声になる。
・落つれば同じ谷川の水(おつればおなじたにがわのみず) 1.空から降るものは、雨や霰(あられ)、雪、雹(ひょう)と形は様々だが、結局は同じ谷川の水になって流れるものである。出発点は違っていても、行き着く先はみな同じだということ。2.人も、生まれや生き方は様々だが、死ねば灰になり結局は同じだということの喩え。 出典:詩文集・骸骨「雨あられ雪や氷とへだつれど落つれば同じ谷川の水」 出典:骸骨(がいこつ) 画文集。一休宗純。長禄元年(1457)。骸骨との対話を通して仏教思想を語ったもの。人は、己の肉体に執着していが、肉体などというものは仮の住まいでしかない。「一休骸骨」とも。