−さい2(sai2)−
・才子佳人(さいしかじん) 才知の優れた男と美人の誉れ高い女という意味で、好一対の男女の組み合わせのこと。結婚式などでの誉め言葉。
・妻子眷属(さいしけんぞく) 妻子と眷属(=血が繋がっている者、一族)。妻子や親族。一家一門。 類:●一族郎党●一家眷属
・才子才に倒れる(さいしさいにたおれる)[=溺(おぼ)れる] 才知の優れた者は、自分の才知や学問を頼むあまりに却(かえ)って失敗しがちである。 類:●策士策に溺れる
・再思三考(さいしさんこう) もう一度良く考え、更にまた考え直すという意味から、考えに考えを重ねて熟慮すること。 類:●再思再考
・才子多病(さいしたびょう) 才子は才がある代わりに兎角(とかく)体が弱くて病気になりがちである。
・罪障の山(ざいしょうのやま) 成仏(じょうぶつ)の障害となる罪業(ざいごう)が大きいことを山に喩えて言ったもの。 参考:罪障(ざいしょう) 仏教用語。往生(おうじょう)・成仏(じょうぶつ)などの善果を得るのに妨げとなる悪い行ない。往生の障害となる罪業(ざいごう)。
・才色兼備(さいしょくけんび) 女性が優れた才能と美しい顔貌(かおかたち)とを持っていること。 例:「新婦は才色兼備の人です」
・采薪の憂(さいしんのうれい・うれえ・ゆう)[=採薪の〜] 1.病身で薪(たきぎ)採りにも出られないという状態。病気のこと。特に、自分の病気を遜(へりくだ)って言う。 類:●負薪の憂  出典:「孟子−公孫丑・下」「昔者有王命、有采薪之憂、不能造朝」 2.一説に、薪を採った疲れのために発症した病い。
・彩ずる仏の鼻を掻く(さいずるほとけのはなをかく) 「彩ずる」は彩色を施して飾るの意。念を入れ過ぎたため、却って大切な部分を駄目にしてしまうこと。 類:●過ぎたるは猶及ばざるが如し ★仏像を作り上げるのに、もう少しよくしようと手を入れているうちに肝心な鼻を欠いてしまうことから。 
・再全之錦(さいぜんのにしき) 誤って裁(た)ってしまってもまた完全に元通りになる錦の織物のこと。このような錦はないことから、政治は一度誤ると、再び回復することができない、ということの喩え。 出典:「春秋左氏伝−襄・三一」
・催促振る舞い(さいそくぶるまい) こちらから催促して馳走(ちそう)させる。饗応を強請(ねだ)る。 類:●催促顔
・材大なれば用を為し難し(ざいだいなればようをなしがたし) 材木が大き過ぎると使い難(にく)いものである。大人物であればあるほど、世間に受け容(い)れられないものであるということの喩え。志が高く世に容れられない人を慰(なぐさ)めても言う。 出典:杜甫の「古柏行(こはくこう)」「志士幽人莫怨嗟、古来材大難為用」
・才太郎畑(さいたらばたけ) 1.江戸時代、大坂千日寺の火葬場の東にあった空地の俗称。2.冥土ではあるが地獄と極楽との間にある、どっちつかずの所。 用例:浄・心中二つ腹帯「死出の田長を友がねに―のかがしかと」 3.どっちつかずで中途半端なこと、生半可なこと。
・才太郎畑へ行く(さいたらばたけへいく)[=走る] 無駄な仕事、または益のないことをする。
・在天の霊(ざいてんのれい) 死者を祀(まつ)る時などに、その霊魂を指す言葉。
・賽の河原(さいのかわら) 1.仏教で、死んだ子供が行くとされている、冥途(めいど)にある三途(さんず)の河原。子供の亡者(もうじゃ)はここで恋しい父母のために小石を積んで塔を作ろうとするが、何度作っても鬼が来てすぐこれを壊してしまう。そこへ地蔵菩薩が現われて救うという。西院(斎院)の河原とも。2.転じて、無駄な努力の喩え。 例:「賽の河原の石積み」 3.独身者を嘲(あざけ)って言う言葉。結婚しないうちは子供の部類とされ、死ねば賽の河原にやられるということから。
