−おや(oya)−
・親が親なら子も子(おやがおやならこもこ) 子供は親の生き方を見て育つものだから、善きにつけ悪しきにつけ、似てしまうものである。血は争えないものである。多く、悪癖が似ることに言う。 類:●この親にしてこの子あり●蛙の子は蛙●瓜の蔓に茄子はならぬ●子を見れば親が分かる●Like father, like son.
・親が死んでも食休み(おやがしんでもしょくやすみ) どんな場合でも、食後の休憩だけは取るべきだということの喩え。どんなに忙しいときでも、休憩なしで働くのはいけない。
・親方日の丸(おやかたひのまる) 親方は日の丸すなわち日本国だということで、経営上破綻を来しても、国がその面倒を見て呉れるから大丈夫という意味で、公営企業などの安易な考え方を皮肉って言う言葉。
・お役御免(おやくごめん) ある役目を辞めさせられること。また、それまで使っていたものが、古くなったり、新しいものに変わったりして使われなくなること。
・親孝行したいときには親はなし(おやこうこうしたいときにはおやはなし) 親に孝行しようと思ったときには、当の親は亡くなってしまった後だということ。失って初めて親の有り難味が分かるものだということ。 類:●石に布団は掛けられず●子養わんと欲すれど親待たず
・親子は一世、夫婦は二世、主従は三世(おやこはいっせ、ふうふはにせ、しゅじゅうはさんぜ) 親子の関係はこの世だけのものであり、夫婦関係や、主従(師弟)関係に比べて結び付きが弱いものであるということ。 類:●夫婦は二世 ★「世間は五世(せけんはごせ)」「他人は五世」などと続けたりもする。 ★親子→夫婦→主従と自然の順序『人情』に逆らって述べるところに、封建時代の人為的な道徳観『義理』が窺(うかが)える。 蛇足:「間男は四世(よせ)」は、志ん生落語の枕。「止せ」の洒落(しゃれ)。
・父子鷹(おやこだか) 父親とその子が、共に優れていることの喩え。 ★昭和31年(1956)に刊行された、勝小吉・麟太郎(=海舟)父子を描いた子母沢寛の小説の題名による。 ★「親子鷹」とも書く。
・お安い(おやすい) 1.自分に技量的に、訳ない。容易(たやす)い。簡単だ。人から依頼を受けたときなどに使う。 用例:咄・富来話有智−吝い客「ヲヲお安い御用でござる」 2.扱いが粗略である。軽々しい。 例:「そうお安くするなよ」 用例の出典:富来話有智(ふくわうち?) 咄本。・・・調査中。
・お安くない(おやすくない) 1.男女が特別の関係にある様子。 例:「あの2人はお安くない仲らしい」 2.その仲が良いのを羨(うらや)ましがって、また、冷やかして言う。 類:●ご馳走様 例:「2人きりで芝居見物とは、お安くないねえ」
・親擦れより友擦れ(おやずれよりともずれ) 子供の性格の良し悪しは、親の影響よりも、友達に揉(も)まれて様々な影響を受けることの方が大きい。 類:●善悪は友による●水は方円の器に随う
・親ならぬ親(おやならぬおや) 実の父母でない親。養父母。継父母、舅(しゅうと)、姑(しゅうとめ)など。
・親の甘茶が毒になる(おやのあまちゃがどくになる) 親が子をちやほや甘やかして育てると、却(かえ)って子供のためにならず、子は悪い人間に育ち易いということ。 類:●親の甘いは子に毒薬
・親の因果が子に報ゆ(おやのいんががこにむくゆ) 親がした悪業の結果が、因縁によって罪のない子に報い、子が禍(わざわい)を受けること。
・親の恩は子を持って知る(おやのおんはこをもってしる) 自分が子供を持って初めて、親がどれほど苦労して自分を育ててくれたかが分かるということ。 類:●子を持って知る親の恩
・親の敵のよう(おやのかたきのよう) 1.人や物を憎悪の対象として扱うこと。2.物などを、これでもかこれでもかという風に、手荒に扱うこと。 例:「御飯を親の敵のように盛る」 3.(最近の使われ方) ものごとが容赦ないほど甚(はなは)だしい様子。また、好ましくない状態が、しつこく続く様子。 類:●物凄く 例:「親の敵のように雨が降る」
・親の心子知らず(おやのこころこしらず)
・親の言葉と茄子の花は千に一つの無駄もない(おやのことばとなすびのはなはせんにひとつのむだもない)[=小言と〜・意見と〜]・[=徒(あだ)もない] 親の教訓というものは、茄子の花には徒花(あだばな)が極めて少ないように、千に一つも無駄がない。徒花が少ないというのは、だいたい間違いなく実を結ぶということで、意見(小言)は殆どが子の為になるものであるということ。 類:●親の意見と冷酒は後で効く
・親の十七子は知らぬ(おやのじゅうしちこはしらぬ) 親は自分の若い頃のことを引き合いに出して説教を垂れるが、十七歳辺りの若い時分に何をしていたかなど、子供は知る由(よし)もない。親を皮肉って言う言葉。 類:●姑の十七見た者なし
・親の脛齧り(おやのすねかじり) 独立して生活できず、親に養って貰っていること。また、その人。
・親の光は七光り(おやのひかりはななひかり)
・親の欲目(おやのよくめ) 親は我が子が可愛いため、実際以上に贔屓目(ひいきめ)に見るものである。 類:●親の目は贔屓目●烏は自分の子が一番美しいと思っている
・親馬鹿(おやばか) 我が子が可愛いあまり、欠点を見逃したり、過大に評価したりすること。子供のために、他人から愚かに見える行動をしたりすること。また、そういう親。
・親馬鹿ちゃんりん(おやばかちゃんりん) 「親馬鹿」な親のことを嘲(あざけ)って言った言葉。また、自嘲しても言われた。 例:「親馬鹿ちゃんりん蕎麦屋の風鈴(ふうりん)」 ★「おやまかちゃんりん」のもじり。この言葉は明治の初めに流行り、「おやまこちゃんりん節」という俗謡も流行した。その源流は秋田県仙北地方の民謡「おやまこ節」といわれる<国語大辞典(小)> 参考:おやまこ節「♪おやまこ三里はどこからはやた秋田の仙北角館」
・親は子の鑑(おやはこのかがみ) 親は子供の模範(もはん)となるよう、言動に気を使わなければならないということ。 類:●子は親の鏡●子供は親の背中を見て育つ
・親はなくとも子は育つ(おやはなくともこはそだつ) 実の親が育てなくても、子はどうにか成長していくものだということ。世の中のことは然程心配したものでもないということの喩え。
・お山の大将(おやまのたいしょう) 小さな集団の仲間うちで、一番偉いと思って好い気になっている人。 ★低い盛り土などの頂上に他を押しのけて登った者が、「お山の大将おれ一人」と叫びながら、あとから来る者を突き落とそうとする子供の遊び<国語大辞典(小)>
・親譲り(おやゆずり) 親から財産や物を受け継ぐこと。また、体質や性癖などを遺伝で受け継ぐこと。 用例:坊っちゃん「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る」