−さは(saha)−
・捌ける(さばける) 1.乱れていたものが直る。縺(もつ)れていたものが解け分かれる。整然とする。 例:「糸が捌けた」 用例:浄・井筒業平河内通−二「弁舌さばけし長口上」 2.割れる。砕ける。裂ける。 用例:浮・好色一代男−六「床の上なるかもじ、忽(たちまち)四方へさばけ」 3.商品が全て売れる。捌(は)ける。 例:「品物がすっかり捌けた」 4.世慣れていてものごとに理解があり、固苦しくなくて気取らない。 類:●話せる●話が分かる 例:「あいつは捌けた気性だ」 用例:浮・好色一代女−五「さばけぬ人の長座敷、あくびも思はず出」 用例の出典:井筒業平河内通(いづつなりひらかわつどおり) 浄瑠璃。近松門左衛門。享保5年(1720)。帝位争いにからんで、業平と井筒姫の河内通い伝説を彩りに加える。「伊勢物語」の文言を散りばめて巧みに構成。最後に帝位争いを少年相撲の勝負で決める場面も<近松門左衛門でござーい!>
・鯖を読む(さばをよむ) 1.物を数えるとき二つずつ数えること。 用例:名語記−八「ふたつづつよむをば、鯖読と云事あり」 2.自分の利益になるように、数を誤魔化すこと。数を誤魔化していうこと。 例:「あの女優は年を十歳も鯖読みしている」 ★サバはいたみやすいので、数えるとき急いで飛ばして数えて実数をごまかすことが多いからという<大辞林(三)> ★『名語記』の記述から、刺鯖など二枚重ねを一連として数えた慣習から二つずつ数えることを「鯖読み」と言い、後に誤魔化す意味に転じたともいう。他に、「魚市(イサバ)読み」が略されたもので鯖とは関係ない、とする説もある。 用例の出典:名語記(みょうごき) 鎌倉時代の辞書。全10巻。経尊著。初稿6巻本は文永5年(1268)成立。増補10巻本が、建治元年(1275)北条実時に献上された。現在本は著者自筆本で、巻1を欠く。「名(みょう)」はほぼ体言を意味し、「語」は用言などを意味する。引用元は『万葉集』や『伊勢物語』など。当時の通用語を音節数によって分類したものを、更にいろは順に配列し、問答体で語源説明を加えたもの。