・才走る(さいばしる) 才能が働き過ぎる。才能が閃(ひらめ)き過ぎる。才気に溢(あふ)れる。また、才能に任せて事をする。
・賽は投げられた(さいはなげられた) ラテン語のAlea jacta estの訳。 カエサル(シーザー)がルビコン川を渡る時に言ったといわれる言葉。一旦乗り出してしまった以上、最早最後までやるより外に道はない。開始してしまったからには断行あるのみである。 出典:ローマ皇帝伝(こうていでん) スエトニウス。カエサル及び、ユリウス=クラウディウス朝、内乱期、フラウィウス朝のローマ皇帝の伝記。ローマ帝国の実質的な初代皇帝と見なされていたカエサルは皇帝伝の冒頭に登場し、失なわれた部分を含めると彼に関する記述が最も多い。「帝王伝」。 人物:カエサル 英語名はシーザー、ケーザル(Caesar)。ローマの将軍、政治家。ジュリアス・シーザー。前100〜前44。紀元前60年、クラッスス、ポンペイウスと第一次三頭政治を樹立。全ガリアの平定後、ポンペイウスをエジプトに追って滅ぼし、各地の内乱を平定して、独裁官となる。多方面に事績を上げたが、共和政体擁護を唱えるカッシウス、ブルトゥスらによって暗殺された。文人としてもすぐれ、「ガリア戦記」「内乱記」の史書がある。
・采薇の歌(さいびのうた) 己の潔(いさぎよ)さを守るためなら、穢(けが)れた穀物を口にせず、ゼンマイを食べ、餓死も厭(いと)わない。中国殷末周初の賢人伯夷(はくい)と叔斉(しゅくせい)の兄弟が詠んだ詩。 故事:「史記−伯夷叔斉列伝」 伯夷と叔斉は周の武王が殷(いん)の紂王(ちゅうおう)を討伐しようとしたとき、それを不忠として諫(いさ)めたが、聞き入れられなかった。天下が周に帰属すると、周の粟(あわ)を食べるのを恥とし、首陽山(=西山)で薇(ぜんまい)を採って食べながら暮らした。二人が餓死するときに「采薇歌」を作ったと言われる。
・財布の口を締める(さいふのくちをしめる) 無駄な金を使わないように気を付ける。 類:●節約する
・財布の紐が堅い(さいふのひもがかたい) 無駄金を使わない。
・財布の紐が長い(さいふのひもがながい) 金を出し渋る。けちで金を出さない。
・財布の紐を首に掛けるよりは心に掛けよ(さいふのひもをくびにかけるよりはこころにかけよ) 金を盗まれないように用心するよりは無駄使いしないように気を付けよ。
・財布の紐を握る(さいふのひもをにぎる) 金銭の出し入れの権限を持っている。 類:●財布の尻を押さえる
・財宝は地獄の家苞(ざいほうはじごくのいえづと) 「家苞」は家へ持ち帰る土産(みやげ)のこと。いくら財宝を貯(たくわ)えても、結局はあの世への手土産になるだけである。財産を残したつもりでも、相続や没収(ぼっしゅう)などで、あっという間になくなってしまうから、蓄財は空(むな)しいものだということ。 ★ここでの「地獄」は、天国に対しての地獄ではなく、仏教的な黄泉(よみ)の国(=あの世)のこと。
・材木屋の算用違い(ざいもくやのさんようちがい) 木が違っているということから、気違いという洒落。
・材木屋の鳶(ざいもくやのとび・とんび) お高く止まっているという洒落(しゃれ)。人が偉ぶっていること。 類:●風見の烏
・財を成す(ざいをなす) 事業などで成功して、大きな財産を築く。 例:「海運業で財を成した」
・采を振る(さいをふる・ざいを〜)[=採(と)る] 人に指図(さしず)をする。指揮してものごとを行なう。 類:●采配を振る●采を採る